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ディアブロのような育成自由度にハマるバトルRPG『Battle Heart 2』レビュー。2年作り込んだバランスが、どんな育成でも面白く遊ばせてくれる

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十分に時間をかけてゲームを作りこみ、出る作品は全て面白いため「ハズレなし」とまで言われて信頼されるインディーメーカー Mika Mobile。
その Mika Mobile 最大のヒット作、リアルタイムパーティー指揮RPG『Battle Heart』の7年振りの続編が『Battle Heart 2』だ。
物語重視の外伝『Battleheart Legacy』とは異なり、今作は正当パワーアップの続編であり、ストーリーなしで戦術性の高いバトル、奥深い育成をひたすら楽しむ作品となっている。

本作はステージクリア型で、マップ画面に示されている数字(=難易度)ボタンを押すと、そこで得られる報酬が分かる。数字を2度タッチするとバトルが始まる。
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バトル開始と同時に4人のキャラクターがステージに登場し、画面外からモンスターが出現する。
プレイヤーは敵が全滅するまで4人を同時に操作し、忙しく戦うリアルタイムバトルが本作のメイン部分だ。
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プレイヤーの基本操作は、キャラクターのドラッグだけとシンプル(でも、4人動かすから忙しい)。
キャラクターをタッチしてから画面をなぞると緑のラインが引かれ、指を離すとキャラクターはその位置まで移動する。
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キャラクターは敵が近くにいると自動で攻撃を行うが、明示的に特定の敵を攻撃するときは、指をドラッグして敵とキャラクターを結び、ラインが黄色くなったときに指を離すと敵が倒れるまでずっと追尾して攻撃してくれる。
仲間に効果のある回復技などを使うときは、仲間までドラッグすればOK。
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前作ではキャラが重なると指示が出しづらかったが、今作は自動でキャラが距離を取ってくれるため、操作性も改善された。
そのため、耐久力の弱いキャラを上手に移動させて囮にしたり、大勢で囲んで的確に集中攻撃をしたりするなど戦術がやりやすくなって遊びが広がっている。
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そして、もう1つ重要なのがスキル。各キャラには最大3つのアクティブスキルが与えられており、キャラをタッチしてから画面左上のスキルボタンを押すと任意で使用できる。
スケルトンを召喚したり、敵を凍りづけにしたり、それぞれ個性的でどれも強力になっている。
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このようにドラッグで移動(攻撃)、スキルの使用だけが本作の操作なのだが、これがまたえらく楽しい。敵の能力を見極めて倒す優先順位、足止めする方法を決める戦術性があるからだ。
「忙しいゲームは良いゲームである」という格言があるが、『Battle Heart 2』のバトルがまさにそれ。
ターゲット変更、スキル使用、打たれ弱いキャラの移動……戦況が次々変化するなかで常に操作が要求され、退屈する暇がない。
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それでいて、バトルは本作の面白さの半分に過ぎない。
敵を倒して経験値とGold、ステージクリア報酬が手に入れ、街に戻ってから残り半分の面白さが顔を見せる。街で育成とパーティ構成を行うのが「バトルの面白さの半分」と言えるぐらい楽しいのだ。
本作には12人のキャラが登場し、プレイヤーは自由に組み合わせてパーティーを結成できる。
酒場には仲間を守るナイト、遠隔攻撃をできるマジシャン、回復役のクレリックのような王道キャラから、スケルトンを召喚して操るネクロマンサーまで個性的なキャラがずらりと並ぶ。
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これらのキャラは“装備”と“スキル”によってカスタマイズできる。
ここで特に楽しいのがスキルの取得だ。各キャラはバトル時に起動する3つのアクティブスキルに加え、20種類あるパッシブスキルを選んで獲得できる。ただし、パッシブスキルの獲得には多量のスキルポイントが必要でいくつかを選んで覚えるしかない。
ここで取捨選択の楽しさが生まれる。
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パッシブスキルは、キャラクターのあり方を変えてしまうほど個性的だ。
例えば、ネクロマンサーはスケルトン召喚して戦わせるスキルと、スケルトンを生け贄にしての爆発攻撃スキル、必殺の一撃を行うアクティブスキルを持つ。
パッシブスキルにはスケルトンを強化したり、必殺の一撃を連打可能にしたりとアクティブスキルの能力を強化するものから、スケルトンを回復に使用する驚きの効果のものまである。私は防御が弱い編成なので、スケルトンを強化して盾にしつつ回復にも使って持久力を上げている。しかし、プレイヤーが望めば火力に全振りして「倒せなければ負ける」構成も可能。
12キャラクターすべてに面白いパッシブが用意されており、育成に好みをがっつり反映できる。
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プレイヤーの数だけ組み合わせのあるパーティー編成、そしてスキルのカスタマイズ。
バランスもきっちりとれていて、どのキャラ・スキルも使い道があり、さらに組み合わせによってはかなり強くなる。独自戦術を考えながらパーティー育成する楽しさがバトルの面白さに上乗せされているのだ。
また、お金の価値が高く、お金を貯めて装備を買うとパーティーの力が目に見えて上がるのも地味に嬉しい。
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▲ショップには固定装備と伝説アイテムが手に入るLegendary Cache(ゲーム内通貨で引けるガチャ)が売っている。ただ、伝説装備に値段分の価値は……ないかな。

さらにもう1つ奥が深いのは、「キャラクターの操作の忙しさ」の調整。このゲーム、序盤は少し「ペースが遅いかな?」と思うぐらいなのだが、ゲームが進むにつれてスキルが増え、チャージ時間が早くなり、操作はどんどん忙しくなる。
そうなると普通のプレイヤーはキャラの能力を100%発揮できなくなるので、操作不要で自動で回復し続ける詩人をパーティーに入れて1キャラクター分操作を省いたり、その余裕でスキル使用回数が多くて忙しいネクロマンサーを採用したりして、プレイヤーの腕を考えてパーティーを構成する楽しさもあるのだ。
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この結果、ゲームが進むほどキャラの個性がパッシブスキルで磨かれ、バトルはハイテンポになって操作が忙しく、より楽しくなる。ストーリーがなく、バトルと成長だけのゲームだが、加速的に楽しくのであまり気にならない。先に進むとエンドレスで戦うアリーナも登場し、「どこまで戦えるかやったるぜ!」とまた楽しめる。
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さらにさらに、キャラの入れ替えて戦術を組み替えるのも簡単だ。
キャラには固有のレベルが存在せず、プレイヤーのレベルに応じて強化されるのでレベル上げは不要。いつでもパーティー入れ替えができる。スキルポイントも100Gold消費すると払い戻しされるので、多少の手間で遊びたいキャラを試せる。

かゆいところに手の届くシステムで、多様なキャラの組み合わせ、自分流に育成して「俺コンボを試す」バトルの面白さが完全に機能している。
当然、試行錯誤を邪魔するスタミナや割り振り直し課金もなし。買い切りゲームでは当たり前のことではあるが、これを当たり前のようにやってくれて、しかも面白いゲームと言うのはなかなかない。
Mika Mobile のハズレなし伝説は、今回もまた更新された。
間違いなく面白いゲームなので、バトルRPG好きは遊んで欲しい。文句なしのイチオシだ。

追記:
英語が読めなくても『Battle Heart 2』が遊べるキャラ・用語の攻略ガイドを書いたので、英語に臆せずぜひ楽しんで欲しい。

評価:8(かなり面白い)

ゲーム概要
個性豊かなキャラを独自理論で育て、バトルで成果をためす育成RPG。

おすすめポイント
忙しくも楽しいバトル
プレイヤーの好みでキャラの方向性が変わる育成
個性豊かなバトル

注意点
ストーリーやイベントがない
最初から楽しめるが面白さが加速するまで1時間程度必要
マルチプレイ(協力プレイ)が貧弱

アプリリンク:
Battleheart 2 (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:Mika Mobile(米国)
レビュー時バージョン:1.0.2
課金:なし
公式ページ:http://www.mikamobile.com/
ライター:ゲームキャスト トシ

動画: