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ラヴクラフトがクトゥルフの怪物を操り、電子の偉人テスラがテスラメカに乗って立ち向かうシューティング『Tesla vs Lovecraft』レビュー。やるとインフレが面白い良作奇ゲー

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迷信と科学がせめぎ合う20世紀。
偉大な電子技師二コラ・テスラは世紀の発明の発表会の夜に、科学を恐れたホラー作家 H.P.ラヴクラフトの手下に襲われる。
科学の夜明けを、オカルトに止められてはいけない。テスラは、発明品を手にクトゥルフ神話の怪物たちに立ち向かう。
科学が勝利するか、迷信が勝利するか。
それはプレイヤー次第なのだが、テスラも超発達した電子銃を撃ちながら量子テレポートで戦うので、ラヴクラフトに負けず劣らず胡散臭い。
そんなシューティングゲームが『Tesla vs Lovecraft(テスラvsラヴクラフト)』だ。

その日、二コラ・テスラは“テスラコイル”と呼ばれる放電システムの披露会を行っていた。彼は歴史的にもエジソンと競って勝利した、電流に関する第一人者。
歴史的に有名な研究の成果が、世界に認められる華々しい日である。
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ところが、そこに狂人がやってくる。
狂人「手遅れになる前にこの狂気の沙汰を止めるんだ。お前は決して理解できない力に干渉しようとしている!」
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当然ながら狂人は警察に連れ去られ、牢屋にぶち込まれる。
テスラ「ところで、彼の名前は何といったかな?」
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警官「彼はただの無害なフィクション作家ですよ。確かその名は……」
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「ラヴクラフト」
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▲完全に有害な顔。

牢屋に放り込まれたラヴクラフトは、手下の“ダゴンの末裔”などを送り込みテスラの研究所を燃やして発明品を奪い、宣戦布告する。
そして、テスラはこれに自らの科学技術で立ち向かう……近代の電流技師vsオカルト小説家、世紀の戦いがここに幕を開ける!
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もう、このオープニングだけで買った価値があったと言える満腹感。しかし、遊んでみるとまたこれが楽しい。
本作は見下ろし方の360度自由に移動して撃つシューティングゲームで、画面右側をドラッグするとテスラが移動し、画面右側のスティックを倒すとその方向に向けて銃を放つ基本操作を採用している。
群がるモンスターを移動しながら撃つプレイは、物量の気持ち良さがあってそれだけで楽しい。
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また、移動スティックを2連続で押すとテスラが“量子ワープ”を行い、敵や壁をすり抜けて移動できるのも面白い。
序盤はテスラの能力が貧弱で大量の敵をさばけないので、ギリギリまで引き付けて量子ワープで切り抜け、ステージ上には出現する“ショットガン”などの武器、強化アイテムを拾いながら戦う緊張感が味わえる。
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▲量子ワープは楽しいが、スティックの2度押しというトリッキーな操作が難点。

そうしてなんとか敵を倒してレベルアップすると「攻撃速度20%アップ」とか「10秒ごとに体力回復」とか、ランダムなボーナス能力が2つ提示され、プレイヤーがどちらか1つを選んでテスラを強化できる。
この組み合わせ次第でテスラは攻撃型にも、防御型にもなる。1回レベルアップするたび、大幅に強くなり、最終的にはテスラによるクトルゥフ神話の怪物虐殺が始まるのだ。
ボーナス能力は毎ステージ初期化されるので、毎ステージ弱い状態から強くなる快感と、異なるボーナス能力によって変化する戦闘タイプを楽しめる。
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さらに、ゲームを進めればテスラの発明品が取り戻され、X線を収束させて放つ”X線ブレード”や、“火薬樽”、電子銃などの様々な物品が利用可能になる。
電気と何も関係ないが、強いし楽しいのでこれはこれで良し。武器の豊富さもゲームの魅力である。
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▲アビリティは攻撃スティックをダブルタップで使用

さらにゲームを進めると、“テスラメカ”のパーツを入手できる。テスラメカ……まさか、これが登場するとは(※テスラが二足歩行メカを開発した事実はありません)。
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テスラメカのパーツをすべて取り戻すと、メカに乗って一定時間無敵で敵を蹴散らせる無双モード(勝手に命名)が解禁。
見よ、ラヴクラフトのオカルトなど科学の前に無力、無力ぅ!
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すでにテスラの存在がオカルトになっている気もするが、遊んで楽しい間はそんなのはどうでもいい。
ステージをクリアして、新しい装備や能力が増えていくインフレ感が楽しいわけだ。
で、次に見つけた新しい能力は……?
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核爆弾!?
テスラめ、核を完成させていたのかッ!
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核を取得すると大爆発が発生し、周囲の怪物は一掃される。
レベルアップ時にアイテムが出やすくなるボーナス能力を獲得できると、ひたすらステージ上に核爆弾が登場して、核爆発だけで敵を倒せることも。もちろん、テスラは無傷。
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続いて、テスラは「近くのモンスターを放射能中毒にしてダメージを与える」スキルを獲得する。
核爆発の中で1人無事に生き延び、歩きながら致死量の放射能をばらまくテスラの完成である。
あ、これヤバい。「手遅れになる前にこの狂気の沙汰を止めるんだ」と言っていたラヴクラフト先生、あなたが完全に正しかった。
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さすがにここまでくると、敵もまた強力になる。
ボス敵も出てくるようになり、ダゴンの末裔(凶悪な半魚人)が銃器を持って武装してやってくるが……すでに怪物でもテスラを苦戦させるだけで倒すことはできない。
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▲ステージ(特に後半)にはときどきボスも登場する。

それどころか、異世界の怪物が落とす“エーテルクリスタル”を貯め、解析することでテスラはさらなる発明を実現し、パワーアップしてしまうのだ。
ラヴクラフト先生、あんたは起こしてはいけない怪物を覚醒させちまったようだ。
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ここまでくるとプレイヤーの気持ちとして、完全にラヴクラフト先生寄りになってしまう。テスラは明らかに常軌を逸している。だれか、あいつを止められないのか!
そう思いつつ、プレイは面白くて止まらない。むやみやたらに武器の弾数は増え、ボーナス能力はより強力になり、後半になるほどプレイの快感が上がるからだ。見下ろしシューティングの『無双』かってぐらい。
だめだ、心はラヴクラフト先生にささげていても、体はテスラを動かしてしまう。
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▲弾数2倍、反射弾、攻撃速度60%増し。もう火花がひたすら飛び散る。

しかも、進めるとモンスター図鑑や兵器図鑑に物品が登録されていって、その説明も結構面白い。
終盤になるとステージの使いまわしとパターンの固定化に少し飽きるが、それを考えても十分に楽しめる。
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ボリューム的にも3段階あり、10時間ぐらいはたっぷり遊べる。
リリースセール価格で480円(他機種版は1,400円)とお安めなので、テスラ vs ラヴクラフトの戦いの行方を、ぜひその目で見届けて欲しい。
そして、このゲームはテスラとラヴクラフトの遺族両方に怒られろ。

概要:
テスラを操り、ラヴクラフトの怪物と戦う見下ろし360度シューティング。いろいろヤバい。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
毎ステージ能力が変化して楽しめる
ぶっとんだ物語
後半になるほど能力がインフレして派手になる

気になるポイント
移動スティック2度押しのワークになれが必要
後半マンネリ感はある

アプリDL:
Tesla vs Lovecraft (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / Steam)

開発:10tons(フィンランド)
HP:http://www.10tons.com/Game/teslavslovecraft.html
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: