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『弾幕月曜日黒』レビュー:スマホのシューティングに物足りなさを感じていた皆さん。あなたが求めていた弾幕はここにあります

お盆です。お盆と言えば…… そう、弾幕ですね。

プレイヤーを速やかに黄泉へと送る、圧倒的で美しい弾幕が彼岸花のように咲き乱れる、玄人向けの弾幕シューティングが先日の水曜日に公開されました。
『弾幕月曜日黒』です。

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この作品は2016年の秋に公開された人気シューティングゲーム『弾幕月曜日』のリミックス版ですが……。
まずは、画像をご覧下さい。

次の2枚の画像は、どちらも"EASY"のワンシーンです。

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はい、弾幕ですね。とっても華々しく弾幕です。

大事なことなのでもう一度言います。
これは「イージー」の画像です。しかも1面です。

「これのどこがイージーなんだよ! フザケンナ!」と思ったあなた。
残念ながら、このゲームには合っていません。
弾幕のない平和な世界でお暮らし下さい。

「うん、イージーだね。左舷も右舷も薄いね」と思ったあなた。
もしくは「あぁ、弾幕……めくるめく弾幕……顔を埋めたい……ハアハァ」となったあなた。
見込みがあります。すぐにこのアプリで、敵弾の海に飛び込みましょう。

以前公開された『弾幕月曜日』は初心者にもシューティングゲームの楽しさを知ってもらうべく、最初は簡単で徐々に難しくなっていく、短めのステージをプレイする構成になっていました。
スマホ向けの作りであり、長期的な強化要素があったため、育成で対処することも可能で、万人が楽しめる内容でした。

しかしそんなゲームですから、暴力的な敵弾を前にして「正に恐悦至極」とむせび泣くようなコアなシューティングファンからは、「物足りない」という声が上がっていました。
一応、前作も一通りのステージを攻略すると、長丁場で高難度のチャレンジモードを遊べたのですが、そこに至るまで時間がかかったし、存在を知らない方も多くいました。

今作はそんなマニアに向けた、ブラックなレーベル(※)です。
自らホワイトな国から除外され、獄滅極戮弾幕群を求める漢たちのために用意された、漆黒の月曜日です。
手を出す人は、それを承知で挑みましょう。
※かつて、弾幕シューティングで名をはせたある会社には、自社ゲームをより難しくリメイクして“ブラックレーベル”という名でマニア向けに送り出す習慣があった。
アプリ本体は無料ですが、無料のままでは体験版で、ステージ1しかプレイできません。
全ステージをアンロックするには840円の課金が必要です。

しかし、タダで手軽に試せるし、1ステージだけでもスコアアタックを楽しめます。
イージーならそこまで難しくないので(シューター基準)、苦手な人も地獄の釜をのぞき込んで見るのは、悪くないかもしれません。

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画面をスライドして移動、ショットは自動で超連射されます。
操作性は良好で、画面下部のスコア表示部が指置き場となるため、指で画面が隠れる問題はほとんどありません。
敵の攻撃も指が邪魔になるものは、無いとは言いませんが、わずかです。

そしてこのゲームの自機には、数多くのサブウェポンが装備されています。
まずは"ボム"。画面を二本目の指でタップすると発動。
これは一般的な即時発動の弾消しボムです。

さらに画面下には武器チェンジボタンがあり、ショットタイプを切り替えることができます。
そして切り替え時には、周囲の敵弾を消してくれる"ブレード"と、地味ながら結構なダメージを与えてくれる"ホーミングレーザー"が発動します。

加えて二本目の指で画面を上にフリックすると、攻撃が一定時間強化される"スパーク"が発動。周囲の敵弾も消してくれます。
また、二本目の指を下にフリックした場合は、しばらく敵の攻撃を引き付ける"デコイ"がその場に現れます。

さらに二本目の指を2秒ほど長押ししてから上にフリックすると"タイム"が発生。敵と弾幕の動きがスローに。
二本目の指を長押しして下にフリックした場合は、前方に敵弾を防ぐ球体を発生させる"バリア"を使えます。

ボムを含めて実に7種類!
どれも強力ではありますが、ハッキリ言って、ありすぎ……。
ここまであると弾幕を前に混乱は必至で、最初はワケがわからないと思います……。
まあ「ブラック」ですから、繁雑なシステムで過重労働に蹴り出すのがデフォでしょう。
チュートリアルは丁寧ですが。

各サブウェポンには個別のゲージがあり、一度使うとそれが溜まるまで再使用できません。
ただ、そこまで待ち時間は長くなく、なにせ6つもあるので、割と連発することができます。
まずはその使い方に慣れるのが先決ですね。

ボムはゲージがなく、弾数制ですが、やられるといくらか回復します。
また、"オートボム"があり、残っている状態で被弾すると自動でボムが発動し、全弾消費しますがミスを帳消しにしてくれます。

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左はデコイで敵の攻撃をおとりに引き付けているところ。右はバリアで敵弾を防御中。
どちらも便利な防御ウェポンで、デコイはゲージの回復も早いです。
ゲージは敵がバラまく得点アイテムを取るか、画面に触れずに静止していると回復します。
静止中は画面内のアイテムをすべて吸収できるので、たまに止まって回収しましょう。


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タイムで敵を遅くしつつ、スパークでパワーアップして敵を殲滅しているところ。
スパークはスコアアタックにも必須で、敵弾も消せる最重要ウェポン。
右は被弾してオートボムが発動しているシーン。ネガポジ反転の演出が印象的。
ボムを使うと敵弾がすべて赤い得点アイテムに変わって、ゲージが大きく回復します。
クリア重視なら最後のボムはオートボム用に残しておきましょう。


全5ステージですが、まずは1ステージずつ個別にプレイしていきます。
通してのプレイは、それを最終ステージまで終えないと出てきません。
スコアが記録されなくなりますが、コンティニューが数回可能なので、全ステージのアンロックはそれほど困難ではないでしょう。

しかし、ご安心下さい。ステージ1から殺しに来ます。
押し寄せる敵弾、突然発せられるビーム、大量に湧き出る敵、そして花火のような弾幕。
強力なサブウェポンを多数装備しているためか、それを前提としているとしか思えない、嵐のように圧殺的な攻撃がプレイヤーを出迎えてくれます。

やや難点に思ったのは、このワイヤーフレームのようなグラフィックで、ここまで大量の敵と弾と地形と演出とビームと前兆表示と得点アイテムが出て来ると、何に当たっても良くて、どれがダメなのか、最初はわかりにくいこと。
敵弾には明るい色の縁取りが付いていて、区別しやすいようになっているのですが、場面によっては情報過多。
この作者さんのゲームとしては、初見殺しな攻撃も多めです。

考えるヒマを与えないスピーディーな展開に加え、選択肢が多すぎて錯乱を引き起こす6つのサブウェポンと、わき見事故を多発させる6つのゲージも相まって、私の最初の正直な感想はこうでした。
「……何が何だか わからない……」

ブラックなので、墨染めなので、「これでも許されるだろう」的な作りの印象もあります。
敵弾を吸収できるおかげでとんでもない飽和攻撃が来た『ギガウィング』や、敵弾をタメ攻撃で破壊できるため厄介な弾がイヤほど飛んできた『婆娑羅2』を思い出します。

それでも、6つのサブウェポンはどれも本当に便利なので、慣れてしまえば何とかなります。
敵弾が増えると"疑似処理落ち"で動作がゆっくりになってくれるし、「死ぬがよい」と言われながら蜂と戯れているシューターの皆さんなら、鎧袖一触かもしれません。

ただ、ゲームとしては、そこからがスタートでもあります。
このゲームはスコアアタックを強く推していて、チュートリアルで「残機潰し」による得点稼ぎが説明されるほど。

スコアは敵を早く倒して"倍率"を高めつつ、ポロポロ出てくる得点アイテムを回収することで多く増えていきます。
"ボム"やサブウェポンの"スパーク"は、強力な攻撃で敵を早く倒せるのに加え、これらで倒すと倍率上昇にボーナスが付くため、その使い方が重要。
とにかく早く倒すことを意識すればスコアが上がっていく、意外とシンプルなシステムです。

スコアはステージごと、難易度ごとに記録され、オンラインのランキングもあるので、より高みを目指すのも大きな楽しみ方でしょう。

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シューティングゲームの基本は、常に動くこと。道中は特に。
敵の弾には自機を狙ってくる「自機狙い弾」と、扇状に撃ってくる弾がありますが、自機狙い弾は動き続けていれば当たりません。
左右に追い詰められたときの「切り返し」だけ注意すればOK。
このゲームの場合、切り返しはサブウェポンで対処するのが良いです。
混合で来る場合も「左右に動きつつ扇弾の間を抜ける」形で対応しましょう。


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どのステージも最終的に、黒いコアと戦います。
コアはいくつかの小コアを伴っていて、それを破壊することでスコアを稼ぐことができますが、小コアを倒すと攻撃パターンが変わって難しくなる場合が多いのでご注意を。
右はリプレイ画面。最後のゲームとリプレイを保存したゲームは、研究のために後で閲覧したり、人に見せて自慢したりできます。


弾幕月曜日に「こういうのがやりたかったんじゃない!」と言っていた方。
これは「こういうの」じゃないやつですから、問答無用で飛び付きましょう。
この作者さんの過去作『.Decluster』シリーズのような、本格派のシューティングになっています。

弾幕月曜日を難しいと感じていた方だと、ちょっと厳しいと思います。
ただ、撃って壊して回収する、シューティングの基本を抑えた爽快なゲームなので、白い弾幕月曜日でシューティングに慣れながら、本番として挑戦するのも良いでしょう。

なお、通しプレイをクリアすると"OMAKE"に挑戦できます。
これは白い方のチャレンジステージを遊べるもの。
黒はそのアレンジ版であるため、オリジナル版と言え、「見せる弾幕」としてはこちらの方が上に思える場面もあります。
そしてOMAKEも5ステージ構成なので、本編と同じボリュームがあります。

個人的に、最近はシューティング欠乏症だったので、治療薬として存分に堪能しています。
コアなシューティングを求めている人や、弾幕がパワーで正義な人なら、必携といえる作品です。

概要:
人気の縦シュー『弾幕月曜日』のハードコアバージョン

評価:9(シューター限定だが、シューターなら必携)

おすすめポイント
 マニアも納得の本格弾幕シューティング
 BGMや演出が良い
 メリハリのある難易度選択で力量に合わせて楽しめる

気になるポイント
 弾幕が苦手な人は裸足で逃げ出す難易度
 サブウェポンが多すぎて混乱する

アプリDL:
弾幕月曜日黒 (iTunes 無料 / Android 無料)

開発:MASAYUKI ITO(日本)
HP:https://twitter.com/dot_decluster(制作者Twitter)
レビュー時バージョン:1.0.1
課金:
フルバージョン840円(ステージ2以降をプレイできる)
ウルトラサポーター120円(サウンドモードが解放)
プレミアムサポーター240円(リプレイ再生中に様々なオプションが使える)


ライター:
iPhone AC カムライターオ
数々のゲームのファンサイトを経て、iPhone 解説サイト『iPhone AC』を制作。現在はスマホゲームを紹介するレビュアーとしても活躍中。
iPhone AC / Twitter