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中国版『ウイニングイレブン』からエジル選手が削除。同選手が中国政府の政策を非難したため

2019年12月15日、イングランド・プレミアリーグのアーセナルに所属するスト・エジル選手が、中国政府のウイグル政策をSNSで暗に批判したことで中国での試合放送が中止されたと、スポーツニュースで話題となった。

そして、それはゲームの世界にも波及してしまったようだ。
Neteaseが運営する中国版の『ウイニングイレブン』にて、エジル選手が削除されるという。


中国では政府の意向に逆らってはゲームが運営できない。つまり、エジル選手を削除するか、それともゲームの運営を止めるかと迫られればゲーム会社としては削除したくなくても選手を削除するしかない。
運営するNeteaseやコナミを批判する向きもあるが、社会主義の国で商売するというのはそういうことだ。エジル選手を削除しなければ、すべてのプレイヤーのデータが電子の海に消える。
プレイヤーを守るという意味で仕方ないが、これをする企業とどう付き合うかという問題は残る。

こういった事件は日本にも少しずつ影響を及ぼし始めており、対岸の火事ではない。
2019年2月には台湾のゲーム『還願(Devotion)』にくまのプーさんと、習近平主席を揶揄する言葉が見つかって発売停止になり、パブリッシャーは営業停止処分が下されている。
日本でも話題になった『還願(Devotion)』は今でも購入できず、ファンを嘆かせている。

最近で言えばブリザードは『ハースストーン』の公式大会で「香港を開放せよ」と語った香港のプレイヤーに、1年間のトーナメント参加禁止と称号および賞金はく奪の処分を下して話題になった。
オリンピックなどと同じく、こういった大会で政治的主張を行うことに関しては処罰の妥当性がある。しかし、多くのeSportsタイトル収益は中国の巨大な市場に依存する面もあり、その処罰の重さには「中国に配慮しているのではないか」という憶測がついて回った。

日本に身近な例で言えば、ある声優がライブ中に語った内容が中国を批判していると受け止められ、中国文化部に通報されたとして一部で話題になった。
これに関して処分があったという続報はない(そもそも、元発言を調べると批判の意図はうかがえない)が、中国の指導者、政策を批判しているように見えるだけで中国で商売するうえでリスクとなる。

日本でもゲームやエンタメ業界に関わる人物・作品は中国に配慮し、うかつなことは言えない状況になりつつある。
中国が経済的に大きくなるにつれ、ゲームの世界ですら中国に配慮が必要になり、ゲームの自由も脅かされている。

ゲームキャストとしてはゲームの世界ぐらい(犯罪性がなければ)思想や表現が自由であること支持する立場だが……経済の仕組みはツライ。

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