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退屈な宇宙の旅に隠された真実とは。1時間で引きこんでサクッと終わる短編無料SFアドベンチャー『ETERNAL』レビュー。

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「こちらコマンダーハル。サンプル採取を開始します」
人類の文明がはるかに進んだ2102年。
とある惑星でサンプル取得ミッションを終えたハルは、史上最年少で有人惑星探査を達成した宇宙飛行士となった。
残るは、30日かけて地球に戻る退屈な旅のはずだったが……そこで、ハルは意外な事件にであう。
今日は、1時間程度で終わるSFノベルアドベンチャー『ETERNAL』を紹介する。

主人公のハルは、物語の冒頭で惑星“ロールド”にたどり着き、鉱石サンプルを蒐集することに成功する。
宇宙船に乗っている人間はハル1人のみ。話し相手は彼女は宇宙船とハルの健康を管理するAI“テラ”だけという、娯楽も乏しく、退屈な30日の帰り道が本作の舞台だ。
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本作では、若くして人生の目標であった“地球外惑星の探査”を達成してしまったハルの虚脱と、地球で提出するミッションレポートを作成する様子が描かれる。
このくだりは平和で、退屈とすらいえる。
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だが、しばらく進むと退屈で平和な旅に変化が訪れ、ハルはいくつかの選択肢を行うことになる。そして、物語は選択に応じてことなる展開を見せ始める。
このあたりからは作品の謎が気になり、どんどん先に進めてしまう。
1時間の短編であり、比較的早い時期に物語の“引き”が出てくることが本作の良さと言えるだろう。
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文字を読み進めるのが早いためか、私は45分程度ですべてのエンディングを見終えて(本作はマルチエンドだ)、楽しく終えられた。
ただ、本作には魅力的な部分と、惜しいと思える部分がまざりあっていて、完成度が高い1品とは言えない。
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ゲーム内に目を引く仕掛けがあるし、物語にも心に引っかかる謎がある。一方で、その仕掛けと謎に頼り切って構成されている感があり、良いところで終わっている感がある。
たとえば、単純なまとまりで言えば同じく短編SFの『西暦2236年の秘書』などと比べて物足りない。

ところが、本作は1時間で終わることが良く作用しており、設定や仕掛けに頼った力技の効力が切れる前に作品が終わって楽しめる味が出ている。
飽きる前に終わるだけでなく、序盤の退屈(これは多くのノベル系共通の泣き所だ)もすぐ終わるからほどなく面白くなる。
エンディングに関してもハルに思いをはせる、独特の読後感が生まれている。

少なくとも、私は本作を終えた後で同じ作者の中編『テレキト -MOON STORY-』に手を出す程度には満足した(こちらは長いだけあってより良かった。完結したら記事にするかもしれない)。
通勤やら夜のちょっと空いた時間に、ちょっとした短編を読みたい方には『Eternal』はどうだろうか。

概要:
宇宙ミッションを扱った1時間で終わるSFノベル

評価:5(楽しめる) 

おすすめポイント 
短時間で楽しめる
1時間分の引きポイントと、トリックはある

気になるポイント 
全体的に可能性は感じるが惜しい

アプリリンク:
Eternal (App Store 無料 / GooglePlay 無料 / PC(FREEM!) 無料)

開発:Kunsina(日本)
HP:http://kunsina.main.jp/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中