ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

これぞ改良版の〇×ゲーム、『クアルト(Quarto)』レビュー。幼年期に飽きるほど遊んだ『〇×ゲーム』の興奮を、大人に提供する味わい深いドイツゲーム

harbr-12
2人のプレイヤーが、3×3マスの方眼に順番に○と×を書き加えていき、縦横斜め、どれか1列に同じ図柄を並べたプレヤーが勝利となる『〇×ゲーム』。誰もが子供時代にハマる対戦ゲームだが、このゲームは突然に冷める。
tik
▲wikipediaより引用。

というのも、これはお互いに最善を尽くすと必ず引き分けになることが小学生でもすぐわかってしまい、飽きてしまうからだ。
しかし、もしこれを最善手がわからないよう改良できたら……それは、大人でもハマる白熱のゲームになる。
今回紹介するドイツゲーム『クアルト(Quarto)』は、そんな大人のための『〇×ゲーム』である。

『クアルト』は、2人のプレイヤーが盤面に順番にコマを置いていく対戦ゲームだ。
ゲームに使用するのは4×4の盤面。『〇×ゲーム』よりも広く、展開の予想は当然難しくなる。
harbr-2

そして、4種類の属性を組み合わせて作られた16個のコマを利用する。
コマの属性とは、見た目の特徴だ。
1つ目の属性は、コマが四角いか、コマが丸いか。
q-4

2つ目の属性はコマの色が濃いか、薄いか。
q

3つ目の属性は、コマが長いか、短いか。
q-2

4つ目の属性は、コマを上から見たときに穴が開いているか、空いていないか。
全てのコマは、この4属性のどれかの要素をあわせ持っている。
q-3

これらのコマを順番に配置していき、縦・横・斜めの直線で見て“同じ属性”のコマを並べ、直線状に4つ目のコマを配置して「クアルト(ラテン語で4の意味)」を完成させたプレイヤーが勝者となる。
例えば、下の図では後手の手番で「明るい色」のコマが4つ、横一列に並んでいる。後手が最後の1コマを配置して直線を完成させたから、後手のプレイヤー勝利だ。
harbr-7

4×4の盤面という大きさ、さらに〇と×ではなく複雑な4種類の属性が絡むことにより、必然的に『〇×ゲーム』と比べると見落としが多くなるし、ゲームとしても予想が難しいものになるわけだ。

さらに、本作にはもう1つ面白いルールが存在する。
それは「プレイヤーはコマを自由な位置におけるが、置くコマは対戦相手が指定する」ルールだ。
プレイヤーが先手を取ったときを例に、手順にそって説明していこう。
先手がコマを配置する前に、まず後手が配置するコマを指定する。ここでは“色が濃く短い四角柱”が指定される。
で、プレイヤーはそれを自由な位置に配置する。
harbr-3

続いてプレイヤーは後手が配置するコマを指定する。
ここでは色が薄く長い円柱コマを指定した。そして、そのコマを後手が盤面に置く。これを交互に繰り返すわけだ。
harbr-4

単純に図形を描き続ける『〇×ゲーム』と違い、リーチ(同じ属性で3コマ直線に並ぶ)状態になっても、ゲームは終わらない。
対戦相手が「クアルト」を完成させられない属性のコマを選び続ければ、ゲームは続くのだ。
下の図では6手目にして“円柱属性”が3つ並んでリーチがかかっているが、どちらかのプレイヤーが円柱を指定しなければゲームは終わらない。
harbr-5

いったんリーチがかかると、あとはもう熱い読み合いが続く。「何を渡せば相手が自滅するか」、「あと何コマ配置すると逃げ場がなくなるか」ひたすら計算するのだ。
続く……が、あまりに序盤のリーチを警戒しているとそれ以外がすっぽり抜けたりする。
ということで、円柱リーチを警戒して“明るい四角柱”を2回連続で選んだ結果、今度は明るい色の柱で「クアルト」が完成してしまって敗北する。
harbr-7

読み合っているつもりで、実際にはどこか見落としていて「あ、やっちまった!」と悔しがる(もしくは勝って高笑いする)楽しさは、間違いなく小学生のときに遊んだ『〇×ゲーム』の楽しさそのもの。
『〇×ゲーム』は勝敗がつかなくても、4×4に盤面を広げ、コマを増やせば大人になっても同じような楽しさがまた味わえるのだ。
harbr-11


ドイツゲームアプリとしての完成度も高く、オンラインで対戦できるのはもちろん、3段階の難易度でCPUとの対戦、特定の状況から勝利する“詰めクアルト”のチャレンジモードも完備。アナログ版を持っていても買う意味のある内容となっている。
harbr-8
▲詰めクアルトは、道をたどって順番に攻略していくステージクリア型。

また、先日紹介した『Onitama』と同じような全情報が公開されたアブストラクトゲーム(完全情報ゲーム)なので、1台のスマホで友達と遊べるのも嬉しい。1プレイも10分程度と短く気軽。
『クアルト』を買えば、いつでもどこでも、子供のころに戻って友達と白熱の読み合いと、見落としの悔しさを味わえる。
ぜひ、童心に帰ってプレイしてみて欲しい。

概要:
ルールが複雑化した『〇×ゲーム』。大人になっても見落としが発生する読み合いを気軽に楽しめる。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
詰めクアルトが用意されており、ゲームのアプリ版で終わらない
〇×ゲームの楽しさを、大人になって味わえる

気になるポイント
序盤は退屈

アプリDL:
QuartoⒸ (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:ブレイズ・ミュラー(スイス)
販売:Asmodee Digital(フランス)
HP:http://www.asmodee-digital.com/en/quarto/
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
ライター:ゲームキャスト トシ

動画:


アナログゲーム版クアルトはこちら(Amazon)
513N4oLhbFL