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仕事のストレス、SNS疲れで死んだ心を癒す社会人再生の物語。『Radiant One』レビュー

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社会人のストレスは世界共通で、それが海外でも日本でも変わらないようだ。
本日紹介する『Radiant One』の主人公ダニエルは、仕事の退屈に飽き、SNSでの関わり合いに疲れて果て、すべてを投げ出したいストレスを抱えながらも社会生活を営んでいる。
まさに、日本の社会人と変わらない状況だ。
本作はそんなダニエルが夢の世界で自らの心の奥底にしまっていたものと対峙し、再び現実と向き合う「社会人の心の再生の物語」である。

本作のシステムは、気になる場所や移動したい場所をタッチで選択し、ちょっとした入力イベント(QTE)をこなして物語を進める普通のアドベンチャーシステムである。
だが、その映像は普通ではない。
主人公の心情や美しい夢の世界を的確な映像で表現し、素晴らしい説得力で物語を見せつける。そこに引き込まれる。
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オープニングで、現実に嫌気がさしたダニエルはオカルト本に逃げ、自分の意志で明晰夢を見て、その世界を自由に行き来する力を手にする。
文字でもそれは語られるが、何より追い詰められた精神面を描写しているのは暗い家の映像だ。
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そして、夢の中を行きする力を身に着けた瞬間の美しい世界の描写。
ビーチから飛び立ち、空を自由に飛ぶシーンの解放感と躍動感は特に素晴らしい。
ダニエルは次第に現実と夢の区別がつかなくなっていくのだが、これだけ美しい映像を見せられると納得するしかない。
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そして、現実逃避にハマりすぎたダニエルが夢の奥深くに立ち入り、夢の奥底に眠る暗い何かを呼び起こしてしまう。
そのシーンの不気味さもホラーかというほどに作りこまれており、物語に深く入り込める。
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さらに、退屈な生活から逃げたはずのダニエルが、昼は現実の生活、夜は夢におびえて暮らすことになってしまったときの絶望感。そして映像の圧倒的説得力。
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▲影がほんと良い仕事してる。

ゲームとしては先ほども書いた通りどこにでもあるアドベンチャーの形式をとっており、およそ1時間もあれば終わる。
面白いかどうかと言われると普通ではあるし、「もう少し」と思ってしまう。
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しかし、この映像の密度であれば納得もできる。
夢の世界を通じて現代社会のストレスと対峙する様子は興味深いし、価値があるのだ。
例えば、天井から伸びる紐に制御されて働き続けるオフィスなどは、私の不安を呼び覚ます社会人ホラーでもあった。そういったいくつかの印象的なシーンが光る。rad-3
▲彼らはどんな状況でも「仕事には事欠かないさ!」としか話さない。

短い中で、心を再生する物語はゲームは疲れた社会人ほど共感や癒しを得ることができるはず。
難しいこともないので、現実や仕事に疲れた人に、無気力に遊んで欲しい1作だ。

2018.09.12修正:
日本語訳が完全修正されたため、日本語訳の難点に関する記述を削除。評価としては6.5って感じ。

2019.01.16修正:
エピソード形式になったため修正。

評価:6(面白い)

ゲーム概要
心象を反映した美しい映像で描かれる疲れた社会人の再生の物語

おすすめポイント
夢の世界の映像
自分が捨てたものを思い出す物語

注意点
プレイ時間短く、システムは平凡

アプリリンク:
ラジアント・ワン - Radiant One (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / Steam)

開発:Fntastic
レビュー時バージョン:1.3.1
課金:350円(追加エピソード)
公式ページ:https://www.fntastic.com/radiantone
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: