少しの時間だけ明るく光を灯し、燃え尽きる……ロウソクの“キャンドルちゃん”を主人公にしたアクションアドベンチャーがスマホにやってきた。
暗いステージを進むため、キャンドルちゃんは自らに灯をつけ命を削りながら道を進むことになる。
その寿命は10秒（なんて短いロウソクだ！）。
つけては消して、限られた10秒を少しずつ切り崩すたび、周囲の美しい風景が瞬間的にプレイヤーの目の前に映し出される。そんなはかないゲームが『キャンドルちゃん（Candleman）』だ。
意志を持つロウソク“キャンドルちゃん”は、ある日、自らが住む廃船が動き出したことを知る。
どうやら、遠くに見える灯台の光が船を蘇らせたらしい。
いったい、灯台には何があるのだろうか……興味を抱いたキャンドルちゃんを止めることは、何物にもできない。
キャンドルちゃんは自らの体を燃やして道を照らし、船を脱出して灯台を目指すのだ。
そんな灯台までの道のりは、ステージクリア型のアクションアドベンチャーとして描かれている。
基本はジャンプとバーチャルスティック移動を利用してゴールを目指すシンプルなつくりで、スマホでも操作に不自由はない。
だが、始めてプレイでは画面の暗さに驚かされる。場所によってはまったく周囲が見えないほど暗いのだ。
そこでキャンドルちゃんの体に火を灯して身を削りながら道を照らして進むのだが、キャンドルちゃんは10秒で燃え尽きてしまうので、常に火をつけていては燃え尽きてゲームオーバーになってしまう。
つまり、一瞬だけ灯りをつけて道を記憶するプレイが要求されることとなる。
10秒の制限は厳しくも聞こえるが、実際にプレイしてみると道はシンプルでストレスを感じることは少ない。
10回までは倒れてもやり直せることもあり、ステージ内に存在する隠しアイテムの“ロウソク”を探したとしても、そう苦労することはないはずだ。
▲ロウソクに灯をともすと、周囲を照らしてくれて遠くからでも道を確認できる。また、ステージ内のすべてのロウソクに灯をともすと、ステージ紹介時に一言メッセージがつく。
1ステージ10秒しか照らせないという制限は、大きなゲームプレイの制限は生まない。しかし、別の面では素晴らしい機能を果たしている。
灯りをともす一瞬しか世界の全体像を把握できないことが、プレイヤーに世界観を印象付けるように作用しているのだ。
たとえば、このような暗い道で灯りをともすと……。
目の前にとつぜん鮮やかな自然が広がり、プレイヤーはその落差に目を奪われる。
謎の図書館や発光性のクラゲが浮かぶ水路など、本作には印象深い場所が各所に用意されている。
単に明るいステージを歩くだけであれば、本作が印象に残らなかったことは間違いない。
画面を照らす一瞬に力を注ぎ、ギミックを作ったことで独自の“雰囲気ゲー”として魅力を発揮するに至っている。
ただ、それを楽しむ前に少しだけハードルがあるということも伝えておかねばならない。
本作の前半部分の船は風景が暗く、仕掛けも単に時間がかかるものが多く、少し退屈になっている。
その分、風景が単調な船内を出た後に一気に美しい世界が開けてカタルシスが大きいので、ちょっと序盤でつまづいても、ぜひ船外に出るまでは遊んで欲しい。
そこでゲームが大きく変わり、先に進んで、灯りをともして、そのときの光景を頭に焼き付けて……このサイクルが楽しくなってくる。
▲単調な船内から一気に野外に出たときのカタルシス！
雰囲気ゲーと呼ばれるものが好き、もしくは美しい風景を見ることが好きなプレイヤーならば、自信をもってお勧めできる1作だ。
PC版と比べてアプリ版は相応に安めに設定されているが、最初は粗かったグラフィックもアップデートで改善され（低性能端末向けの設定もある）、エンディングまでバッチリ遊べるようになったので、手軽に遊びたければこちらを選ぶのもアリだ。
評価：6（面白い）
おすすめポイント
灯りをともしたときに世界が美しく見えることに全力を注いだプレイ気になるポイント
序盤がやや退屈Candleman (itunes 600円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / Steam)
開発：Spotlightor Interactive（中国）
販売：中手游（中国）
レビュー時バージョン:2.0.1
課金:なし
公式ページ：https://www.facebook.com/CMGEIndie/
ライター：ゲームキャスト トシ
動画：
