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Googleはマニア層に向けてSTADIAを発表している。STADIA Connetの感想

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Googleの新しいクラウドゲームサービス(オンライン上でゲームを実行し、動画でストリームして映像を送って遊ばせるプラットフォーム)STADIA。
スマホでも、PCでも、TVでもネットさえあれば、端末の性能に関わらず同じゲームがどこでも遊べるサービスとあり、「これでスマホゲームもかわりますね」などと聞かれることが多いので、もう記事で現時点の感想を書いおこうと思う。

最初に書いておくと、スマホゲームはSTADIAで変わらないと思う。
最適化せずにゲーム機の作品をスマホで遊ぶのは難しいし、遊んでもすぐパケット上限に達してしまう。少なくとも 通信バックグラウンドが強化されるまで、ほぼスマホでSTADIAという選択は特殊なオプションでしかないだろう。

では、PCやTVではどうかというと、しばらくしたら必須のオプションの1つになると考えている。
クラウドゲームは、マニアックな位置ではあるがすでに実用段階だ。
実際に遊んでみると「遅延がある」とは言われるが、気になるのはコントローラーの操作に対してキビキビ動く2Dのドット絵レトロ系ゲームばかりで、常に何かしら動いている3Dゲームでは目立たない。
優れたプレイヤーがFPSや対戦格闘ゲームを遊ぶなら差が出るだろうが、アクションも含めて多くの1人用ゲームは快適に遊べる。

これは、Windowsに対応したPS Nowを試せばすぐわかるはずだ(1週間無料お試しできるから、試すといい)。
『シャンティ』や『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のように2Dドットでキビキビ動くレトロゲームでは違和感があるが、3Dであれば『ブラッドボーン』だって遊べる。
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▲ソニックは無理でした。

『アトリエシリーズ』のようなRPGはもちろん、『バットマンアーカムナイト』のような遅めのアクションなら快適とすら言える。
最近ではオンラインを前提にあえて遅延させている(オンライン時はそのマージンを使ってオフラインで遊んでいるときのように動く)ゲームもあり、遅延が気になる状況は少しずつ減っている。
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▲意外にもBloodboneやDarksoulsはいける。

さて、そんな説明をしたところで、STADIAの発表の感想に入ろう。
発表会を見る限り、STADIAは堅実な戦略に出ているように感じられた。

私は、STADIAが初期にとりこまなければいけないのは、ゲームマニア層だと考えていた。
本体の性能に関わらずゲームができるから、ゲーム機を買わなくても、カジュアル層も大作ゲームができるなどと言われているが、ゲームのために新しいコントローラーを買うか、すでにコントローラーをつなげ、新たに月額サービスに入るようなプレイヤーはコア層だと考えている。
また、ストリーミングサービスの性質上、通信量がかさむ。
海外のインターネットサービスはデータに対して課金されるサービスもあり、ゲームのために使い放題プランに契約するような人でなければいけない。
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▲STADIAに必要な通信速度と性能。標準と言える20Mbpsで遊ぶとしても、通信料は膨大になる。普及した場合、Winnyのようにプロバイダ側から制限されることも考えられる。

そもそもとして「STADIAは他のクラウドゲームサービスより遅延が少ない」という売り自体がマニア向けだし、発表会で『バルダーズゲート3』などを誘致し、『Get Packed』『Gylt』を独占で持ってくるなど、Google自体もそれがわかっていると感じた。
STADIAはゲームのコア層を取り込みにきているのだ。
 
ただ、現段階ではSTADIAの魅力は薄い。
おそらく、多くのプレイヤーが期待していたのは「大作が定額で遊びまくれるゲーム界のNetflix」だったと思うが、実際には月9.99ドルを払えば一定の範囲でゲームは無料だが、新作は購入する必要があるサービスになった。
音楽も、映像番組も定額サービスになるから、次はゲームが……と思われるのも仕方ないところだが、そうはならなかった。

すると、今度は「どんなゲームが遊べるのか」となるが、現在の独占タイトルを見るだけではちょっと弱い。
Googleはゲームメーカーではないから、任天堂でいえば『マリオ』や『ゼルダ』のような自社キラータイトルを持たない。
独自の開発スタジオを作っているし、他のメーカーにもクラウド専用ゲームを開発させているようだが、それ次第で……という話になるだろう。
(私としては金にまかせてRockstarの新作を独占クラスのものを期待したい)

STADIAは、今の発表だけを見れば魅力の薄いプラットフォームだが、絶対に11月のサービスインまでに何かをだしてくるだろう。
結局、ゲームプラットフォームの行く末を決めるのは、遊べるゲームでしかない。
一気に人を集めて強みを発揮する段階に達し、配信からプレイまでゲーマーのライフスタイルに新しい提案ができるか、というところにかかっていると思う。

スタートダッシュさえ決められれば、インストール不要で遊べるのは大きい(もう、PS4のHDDが満タンで厳しいゲーマーがどれだけいることか!)し、普及が進むほどにYoutube連携は効果を発揮する。
配信者が遊んでいるゲームにそのまま参加できるとか、配信者が遊んでいた状況を再現できるとか、動画に対して割り込むような形でゲームに参加できるとか、そういったGoogleならではの動画連携要素が発表されており、普及した後は他のプラットフォーマーは追随できない強みになる可能性がある。
どんな隠し玉を見せてくるのか今から楽しみ……という期待感を持ってSTADIA Connectの番組を見終えた。

それができなければ、看板ゲームを持ち、ハードを抑えているPS Nowや、そのほかの競合に比べてかなり厳しい(PS Nowはタイトルによってローカルダウンロードも可能で、2Dドットゲームが厳しいクラウドの欠点を補える)戦いを強いられることだろう。
足踏みしている間に、ソニーと手を組んだMicrosoftなどが「クラウド版マインクラフトを出す!」と言い始めるともう、泥沼の独占タイトル・時限独占タイトル合戦が待っている。
まあ、それはそれでプラットフォーム競争が激化して、サービスが良くなりそうなのでゲーマーにはうれしい状況かもしれない。