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どんなドット絵も90年代のゲームセンター風にする『Natural CRT』登場。ブラウン管の物理特性から”なつかしさ”を再現したUnity向けフィルター

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オリジナル創作物の展示・即売会コミティアC128で、ちょっと面白いものを見つけてしまった。
“ピクセルアート”などと呼ばれる近代のドット絵より、さらに懐かしいドット絵を、現代の液晶で再現するフィルター『Natural CRT』だ。
現代に移植されたレトロゲームを遊んだとき、ブラウン管CRTモニタで遊んでいたころの色合いと何か違うと感じることがある。しかし、そこにあったものは記憶の中の「懐かしのゲームドット」に近いものだったのだ。
なぜ、「懐かしいと感じるドット絵」が表示できたのか、製作者さんのこだわりを聞いてきた。

『Natural CRT』は、現代のモニターと、昔のブラウン管に写したときに生まれる物理的特性の差を埋めるもののようだ。
現代のモニターでは、ドット絵を表示すると四角いドットが隙間なく並んだものとして描かれる。
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▲KOF98のスマホ版より

ところが、昔のCRTモニターははるかかに荒い点の集合体で、近くで見るとまったく異なる見え方になる。
実際、CRTに近づくと下図のように小さな粒が隙間を置いて並んでいるのがわかる。
また、粒はライン上になっており、ここで見える線を“走査線”とよぶ。
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現代ノットと絵ゲームで「走査線」のON/OFFオプションがあるが、あれはこのラインをそれっぽく表現するオプションなのだ。
だが、多くのゲームでは走査線オプションを利用しても単にラインが走るだけで(それでもだいぶ違うが)CRTと見え方は異なる。その差を埋めようとするのが『Natural CRT』というわけだ。
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▲同じくスマホ版KOF98より。走査線ONの状態

CRTは、蛍光体(赤・緑・青に発光する3種類の物質)をずらしつつ敷き詰めて制作されている。
具体的には、下図の8番の個所のように六角形に敷き詰められている。つまり、CRT風で作ると現代モニタで表示されるドットのようにまっすぐは見えない。
また、隣り合ったドットの色に少し影響を受けて色が混じる特性があり、先ほどの画像のようにきれいに色が分かれた線にもなりづらい。
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▲Wikipediaより。

さらにもう1つ。
蛍光体には暗い色は小さく、明るい色は大きく表示される特性がある。
ドット絵の技術を学んでいると「明るい色から暗い色にグラデーションをかけて線を描くと、目の錯覚で細く見える」と語られるが、昔のCRTでは明るい色ほど蛍光体が大きく光り、暗い色は細く光る仕組みになっており、物理的に細く小さくなっていたのだという。
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▲CRTの接写写真。明るい色が出るほど、大きく光っているのが見えるだろうか。明るさで光る面積が変わる。

・色によって見える面積が変わること
・六角形にくみ上げられている蛍光体
・隣り合ったドットの色に少し影響を受け、色が混じる

これらの特性を再現することで、レトロなドット絵を再現できるのではないか……そういった理屈で作られたのが『Natural CRT』だという。
理屈を説明したところで、実際にその効果を見ていこう。
この赤いエイリアンがドット絵の元絵で、現代的な継ぎ目のない絵になっている。
mon

これに現代風の走査線エフェクトをかけると、下記のようになる。
モンスター_よくあるCRT風エフェクト(走査線Only)

そして、『Natural CRT』のフィルタをかけた4Kモニタの画像がこれ。
昔ながらの微妙なにじみが出たドット絵になっている。
モンスター_4K向けフィルタ
▲フィルタをかける段階で(黒い線が入るので)全体が暗く見えてしまうが、それに関しては調節する機能を設けているとのこと。

さらに、これを拡大して接写してみると……この通り、CRTモニタに近い六角形の画素が見え、にじんでいることがわかるだろう。
長くなったが、これが冒頭の「なつかしさ」につながっているのだという。
モンスター_実際に4K液晶に映したものを撮影

長々と説明したが、これらのこだわりの処理を誰でも、どのハードでも使えるようにしたのが『Natural CRT』となる。
このフィルタをUnityのAsset Storeから導入するだけで、どんな映像も、こだわりのブラウン管風になる。
作者さんによると、ゲーム機やスマホの性能に上がっている中で、そろそろ表現として「CRT風」をもっと突き詰めても良いのではないかと考え、誰でも使えるのフィルタとして作り、販売することを考えたのだとか。

だから、このフィルタは色々な用途に使える。
例えば、縦スクロールシューティングなら……。
STG自機_元画像

縦の走査線を走らせて、縦シュー用の絵作りができる(前のエイリアンのドット絵は横に黒い線が入っていたが、こちらは縦に線画入っているのがわかるだろうか)。
STG自機_実際に4K液晶に映したものを撮影

実際に導入し、動かして比較した動画がこちら。


性能的にはスマホでも動くようになっており、さまざまな解像度向けに調整する機能も搭載しているとのこと。
原理的には4K解像度以上で最も忠実な再現をするが、半分の画素しかないHDなどでも独自の工夫で「それらしい映像」にしてくれるという。
STG風_iphoneXS解像度_アスペクト比維持
▲iPhoneXSで実際に動かしたもの。3Dがそれなりに動く機種なら十分使えるとのこと。

実写の動画などにフィルタをかける、さらにノイズを描ければ「ブラウン管TVで見るビデオ風」になるし、3Dゲームに使っても「昔風」になるとのこと。
ドット絵系ゲームはすでにたくさんあるし、ピクセルアートと呼ばれて新しい表現技法が出てきてもいるが、まだまだ古い方向にも伸びていく可能性を感じた。

実際に使ってみたい開発者の方は、Unity Asset Storeで販売しているので下記のURLから確認してみて欲しい。

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