ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

ベルギーにて『オーバーウォッチ』など換金性のないルートボックス(ガチャ)が賭博認定される。ミネソタ州では成長に悪影響として18歳未満への販売禁止を含む法案提出

gachagacha_ataranai
ランダムにゲーム内アイテムを与えるルートボックス(ガチャ)が賭博か否か、問題要素なのか?
『スターウォーズバトルフロント2』で火がついたこの問題は、諸外国で激しい議論を呼び、様々なスタンスで規制が成立しつつある。

およそ5ヶ月前、ベルギー賭博委員会が『オーバーウォッチ』などのルートボックス(ガチャ)がギャンブルにあたるか確認中とお伝えしたが、ベルギーのKoen Geens法務大臣は2018年4月25日(水)、『Overwatch』や『FIFA 18』、『Counter-Strike: Global Offensive』の3タイトルのルートボックスが賭博に相当すると公表した(公式サイト記事
パブリッシャーが改善しなければ最高で5年の懲役と80万ユーロの罰金を科すと勧告したという。
これまで、ルートボックスについては「換金できるかどうか」で賭博認定されたり、「ゲーム内の有利不利をもたらすかどうか」で擁護されたりしていたが、今回の認定は換金性・ゲームへの有利不利に関係なく賭博と認定される厳しい判定となる。

ベルギー以外での状況は、私の知る限り下記の通りだ。

換金できれば賭博のオランダ
オランダでは、ルートボックスが賭博として認定されて話題になった。
これは換金性の有無が問題となり、外部にルートボックスからのアイテムを換金する仕組みがあり、それらが機能しているゲームが賭博として認定された。

メーカーが「RMTは禁止しており、換金できない」と予防線をはっている日本と意識的には近いのかもしれない。

ゲーム内に換金システムがなければOKのイギリス
イギリスではゲーム内に換金システムがなければ、ルートボックスは賭博ではないと裁定されている。
オランダより少し緩い認定になる。

確率を開示すればOK
中国ではが義務づけられており、確率が開示されていれば合法というスタンス。
ただし、ゲーム自体が青少年に悪影響を与えるものとにらまれており、油断はできない。

ルートボックスに迫るさらに厳しい法案も
ただ、ルートボックスの立場はまだまだ苦しくなりそうな気配がある。
最も新しいものは、ベルギーと同じく4月25日に提出された米国ミネソタ州の規制案だ。
ミネソタ州ではルートボックスが中毒性をもたらしすぎるものとして、未成年に18歳未満にルートボックス付きのゲームの販売を禁止が提案されている。(
条文:英語
また、
このゲームには、ゲーム障害を促進するギャンブルのような仕組みがあり、有害な精神的または肉体的な健康上の影響のリスク、ユーザーに大きな財務上のリスクを与える可能性があります。」などの警告文を表示し、プレイヤーに確認させる必要がある。
賭博と言うよりも、タバコのような扱いである。

なお、ここでのルートボックスとは「直接ランダムな報酬を得る課金、直接・間接的にランダム報酬を与える仕組み」をさしており、宝箱アイテムがドロップし、それをゲーム内で手に入れた鍵などで開ける仕組みも含まれる。
つまり、課金のない無料ゲームにおいて「広告を見て、ランダムアイテムをゲット」のような仕組みも入るようだ。
ここまで広範なルートボックスの規制は珍しいが、一方でこれはビデオゲームのみの規制であり、『マジック』などの物理TCGなどに影響は及ぼさない。

全体的にルートボックスへの規制は加速していっているが、一方で気になる点は既存のトレーディングカードゲームなど、ランダム提供のパックを購入する物理TCGなどの存在だ。
これらも過去に賭博疑惑をかけられてきたが、最終的には(マジックはカードを賭ける効果のカードを禁止し、なくしたりして)地位を確立している。
しかし、ランダム排出のカードをゲームショップで換金する外部換金システムが存在するわけで、ルートボックスの規制に対してなんともアンバランスにも見える。

過去にゲームの歴史を見ていくと、「青少年への悪影響」や「賭博」などの文言で何度も規制の議論が行われているが、いずれも切り抜けてきた。
もしかしたら、このルートボックス規制の加熱にもどこかで揺り戻しが来るのかもしれない、とも思う。
とは言え、ルートボックスには「デジタルによる不透明性」や「演出などによるより高い中毒性」など物理ゲームにない要素が問題視されおり、無傷ではすみそうにない。