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”美しい風景の中でドラゴンの背に乗って戦う”を楽しむゲーム。『ゲイルライダー』レビュー

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「なんだか、パンツァードラグーン関連の署名運動を応援している海外アカウントがあるなぁ」
かつて、セガサターンで発売され、ドラゴンに乗って戦うシューターゲームの代名詞でもある名作『パンツァードラグーン』。
それに関する復活の署名活動のツイートをRTを見たが、よくよく見てみると、彼らは『ゲイルライダー』というドラゴンに乗って戦う買い切りゲームを製作しているらしい。
とはいえ、さらに調べると彼らは2Dメインでカジュアル・ソーシャルゲームを作っている会社だったのであまり期待していなかったのだが……出てきたものはドラゴンと風景にこだわった3Dゲームで「好きなジャンルになると、みんな力を発揮するのだな」と驚いてしまった。
そう、今日紹介するのはこの『ゲイルライダー』である。

『ゲイルライダー』は、ドラゴンの背にまたがって決まったコースを自動で進み、魔法で敵と戦う伝統的な“レールシューター”だ。
ステージクリア式を採用しており、森や砂漠など多彩なステージに待つ4体のオーバービースト(巨大ボス)を倒し、魔法世界を救うことが目的となっている。gale-6

とにかくグラフィックは本当にきれいで、森や廃墟、氷った都市など、すべての景色は見栄えがする。
いわゆる「スクショ詐欺」的な要素は一切なく、ただ美しい。
ドラゴンのデザインも結構良い感じで、手に入れたドラゴンや敵を図鑑機能で眺めることも楽しみの1つだ。
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▲ステージはすべて美しい。良く作ったな、と思う。

さて、そのプレイだが、これは独特だ。
ゲーム画面から受ける印象では「自由に空を動けそう」なのだが、実際は異なる。
画面は左、真ん中、右の3つに分割されており、スクリーン右をスワイプして左右に動く3レーンのランゲーム方式。実は、ランゲームにシューティングを足した作品が『ゲイルライダー』なのだ。
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▲グラフィックすごい!の後で、移動が3レーンで結構驚く。

実際、ステージ内にはレーンを移動して障害物を避けつつ、オーブ(スコアアイテム)を取るだけのパートも混ざっており、シューティングをメインとしつつもランゲームの影響は強い。
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攻撃方法は2種類用意されていて、1つは敵を追尾するレーザー。
スクリーン左側をスワイプして照準を動かして、敵と重ねてロックオンしたあとで指を離すと発射される攻撃力の高いものだ。
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もう1つは青い魔法弾で、これは画面左に指をあてているあいだは自動で照準の位置に発射される。ボウガンは敵に当てづらいが、迫ってくる弾などを破壊でき、防御に使用できる。
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また、敵の攻撃を受けると緑のライフゲージが減り、これがなくなるとステージの最初からやり直し。
紫色のゲージは攻撃していると溜まっていき、画面右を上スワイプすることで画面全体を攻撃する必殺魔法を使用できる。
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以上がゲームの概要であり、これだけなら「良さそう」と感じる方も多いのではないだろうか。
が、『ゲイルライダー』は限られた人にウケるものであり、万人向けとはいいがたいと思っている。
理由はいくつかある。
まずステージの演出が単調になってしまっていて、画面は美しいがメリハリが薄め。景観が良いシーンはあるのだが、もっとダイナミックなカメラ演出が欲しくなり、グラフィックを活かしきれていない感がある。
魅力はあるが、際立った山場が少ない。ボスも使いまわしが多く、オーバービーストが登場するステージ以外に薄さを感じる。

次に操作と音。
ロックオン操作が思ったより精密に求められることや、レーザーが出るまでワンテンポ遅れる感覚、音の気持ち良さなど、すべてが悪くはないが良くもないという微妙さがある。
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▲見た目はいいのに、音とか操作が……もう少し調整できていたらすごいゲームになったかもしれないだけに惜しい。

決して遊べないほどではないし、価格分の手間がかかっていることもわかる。
グラフィック以外の部分で決め手に欠けるので、『パンツァードラグーン』を好きな人が作ったドラゴンゲームを「ドラゴンゲーが好きな人が見て楽しむならおすすめ」というのが私の評価となる。
実際、美しいステージをドラゴンを操作しつつ楽しむ、という考え方なら悪くないはずだ。
私自身、2018年末に『パンツァードラグーン』の復活が発表され、リリースまで待ちきれない気持ちをこれで幾分解消できた気がするし、240円という価格に対して満足している。

上記の文章を見て「私は楽しめる人に当てはまる」と思えるなら、試しても損したとは思わないはずだ。
なお、本作は「左照準・右移動」という一般的なスマホゲームと逆の配置になっている。遊ぶときは、オプションでレフトハンドモードに切り替えると違和感なく操作できるので、初めにオプションで切り替えて遊ぶことをお勧めする。

概要:
美しいグラフィックのドラゴン・レールシューター

評価:5(価格通りに楽しめる)

おすすめポイント
美しいグラフィック
パンツァードラグーンを意識したビジュアル

気になるポイント
操作に微妙な違和感がある(主にロックオン・攻撃の反応)
敵の配置が単調。数も少ないので撃破の爽快感にも欠ける
ステージのビジュアルを見せる演出をもう少し頑張ってほしかった

アプリDL:
ゲイルライダー (itunes 240円 iPhone/iPad対応)

開発:OrionArts(シンガポール)

HP:https://www.galeridergame.com/
レビュー時バージョン:1.4
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: