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色を失った世界を彩りを取り戻す脱出ゲーム『Discolored』レビュー。孤独な世界、プレイヤーに寄り添う音楽、演出が秀逸な1作

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「そこではすべての色が失われる」
ある砂漠には、色を失ったレストランがたたずんでいる。
そんなレストランを訪れ、緑、青、赤と一色ずつ色を取り戻し、世界を解放する脱出ゲームが『Discolored』だ。
システムは普通の脱出ゲームだが、色を使った演出、環境の描写、音楽ともに素晴らしく、世界観を重視するゲーマーなら見逃せない1作なので紹介しておく。

『Discolored』は、3Dのフィールドをバーチャルスティックで自由に動き回れる脱出ゲームだ。
バーチャルスティックが固定型のため、最初は操作に慣れが必要だが、激しいアクションは一切ないので誰でもプレイできる。
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▲3Dグラフィックは良好で、シンプルな美しさが伝わるし、端末性能に合わせて3段階にディティールを変更できる。

ゲームは謎の建物を訪れるところから始まる。
訪れたさきで、プレイヤーはモノクロの風景写真と写真を覗き見る特殊なゴーグルを発見する。
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そして、それをのぞき込むと写真の中に吸い込まれ、写真と全く同じ場所……色が失われた世界に移動し、閉じ込められてしまう。
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この白黒の空間の閉そく感たるやかなりのもので、この世界を見ていると気が滅入るほどの孤独を感じる。
砂漠にあるのは、レストランと電話ボックスのみ。
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レストランは無人で、電気が通っていてラジオもかかっているが、人の気配はない。
ここを歩き回って得られる「異世界で孤独に過ごす」感が最高に良い。
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ゲームシステムを紹介する案ら、気になる場所を調べて(調べられる場所を視点の中心に持ってくると、▼のカーソルが出るので反応する場所はわかりやすい)、アイテムを入手して、適切な場所で使う普通の脱出ゲームでしかない。
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しかし、プレイヤーがゲームを進めていくと、世界には色がよみがえる。
たとえば、このモノクロの状態で緑色を蘇らせると……。
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壁や植物などが緑に塗られ、世界が少しずつ鮮やかになっていく。
この変化だけでも見た目に新鮮だし、謎解きの達成感があって素晴らしいのだが、『Discolored』の演出はその上を行く。
単に雰囲気が変わるだけでなく、緑色の文字、緑色の物体など、これまで目に見えなかった世界ディティールが着色によって見えるのだ。
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一色、また一色と色が増えるたびに世界のディティールが深まり、空気感は変化する。
そしてプレイヤーを邪魔しない程度に、控えめに流れるBGMも世界の在り方に応じて変化し、このミステリアスな空間を演出する。
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プレイ時間はおよそ1~2時間。謎解きの難易度は簡単で、誰でも孤独な異世界を感じ、そこに色がよみがえる感動を味わえる。
異世界を感じるゲームや、脱出ゲームが好きならぜひ遊んで欲しいおすすめ作品だ。
予告動画などを見ると色がついた世界を見る感動が薄れてしまうので、できるなら動画などを確認せずに遊んで欲しい。

概要:
白黒の世界に色を取り戻すアドベンチャー。シンプルながら短い期間を十分に楽しませる

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
色のない世界に色を取り戻していく脱出ゲーム
ミステリアスで孤独な空間の演出
1~2時間で短く濃く終わる体験

気になるポイント
タッチでの移動・アイテム使用が少し洗練されていない(十分遊べる)
ラストのラジオが日本語字幕対応していない(ゲームプレイには支障ない)

アプリリンク:
Discolored (itunes Apple Arcade)

開発:Jason Godbey
販売:Shifty Eye()

HP:https://www.shiftyeyegames.com/game/discolored/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

動画:

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中