ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

誰でも遊べて、毎ステージひらめきの”アハ体験”ができるパズル『Snakebird Primer』レビュー

sna-2
2015年、パズルゲーム好きの間で「驚くほど素晴らしいゲーム」と、世界的に話題になった作品がある。その名は『Snakebird』。
ヘビ状の鳥“スネークバード”を移動させ、自身の胴体を貫通できないというルールだけを守ってゴールに向かうシンプルなルール。
そのルールを使いこなし、どのステージでも「こんな解き方をするのか!」と驚き、感動できる神がかったステージデザインが支持されたのだが……。
パズル好きでなければ最後まで遊べないほど難しかった。それを補うために作られた新作が『Snakebird Primer』だ。

“Primer”とは“入門書”の意味。その名の通り、誰もが『Snakebird』の面白さを体験できる、素晴らしい入門書に仕上がっている。
本作は、ヘビのように胴長の鳥“スネークバード”を動かして、ステージに存在するフルーツを食べきってからゴールに向かうステージクリア型パズルゲームだ。
snakebird-1
▲ルールは前作と同じなので、説明画像は前作のもの。

スネークバードはスワイプするたびに1歩ずつ移動し、胴体は頭の移動したあとをついてくる。
この胴体がゲームのポイント。
スネークバードは自分の胴体を貫通して移動できない。だから、適当に移動すると胴体が邪魔ですぐに動けなくなる。
ゲーム上では手戻しが無限に行えるので問題ないが、現実にいたら絶滅は確実な欠陥生物である。
snakebirdrr-7
▲地面と胴体に挟まれ、全く移動できない。

ただ、スネークバードには驚くべき能力もある。
胴体を支える力が強く、体の一部分でも接地していれば姿勢を維持できるのだ。
たとえば、下の図のように直線上に伸びて体を支えることも可能(これだから自分の胴体につっかえて移動できなくなるのか)。
snakebirdr-3

姿勢保持の力を生かし、高いところに上ることもできる。
下のように首(?)が伸びきった状態から右にスワイプすると……。
snakebirdr-1

頭が崖に引っかかり、胴体を持ち上げられる。
また、フルーツを食べるとスネークバードは成長し、胴体が1つ伸びて行動範囲が広がる。ただし、胴体が伸びると狭い場所で動きづらくもなるので、食べるタイミングには細心の注意が必要。
snakebirdr-2

長々と説明したが、要は「スワイプして1歩ずつ動き、ゴールまで行け」ということ。
フルーツをすべて食べ、スネークバードを虹色のゲートまで送り届ければステージクリアになる。
snakebird-7

ここまで説明してきたが、ゲームのルールは元祖『Snakebird』とまったく同じ。
難しさが面白かった『Snakebird』と同じルールで、難易度を下げたら面白くなくなるのではないか……そう予想していたのだが、遊んでみるとあまりによくできていて驚かされた。
まず、そのチュートリアル。
最低限のルールだけを説明して何も強制されないのだが、普通にプレイしているとゲームの用意した落とし穴にはまり、早い段階で自然に“手戻し”を覚えるように作られている。
sna-1
▲頭が固定されて動けない!経験者なのに、自然にワナにはまって手戻しの操作チュートリアルを見ることに…。

続いてステージ構成。
元祖『Snakebird』では毎ステージ新しいテクニックを使った解き方をひらめく必要があることに加え、1ステージに複数の難題が用意されていた。それに対して『Snakebird Primer』では毎ステージのキー“新しい解き方”は用意するが、それ以外の場所は簡単に解けるつくりで、1つひらめけば簡単に攻略できるようになっている。
sna-3

これは『Snakebird』のステージに用意されていた高難度の仕掛けを分解し、簡単にクリアできるように組みなおし、パズルマニアでなくとも“ひらめきの楽しさ”を味わえるつくりにしているのだ。
sna-4

私自身は『Snakebird』をクリアしていたので手ごたえに不足を感じたが、プレイしていて「丁寧に作られたパズルゲームとは、ここまでよくできているのか」と感心するしかなかった。
単純に質が高くて誰でも楽しめるパズルをお勧めするなら、『Snakebird Primer』は間違いなく候補に入る。

前作である『Snakebird』は序盤無料で遊べるので、そちらを遊んでスラスラ解けるなら『Snakebird』を遊べばいい。
悩むようなら『Snakebird Primer』だ(Primerは最終ステージでも元祖版の中盤程度の難しさになっている)。
01

最後になるが、こんなよくできた『Snakebird Primer』には1つだけ気になる点がある。
それは価格。
定価960円は品質に見合っていると思うが、スマホには安く遊べるパズルがたくさんあるし、なかなか手を出しづらい。
が、価格を計算に入れず、良いパズルを探しているなら、これは間違いなくアリだ。

概要:
『Snakebird』の入門パズル。ルールは簡単だが、ステージを解くにはひらめきが必要

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
丁寧なステージ構成
緩くてかわいい世界観
誰でも遊べて発想力を試すパズル

気になるポイント
価格がお高め
『Snakebird』を解いていると物足りない

アプリDL:
Snakebird Primer (itunes 960円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)
Snakebird (itunes 体験無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

発売:Noumenon games(スウェーデン)
HP:http://snakebirdprimer.noumenongames.com/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: