終末を迎えた異世界を理由もなく旅するゲーム『Stela』。『INSIDE』系を遊びたいときに選ぶ1本
- アドベンチャー
- 2019年10月30日

終焉を迎える古代世界のなかを、目的もわからぬまま駆け抜ける神秘の旅。
ゲーム終了まではおよそ2時間。
印象的な謎の世界を、短時間で味あわせるゲームカナダのSkyBox Labsが開発した『Stela』だ。
左右移動とジャンプがメインのシンプルな内容ながら、優れた映像表現で人間が消えた終焉の世界を見せ、冒険を楽しませるアクションアドベンチャーとして完成されており、PLAYDEADの名作『INSIDE』に強く影響を受けた……というより「独自にINSIDE系ゲームを作ろう」という意図が見て取れる1作である。
荒廃した風景に興味を惹かれ、プレイヤーは自然と異世界の旅人になれる。
▲序盤の家屋・畑のシーンなどは『INSIDE』のオマージュ感が強いが、それ以後は独自の世界を演出している。
序盤こそ『INSIDE』や『LIMBO』の影響が強いが、ゲームが進めば様々な色を基調とした風景が登場し、世界観的にも違いを見せてくる。
また、盛り上がるシーンがわざとらしいほどにサウンドで強調されるのも独特の味があって良い。

操作を見ると画面左のスワイプによる左右移動と、画面右タッチによるジャンプ、そして画面右長押しで物をつかむ3種類の操作のみ。
ステージギミックとしても厳しい操作がなく、旅の障害も簡単なパズルのみ。簡単ではあるが、映画的にシーンを進めることを楽しむゲームとしては、良い作りだろう。
なお、いくつも即死トラップが用意されているが、トラップにかかる直前からやり直せるし、トラップにかかる驚きも含めてエンタメとして機能している。

※本作はチュートリアルや画面表示が弱く、スタート時はタッチ操作だと少しやりづらい(動かせる物体に気づかないなど)可能性がある。ただ、このゲームには致命的な欠点が1つ存在している。
コントローラー操作なら問題ないが、タッチ操作で遊ぶときは掴めそうな物体を気を付けてみるとスムーズだ。
映画のように短時間で一本道を進んで終わるゲームと言えば、冒頭に挙げた『INSIDE』が代表作だが、『INSIDE』にどのシーンについても及んでいない、薄めた『INSIDE』であるという欠点だ。
『Stela』の各ステージには見た目の良さがあるし、ときには印象的なギミックも壮大なシーンもある。それが長所だ。

ところが、それらの美しいステージはストーリーとしてつながって見えない。
こういったゲームは、各シーンのイベントや登場ギミックにつながりを持たせ、プレイを通じてプレイヤーに世界観や物語を想起させるように制作される。
しかし、本作においてはそういったつながりが見えず、1つの世界を複数のステージで表現するのではなく、複数のステージがただ存在しているだけ。世界の深みやストーリーが見えてこない作りで、長所を活かせていない。
崩壊した世界を見るというテーマは良い。見た目も音も良い。しかし、それらは1つにつながっていない未完成品という印象を受けてしまい、プレイしていてとても残念だった。

とはいえ、繋がっていない段階でも魅力的だし、プレイヤーから積極的に「この世界はどうなってしまったのだろうか」と考えながら遊ぶ分には十分楽しめる。
この手のゲームで代表格とされる『INSIDE』と比べると劣ってしまうものの、『INSIDE』を遊んで、それでいて似たような別の作品を遊びたいときは、『Stela』を遊ぶのもありだし、十分楽しい時間は提供してくれる。
Steamで買うかと聞かれたら「セールのときですごく安ければ」と言うが、Apple Arcadeの定額の中で遊ぶならやって損はない。
概要:
終末を迎えた世界を理由もなく眺めながら旅するアドベンチャー。2時間強で終わる。
評価:6(楽しめる)
おすすめポイント


気になるポイント


アプリリンク:
Stela (itunes Apple Arcade)
開発:SkyBox Labs(カナダ)
HP:http://simogo.com/work/sayonara-wild-hearts/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
動画:
ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中
コメント一覧 (3)
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- 2020年03月24日 06:50
- 正しくないよ?
味わう○
味あう✕
味あわせる○
味わわせる✕
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- 2022年03月24日 22:32
- >>2
今更ですが味わわせるが文法的には合ってますよ
調べてみてください〜!
「味あわせる」→「味わわせる」が正しいです。