仲間も、恋人も死んだらそれっきり。勇者だけが神の加護で蘇り、魔王の城を目指し続ける犠牲のRPG『勇者以外生き返らない』レビュー
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- 2018年09月16日
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- 評価7|

『勇者以外生き返らない』は、圧倒的な力を持つ魔王と戦う王道のバトルRPGである。
ただし、プレイヤー側のキャラクターで特別な存在は勇者だけ。
他のキャラクターは一般人で、どれだけ成長しても倒れれば復活しない。恋人も仲間も、勇者を置いて死んでいく。
犠牲を払って魔王と戦う先に何が見えるのか……本作は、簡素な見た目ながら捨てるにはもったいない熱いRPGだ。
『勇者以外生き返らない』は、前編通じてチャット風テキスト演出のバトルで進むシンプルなRPGだ。
……というか、シンプルすぎて第一印象は良くない。
キャラクター能力はHPと攻撃力だけ。バトルの行動も“攻撃”だけ。

攻撃するとキャラクターの攻撃力と同じだけ敵にダメージを与えられ、その後に敵が動いて敵の攻撃力と同じだけダメージをHPに受ける。
しかも、敵の能力すら全部表示されているので、攻撃する前にバトルの結果がわかってしまう。
最初のバトルは、ファミコンの初代『ドラゴンクエスト』のようなシンプルさである。

が、最初のバトルを終え、酒場で仲間を集め始めてからゲームは急に面白くなる。仲間には固有のHPと攻撃力が設定されているだけでなく、それぞれに特別スキルが設定されている。
HPが最大のときに攻撃力を2倍にする“抜刀”、次に行動する仲間のHPを回復する“回復”、HPが減るほど攻撃力が上がる“恨み”など、どれも組み合わせ次第で強力な効果を発揮しそうなものばかり。

これらの仲間の組み合わせを考え、どんなパーティーを組むか考えるだけで楽しいのだが、このスキルはシンプルなバトルシステムと噛み合い、面白く機能する。
このゲームのバトルでは、どれだけ仲間がいてもバトル中に1回の手番で攻撃できるのは1名のみ。
そして、行動したキャラクターが敵からダメージを受ける。

先ほど書いた通り、ゲーム内では敵のHPも攻撃力も表示されている。
つまり、プレイヤーは攻撃で受けるダメージも、敵に与えるダメージ数も、どれだけダメージを与えたら勝利できるかも、知らされていてほぼ計算できる。
さらに、パーティー内で次に誰が攻撃を受けるかもコントロールできる。
これにより、ゲームが進んで敵が強力になると、「すべての情報がわかる状態で、最適解を組み立てるパズル」に変化するのだ。

▲行動後、次のキャラクターに特殊能力を発揮するスキルの使いどころが結構難しい。
バトル中に連続して行動したキャラクターたちが仲良くなり、一定以上好意がたまると恋人になるシステムもアツい。
恋人ができると、お互いに相方のスキルを習得し、キャラクターが一気に強くなる。

なお、恋人が死んでも覚えたスキルは消えない。
そこで、パーティーに1つだけ欲しいタイプのスキルを覚えたらパーティーから外す(=勇者以外は死ぬと二度と返ってこないので、殺してパーティーから強制離脱させる)鬼畜育成プレイも一応はできる。

魔王城まではたった8ステージ。時間にして30分程度だろうか(仲間が3人ぐらいになったら、酒場で広告を見た方が絶対に面倒を飛ばせて良いので、広告は見てくれ!)。
最初に魔王城にたどり着いたとき、最初の仲間は誰1人生き延びておらず、恋人とも別れ、それでも勇者だけが変わらずに生き延びている姿に、ある種の感慨を感じてしまった。
本作はテキストがメインのゲームなのに、そんな説得力がある。

決して難しすぎはしない。
最終ステージをのぞいてレベル上げだけで攻略できるし、いざとなればバトル中に仲間が死ぬように仕向けて「怒りでパーティーの攻撃力2倍」にするダーティーな攻略テクニックなどもある。
シンプルなだけのゲームに見せて意外な深さがあり、小粒な良作RPGなのでぜひ見た目に惑わされず遊んでみて欲しい。
概要:
無限に復活する勇者を軸に、死んだら復活しない仲間をやりくりして戦うバトルRPG
評価:7(面白い)
おすすめポイント



気になるポイント

アプリDL:
勇者以外生き返らない (itunes 無料 / GooglePlay)
開発:HorieH(日本)
HP:https://horieapp.firebaseapp.com/yushaigai
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
ライター:ゲームキャスト トシ
以下、ものすごいネタバレ
リセットの選択肢が出るときは謎を解けていないので、リセットして最初からやり直しましょう。
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コメント(4)
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コメント一覧 (4)
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- 2018年09月16日 02:14
- 魔王の城攻略後のクリア?という意味はなにかあるのでしょうか。。リセット時の言葉も意味深でしたが、、、
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- 2018年09月16日 12:14
- インディーだし、無料だし、見た目が安っぽいのは仕方ないでしょ。
グラフィックだけ華麗でゲーム性が薄いゲームより確実に面白い。
ただ、ゲームタイトルが最近ラノベや安っぽい小説のそれみたいで非常にダサい。
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- 2018年09月16日 15:40
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完全クリアしました。
終わり方があっさりすぎてちょっと拍子抜けしたけど数時間で遊べる絶妙なバランスの良作でした。
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- 2018年09月16日 18:22
- 面白かった。
もう少し動線が丁寧だったら、名作と言われたかも