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ソシャゲの宣伝失敗経験が、バズるインディーゲームを作らせた。飼い主を犬が投げるアクション『PlayDog-PlayTag』開発者インタビュー。

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インディーゲーム展示会“BitSummit 7th”向けに発表された犬のお散歩ゲーム『PlayDog PlayTag』。
元気な犬が飼い主を振り回して凶器にし、建物を破壊しながら進む様子が注目を集め、瞬く間にバズった本作。
その内容と、「なぜ、こんな企画を作れてしまったのか」を開発元のニューロン・エイジさんに伺った。

お話をうかがった方々
二階学さん
ニューロン・エイジ開発本部長。背景デザイナーを経てマネージャーに転向。関わったタイトルは『Devil May Cry 3』の背景など。
参考リンク:ニューロン・エイジ公式サイト

山下未央さん
2011年からモバイルで企画・開発運営を担当。 代表作はスマホ恋愛ゲーム『はち恋』など(企画、シナリオ・スクリプトなど全般を担当)。
参考リンク:はち恋公式サイト


nama
本日はよろしくお願いいたします。
最初に、ニューロン・エイジという会社について教えていただけないでしょうか。

二階:
ニューロン・エイジはグラフィックに強いメンバーを基本に立ち上げた会社で、創業20年目になります。

受託では、たとえば『モンスターハンターワールド』や『バイオハザード6』などに関わっております。

nama
スマホではオリジナルタイトルを手掛けつつ、ゲーム機では大作に関わっているというイメージなのですね。

二階:
インディーゲーム開発に関しては、受託だけではなく、オリジナルゲームを作りたいという社内の要望があって立ち上げました。
また、会社として小さいチームで物を作り、オリジナル作品を世に送り出すノウハウを作る狙いもあります。
今回はスマホではなく、Steamで配信するインディーゲームになります。ソーシャルが円熟期を迎えてきているなかで、インディーで世界に向けて発信するのがいいのではないかと考えて、インディーゲーム開発チームを作りました。

nama
ニューロン・エイジさんは100名程度の規模ですし、大作ゲームにも関わられていますし、インディーとしては規模が大きめのチームになるのでしょうか。

二階:
実は、常時稼働しているのは企画、プログラマ、アートが1人ずつで3人です。
手の足りない所は別プロジェクトの社内スタッフにこっそり手を貸してもらいながら制作する…といった形で開発を進めております。
企画の山下が2011年度、プログラマは2018年度入社の新人で、アートが一番の古株ですね。

nama
規模的にはまさにインディーチームですね。
現在のメンバーを決めた理由は?

二階:
チャレンジ精神が強そうな人を選びました。
アートが古株なことがうまく作用していて、テクニカルな見地から建物の壊し方を織り込んでプログラマにアドバイスするなど、ゲームが柔軟になっていると思います。
また、古株だけにモーションの作業が強い社員、モデリングが強い社員などを全部把握してくれていて、必要なときに知識を分けてもらえるのも強みでした。
あと、彼の声がかかればみんなNOと言いづらいので……(笑)

nama
グラフィックに強い会社の知識を全部引き出せる人選というわけですね。
規模は普通のインディーですが、会社内でインディーを作るという中で強みを生かせる人選になっていると。
ある種、“社内インディー”の理想かもしれないですね……。早速ですが、そんなゲームの内容についてお聞かせください。

山下:
『PlayDog-PlayTag』のゲーム内容に関しては、企画担当の私から説明させていただきます。
このゲームの内容ですが、街中で逃げるエネミーを取り合い、2人~4人のプレイヤーが入り乱れて、わちゃわちゃ争うゲームですね。
エネミーを攻撃することも重要ですが、プレイヤー同士も飼い主を投げて、妨害しあうことが重要になります。
人のゲットしたものを奪う足の引っ張り合いで、リアルファイトになりかねない泥沼なものを目指しています。

nama
リアルファイトになりかねないパーティーゲーム、いいですねぇ(笑)
面白い対戦ゲームほどリアルファイトに発展しがち。
飼い主を投げて建物を壊せる要素はどのように絡んでくるのでしょうか?

山下:
エネミーが建物に逃げ込んでいくので、建物を壊して捕まえ、それを妨害しあって進めていきます。
また、今後詳細情報を出していく予定ですが、建物を壊すと特殊能力“アビリティ”が落ちることがありまして、これを利用してゲームを有利に進めることができますね。

nama
なるほど、ゲームのイメージができてきました。
内容が分かったところで、企画の経緯というか、飼い主を投げて建物を壊すゲームの企画・発想の出所を教えていただけないでしょうか。
あのTwitter動画は天才の発想というか、ヤバいインパクトがありました。


山下:
実は、最初は犬の散歩ゲームで、建物を壊す仕組みすらありませんでした。
複数あった企画の1つが「犬の散歩をしよう」というもので、「犬がラグドール挙動の人間を引っ張りまわしたらどうだろう」とプロトタイプを作ったんですね。
そうしたら見た目が面白くて「これだ」と。
ただ、見た目重視で題材を決めたので、どうやって面白いゲームにするのか、後で紆余曲折がありました……。

nama
すみません、話がそれますが「見た目重視」で企画を選んだのはバズりを狙って作られたという側面があってでしょうか?

山下:
それもあります。
無名の我々がインディーズに乗り込んでいき、認知を広めたいと思ったとき、どんなに面白くても「プレイの精密性」などが間口を広げることにはなりづらい。
間口を広めるために、超ライト層、Youtubeとかでしか見ないプレイヤーに伝えることは必須で、バズりそれありきで企画を立てていました。

nama
思惑通りにバズったと。さすがプロのゲーム企画。

山下:
企画には織り込んでいましたが、やっぱり未知数ではありました。
最初、BitSummitに参加するとツイートしたときはまったく反応がなく「この調子だったらBitSummit出してもフライヤーがあまるだろうな」と思っていました。
あの動画ツイートで成功し、海外メディアからも問い合わせが来て、Twitterの力がこんなにあるものかと驚いています。
 
nama
バズりは確率を上げることはできても、読めないですもんね。
とはいえ、山下さんの代表作の『はち恋』もリリース当時にバズっていましたよね。
美少女恋愛ゲームなのに、太めのヒロインがいるとか。
01

山下:
実は、その経験からのリベンジでもあります。
もともと話題になったヒロインは、バラエティを出すために計画を持って入れたもので、バズるためのものではなかったんです。
そのため、『はち恋』は少し話題になったのですが、その話題性はすぐ衰えてしまって……。
それに伴って、宣伝で苦戦してサービスも終了してしまいました。苦い経験ですね。
だから、今回は宣伝から計算して作って、今のところうまくいってほっとしています。

nama
なるほど。
面白そうなものを作れそう+ビジュアルでバズることが必須というのが企画に求められたタスクで、『はち恋』の経験がそこに生きていると。
しかし、バズる代償にゲーム内容は紆余曲折があったと。そこはバランスが難しいですね。

山下:
最初から物理法則シミュレートでゲームを面白く組み立てられるとは思っていまして、ゲームとしては建物を壊すなどは早いうちから存在していました。
ただ、そこから遠心力で壊したり、迷路のようにしてみたり、かなり試行錯誤はしました。

nama
王道の物理アクションのつくりで、それはそれで問題なさそうですが……そうはならなかった。

山下:
はい。決定的に「これ」と思えるものにならならず……。
ところが、あるとき悪ふざけのように「飼い主を投げてみよう」としたら面白くて、急にそっちのゲームになってしまいました。

二階:
急に変わったもんね。
当時は色々と試行錯誤して悩んでいたのはわかっていたけども、「ゲームとして成り立ちそうだからそろそろ作ってくれよ」と思っていました。
BitSummitに出展だけは決めてあるので、そこに目標設定を合わせて作ってくれと。
ところが、ある日見たらゲームが変わってる(笑)

nama
製作しないといけない時期がきているのに、ある日ゲーム内容が変わっているというのは管理側としてびっくりしますね(笑)

二階:
ただ、ゲームとして成り立つなら面白いなって思いましたね。
だから、作ってみて欲しいと。

山下:
私も、飼い主を投げて建物を壊す仕組みを考えたとき、「これは面白いしいけるかも」という手ごたえはありました。
1つ目のブレイクスルーだったと思います。

nama
実際、Twitterを見ていた人たちもそこにびっくりしていましたね。
1つ目のブレイクスルーという表現なら、2つ目のブレイクスルーも?

山下:
戦う要素は最初なかったんです。
飼い主を投げる案でゲームを作ってテストプレイを始めたら、みんな、他のプレイヤーに向かって飼い主を投げて戦おうとし始めるんです。
バトルのシステムが入ってないのに、プレイヤーは放っておくと乱闘しようとする。
ここでまた「たたかう方向にした方がいい」となって、足の引っ張り合いを主軸に進めたとき、また面白くなって、「行ける」となりました。

nama
人間、体は闘争を求めますからね。
山下さんの人生が詰まった企画、実際にプレイできるのを楽しみにしています。

山下:
おかげさまでBitSummit展示版はライトなパーティーゲームとして楽しめるものになったと思います。
ブース"IP-10"お待ちしていますので、ぜひゲームを体験してください。

nama
絶対に行きます!

一見、狂気のゲームと思われた『PlayDog-PlayTag』。
だが、このゲームの成立とバズった動画の背景には思いのほか深い計算と、宣伝不足でゲームが終了してしまった悲しい過去があった。
その経験から作られたゲームの面白さ、そして恐らくまだ隠れている「バズりの仕組み」を知りたい方は、BitSummitブース"IP-10"を訪れてみて欲しい。
関連リンク:PlayDog-PlayTag公式Twitter

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