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そこにあるのは殺す自由だけ。復讐のため外道に身を堕として戦うRPG『シャドウ・オブ・ローグ』レビュー

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ある日、故郷の村は15人の盗賊に襲われて皆殺しにされてしまった。
その仇を討つため、自らも野盗となって人を殺め、血をすすり、15人全員を殺すまで戦い続けるバトルRPGが『シャドウ・オブ・ローグ』だ。
App Storeには「どこを探索し、誰と戦うのか。全てはあなたの意思で決めることができます」とあるが、この表記はある意味正しく、ある意味ズルイ。
プレイヤーには、人殺しの自由しか認められていないのだ。

村が襲われたとき、あなたは偶然にも村を出ていた。どんな人間だったのか、そのプロフィールと外見は数タイプから自由に決定できる。
能力の合計は変わらないし、後からレベルアップで差が埋まるから、ならず者、老兵、好きなものを決めると良いだろう。
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そして、活動の拠点となる“王都ダレアノス”の酒場で情報屋から盗賊の居場所を聞き、村人の仇討ちをすることとなる。
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とまあ、ここまでは普通の仇討ちストーリーなのだが、“街を出る”と一気に現実が押し寄せる。
待ちの外には複数の場所があり、その中から最も推奨レベルが低い城付近を探索するのだが……。
主人公はレベル0。そして所持金ゼロ。装備もさび付いていてまったくの役立たず。
そして目の前には無防備な商人がいる。
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で、表示されるコマンドは相手からアイテムを買う“取引する”、先に進んでより強い相手と出会う“別れる”、“所持品を見る”、“襲う”の4種類。
金はないから取引できない。別れるともっと強いキャラがあとから出てくる。
そして持ち物を見てみると、この男、レベルが低いくせにやたら良いものを持っている。
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つまり。このゲームの序盤では人を“襲う”ことでしかアイテムを得られない。
開始5分も立たずに、村人の仇討ちに燃え、義憤に駆られていたあなたの誇りは地に落ち、仇と同じ盗賊に成り果てる。
僕にこの手を汚せというのか!
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▲なお、兵士を引き連れている商人は護衛が先に出てくる。

バトルはターン制で、攻撃と防御を交互に行う仕組みとなっている。
攻撃時は画面に円が表示され、円とマーカーが重なった瞬間に画面をタッチすると敵に攻撃がヒットする。攻撃が成功すると、円が小さくなって再びマーカーが動き始め、円が最小になるまでは何度でも攻撃できる。連続攻撃しまくれると、結構脳汁が出る。
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で、攻撃が終わると敵が動いて防御ターンが始まる。
防御ターンでは敵の動きに合わせて画面に矢印が表示され、素早く矢印の方向にフリックするとダメージを減らすことができる。入力は簡単だが、攻撃を受けるギリギリでガードすると“SUPER GUARD”が発生してダメージが半減する。これを使いこなせばボスも低レベルで倒せる反面、狙いすぎて失敗すると大ダメージを受ける諸刃の剣。
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▲効果音がやたらと良い。あと、武器によっては必殺技もある。

「どうせお前など長生きはできんさ…」
死闘の末、呪いの言葉を吐いて消えていく護衛たち(※ここからのスクショは再現映像となります)。
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倒した相手の持ち物は、即座に懐へ。
さあ、護衛は倒した。最後は商人、お前だ!
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「こ、こんなことはやめてゆっくり話し合わないか!?」
俺はもう、3人殺しているんだ!もう止まれない。
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「ちくしょう…俺の金だ!俺の金だぞ…!」
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お前の金とアイテムは、俺の仇討ちのために使ってやる……!
流れるように人を殺してものを奪ったが、ここまでが実質チュートリアル。プレイヤーが清く生きる選択肢などない。
仇を討つためには薄汚れた輩にならねばならないし、手を汚したあとは“別れる”コマンドで人をやり過ごそうとしても「その返り血は何だ!」「あんた、いいもの持っているじゃないか」と、正義の味方や同業者が襲ってくることもある。
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歩くたびに人と出会い、所持品を見て「殺すか、殺さないか」判断し、アイテムを手に入れたら街に戻って売り払い、金を払って訓練(レベルアップ)する。ひたすらこれを繰り返すのだ。
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十分強くなってフィールドに戻ったら、あとは仇を探すだけだ。
フィールドでは人を倒したり、人をやり過ごして1歩進むたびに“ターゲット出現率”が上昇する。そして歩くたびに“ターゲット出現率”と同じ確率で仇が登場する。ひたすら歩けば、いつかは仇に巡り会える。
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▲盗賊たちは、皆凶悪なバックグラウンドを持つが、出会う前にプレイヤーと盗賊、どちらがより凶悪か分からなくなっていることだろう。

さあ、その手を汚し続け、人間の領域から離れ、オークの領域まで荒らして仇を討ちきったとき、あなたは満足な気持ちでゲームを終えられるだろうか。
ゲーム自体は戦い続け、良い装備を探し、ときに特別訓練で特殊スキルを手に入れたり、鍛冶屋でアイテムを強化したりするバトルRPGだ。

シンプルな作りで、冒頭をのぞいて明確にストーリーが表示されることはない。しかし、殺した相手の断末魔などがプレイヤーの中に物語を作り出し、記憶に残る。
『Shadow of Rogue』は、そんなゲームだ。

評価:6(面白い)

ゲーム概要
善悪関係なく出会った人と戦い、強くなって仇を討つ血にぬれたバトルRPG

おすすめポイント
装備が急に強くなったときが楽しい(2人ぐらいいっきに仇を討てたりする)
シビアな物語

注意点
仕組みは単調
鍛冶屋のアイテム製作を意識していないと、物不足になる

アプリリンク:
シャドウ オブ ローグ (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:R.O.Apps(日本)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
公式ページ:https://sites.google.com/site/roappgame/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: