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『ガンダムブレイカー モバイル』レビュー。ガンプラづくりは楽しいが、ガチャによってゲームのコンセプトは崩壊気味

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古くは『プラモ狂四郎』、近代では『ビルドファイターズ』。
『ガンダム』には、戦争を扱った本編とは別にガンプラ(ガンダムのロボットのミニチュア商品)を組み立て、シミュレーターの中で戦わせるシリーズがある。
プラモを題材としたこのシリーズでは、ザクとガンダムをくっつけたり、巨大プラモと小さなプラモが戦ったり、本編と異なる面白さを持つものとして人気を得てきた。
そして、ゲーム機の高性能化の恩恵を受けてこの遊びはゲーム化され、『ガンダムブレイカー』というゲームシリーズとして登場した。
そう、今日紹介するゲームはそのスマホ版、『ガンダムブレイカー モバイル』だ。

『ガンダムブレイカー』シリーズは、パーツを組み合わせてオリジナルのガンプラを作り、それを操作して戦えるガンプラ・アクションバトルゲームシリーズだ。
それはスマホでも変わらず、『ガンダムブレイカー モバイル』もその流れを汲んだゲームとなっている。
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プレイヤーは頭部・胴体・腕部・脚部・バックパック・近接武器・射撃武器・シールドの8つを組み合わせ、自由にガンプラを組み立てられる。
普通に特定機体を作ってもいいし、バラバラにパーツを組み合わせてもいい。見栄えも十分で、スマホだからこれが安っぽく見えるなんてこともない。
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組み立てたガンプラはそのままバトルで使用できる。
戦場にはプレイヤーが操作する機体に加え、2体のAI機体、1体のフレンドの機体の合計4機が並ぶ。
敵も4体まで登場し、8体のガンプラが入り乱れての4vs4のバトルは見栄えがするし、「スマホでガンプラが動かせて嬉しい」というポジティブな考え方ができるレベルに達している。
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ただ、それはあくまで「ガンダムのキャラゲームとしては良い」であり、ガチアクションとしてみると不満はある。
操作としてはスライドで自由移動、スワイプ操作でのダッシュ、2連スワイプで長距離ダッシュ、ボタンで射撃、パーツ固有のスキルが使用でき、敵に近づくと自動で近接攻撃を行うものとなっている。
が、長距離ダッシュ操作は使いづらいし、原作に存在するジャンプ機能も省かれていることは気になる。
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▲正直、オートのカメラワーク、AIが頭いいことも含めてアクションはある程度意図的に捨てているとは思う。

最大8体のガンプラが登場するのに、横の視界が狭いから仲間の動きも見えづらいし、敵AIは多くの場面で棒立ち。
一方、AIが強いステージでは画面外から奇襲されたときの納得感は低く、アクションバトルゲームとしての駆け引きは抑え気味だ。
ストーリーモードにそれを補うほどの強さもない。
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▲ガンプラ部で戦う王道ストーリーは悪くないが、パンチが弱い。キャライラストは男女ともに好き。

そして何より、ガンプラバトルゲームとして、『ガンダムブレイカー モバイル』は大きな欠陥を抱えている。
ガンプラバトルの楽しさは、ガンダムがザクのクラッカーで戦ったり、作業用機でバスターランチャーをぶっ放したり……好きなパーツを使って戦えて楽しい、というものだったはずだ。
しかし、本作ではパーツのレア度ごとの性能差が大きくなりすぎ、自由に組み立てて戦う遊びが成り立たない状態になっている。
「どんなパーツも最高レア度まで育てられる」ことも宣伝されているが、実際に育てると時間がかかるし、育てても元からレア度が高いパーツより性能で大きく劣る。
★4パーツが大量になければ、余分なパーツを育てずにレア度の高いパーツだけを使うゲームになる。
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パーツのコスト制限をかけているミッションもあるが、少しコストを超えると厳しいペナルティを受けるため、過去作のように「高コスト機体は強いがリスクがある」というつくりでもなく、単純にガンプラの幅が制限されている。
結果、前作である『New ガンダムブレイカー』(以下、Newガンブレ)と比較すると、単純に元のゲーム枠組みのままで、面白さの核だった部分をガチャにして全体的に面白さが目減りしたゲームになっている。
現在の『ガンダムブレイカー モバイル』は、ほぼそんな作品だ。

ただ、“ほぼ”というのがミソで、『ガンダムブレイカー モバイル』にもゲーム機版を超えるポテンシャルを持つ部分がある。
それは、ガンプラの写真をとる“フォトスタジオ”だ。
アクション部分は大幅に減ったが、性能差を気にせずパーツを組み替えて写真をとるモードはとても楽しい。
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▲3Dのガンプラをぐりぐり動かし、背景・ポーズ・エフェクトを選択して簡単にガンプラ写真が撮れる。

スマホだからTwitterに投稿しやすいし、電車での移動中もパーツ組み換えして写真をとれるし“ガンプラ写真をとるアプリ”としての可能性は無限大。
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カットインを使って遊ぶことだってできる。
このアプリがあれば、無料で、誰でもガンプラ遊びが楽しめるのだ。
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現在は塗装が特定の組み合わせに限られていたり、背景が2Dの1枚絵だったり、複数のガンプラを配置できなかったりと制限が多い。
初期状態では200パーツしか所持できない(他のゲームと異なり、レア度が低いパーツでも組み合わせを楽しむにため売り払えないためあふれまくる)など仕様上の不満も多いが、それでも続々とガンプラ写真が生み出されている。
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▲現在はプリセット(特定機体のパーツをコンプするともらえる)のみの塗装。それでも楽しいけど。

今はガンダムファン向けでしかないし、『Newガンブレ』など既存シリーズの快適さを知っている(私のような)プレイヤーには辛口な評価されてしまう部分はあると思う。
とくに、パーツを揃えたいと考えるとなかなかの課金が必要。好きなガンプラのパーツを気楽に組み替える世界には戻れない。
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▲ピックアップで各パーツ0.336%。ガチャ1回当たりの価格はかなり安い部類だが……。

ただ、私はこの「いつでもどこでも、誰でもガンプラ写真が撮れる」ことがものすごく大きい可能性を秘めていると思っていて、塗装などの不満点を解消していけば「AIに戦わせて眺め、ガンプラパーツで写真をとって遊ぶ」アプリとしてガンダム好き必携の1本になるかもしれないとは感じている。
『ガンダムブレイカー』として評価はしづらいが、『ガンプラモバイル』的なアプリとして、地道なアップデートで伸ばしていって欲しい。

概要:
ガンプラを組み立てて戦い、写真をとるゲーム。スマホガンダムゲームとしては出来がいい。ただ、ゲーム機版と比べると課金がきつく窮屈なだけで、現状では辛くならざるを得ない。

評価:5(楽しめる)

おすすめ
キャライラストがいい
ガンプラを動かせると考えればアクションは許容範囲
ガンプラをどこでも組み立て・投稿可能
運営が改善の意思を示しており、将来良くなるかも

気になるポイント
パーツがガチャ、属性など課金のための新要素が組み合わせを狭めている
組み合わせを楽しむゲームだがパーツ所持数が非常に少ない
組み合わせと戦いを楽しむコンセプトの崩壊
フォトモード・ガンプラカスタマイズの機能がまだ弱い

アプリリンク:
ガンダムブレイカーモバイル (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

販売:BANDAI NAMCO Entertainment(日本)
開発:カプコン(日本)
HP:https://g-b.ggame.jp/
レビュー時バージョン:1.0.3
課金:ガチャ、スタミナ、ガンプラ所持数枠拡張などスタミナ以外はほぼ必須

ライター:寺島壽久(ゲームキャスト トシ)
ゲーム紹介サイト、ゲームキャスト管理人でゲームライター。
アクション、新しさのあるゲーム、旅を感じるゲームが好き。
Twitterでも情報発信中

動画: