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敵を説得して仲間にし、2身合体で別の生物にするRPG『エンタリックガイ』レビュー。スマホ向けテンポの初代『女神転生』だいぶリスペクト作品

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人間の腸の中では、善玉菌と悪玉菌が戦いを繰り広げている。あなたは、腸を守るために善玉菌のリーダーであるヒーローとして戦うのだ。
……という建前で、大好きな『女神転生(メガテン)』ライクなシステムのRPGを作ってしまいました!
それが『エンタリックガイ』だ。
敵を説得して仲間にして、合成してまったく新しい菌にしてパーティーを強化し、どんどん3Dダンジョンを進む……そんなRPGが好きなら、本作は要チェックだ。

本作を大雑把に言うならば、バトルと育成、合体だけを抜き出してパワーアップを楽しめるように調整した『初代女神転生イージーモード』という感じのゲームである。
なんせ、スタートからメガテン風のゲージで示されるステータス画面が登場し、能力ポイントを割り振るメガテン式。
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ゲームの舞台となる腸内も3Dダンジョンとして表現されていて、前進と後退、左右のターンボタンで内部を移動できる。操作性は良く、画面のスクロールもスムーズ。オートマッピング機能もある。
ゲーム内容としては、街のフロアからスタートして腸内を深く進むほどに強い菌が登場し、少しずつ強くなってボスを討伐する古典的な育成強化RPGだ。
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▲町では装備を整えたり、菌を配合して新しい菌を作ったりできる。B2Fに配合所のカギが落ちているので、とり逃さないように。

ちなみに、ボスクラスの敵は“カンピロバクター”から“サルモネラ”まで幅広くマズそうな菌を網羅しており、これらすべてを飼っている宿主は本当に生きているのか疑わしい。
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▲冒険の舞台となる腸は、もう手遅れ感が…。

そんなわけで手遅れかもしれないと思いつつダンジョンを探索していると、敵の菌と遭遇する。
このゲームでは、敵が登場したときに交渉フェーズがあり、ここでゲームに登場するほぼすべての菌を仲間にできる。
ただし、プレイヤーが選択できるのは“FB(お金)を渡す”、“脅迫する”、“説得する”いずれか3種の方法だけ。
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FBを渡すは気持ち成功率が高く、脅迫は敵より強いときに効果的なようだが、もっと重要な要素がある。
それは画面左上に表示される“宿主の体調”である。宿主の体調は時間とともに好調から不調へ、不調から好調へと段階的に変化し、好調のときは菌がおとなしくなり、絶不調のときは菌が狂暴になる。
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具体的には、腸内で敵に遭遇したとき、宿主の体調が良いと交渉して仲間にできる可能性が高くなる。逆に宿主の体調が最悪であれば交渉の余地なく襲ってくる。つまり、メガテンの月齢システムと似たシステムも備わっているわけだ。
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なお、一度交渉に失敗すると自動的にターン制のコマンドバトルが始まり、敵を倒せれば敵の数と強さに応じたFBが手に入る。
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▲オートバトルもあり、雑魚との戦いは気軽にスキップもできる。

FBがたまったら町に戻り、パワーアップタイム。
FBを支払ってヒーロー菌を菌トレ(経験値の概念はない)することで強化したり、仲間の菌を配合してまったく新しい菌を創り出し、パーティーを強化することができる。
配合を使うとまだダンジョンに登場していない高レベル菌を作ることも可能で、レベルの高い菌は相応に強く、配合は結構楽しい。
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▲配合後は、お約束の「よろしく」挨拶。

と、ここまでだいたい「ストーリーのないメガテン」で説明が付いてしまうのだが、意外にもそのプレイ感は結構違う。
短い時間で区切りよく遊べるように作られているのだ。
各フロアにはエレベーターが設置されており、エレベーターを見つければ以降は町から直接そのフロアに移動できるようになる。だから、大抵エレベーターを見つけるまでが1プレイの区切りになる(いつでもセーブはできる)のだが、大抵そこまで10分程度。短く区切って遊べる。
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▲操作はスムーズで快適。

また、この短い時間に育成を体感できる仕組みもある。
敵を倒すとときおりアイテムも手に入るのだが、このときに進度に応じた最強クラスの装備が結構手に入り、ちょっとしたハック&スラッシュRPG気分が味わえるのだ。
ダンジョン1フロア分進むと、それだけ仲間の菌が増えて、装備もいつの間にか強化されている。
このドロップの気前良さは気持ちいい。さらに、オリゴ糖という強化アイテムを入手すると、装備にランダムで強力な特殊効果をつけることもでき、たまに超強力な装備になったりもする。
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▲基本、ドロップアイテムから選んで装備。

全体にバトルの数値は大味に見えるが、実際にレベルが高い菌を作ってみると相応に強い。
パワーアップを実感できるバランスにもなっている。
テンポ良く進み、テンポ良く強くなって、気づくと最後まで遊んでいる。そういった快適なゲームになっている。
広告ほぼナシ(オリゴ糖を入手するために広告を見るだけ)のスマホ向け3DダンジョンRPGなのに、有料でも納得できる内容だ。

ただ1つだけ惜しい点を挙げるとすれば、ゲームの独自用語やルールがわかりづらい点がある。
本作では「激辛」などの世界観に沿った状態異常などが登場するが、それがどのような状態かわからないし、説明もない。辛属性や苦属性などの攻撃が存在するが、各属性に弱い敵・強い敵を一目で判別できないし、菌図鑑を見ても弱点が確認できない。
そのため、菌の能力にあまり魅力を感じなくなってしまっているのだ。
炎属性とか、海に出る敵はサンダーに弱いとか、そういったお約束はマンネリではあるが、わかることとはこれほどに重要だったのかと改めて知らされた。
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また、『メガテン』では“魔王”やら“大天使”やら「よくわからないがすごそう」な種族の仲間が登場して合成の目標になるのだが、本作ではその種族も“クダマキ科”とかすごさがわからない名前なので、配合で「作るぞ!」という目標意識も湧きづらい。
用語説明だけでもあればさらに面白くなるのに、と残念に思ってしまった。

それ以外は「スマホ向けに、豪快なバランスで、細切れで遊べるように作ったメガテンライクRPG」としていい感じに楽しめる。
3Dダンジョン……とくにスマホ向けの『真・女神転生』などの配信終了を嘆いている方にはお勧めだ。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
どんどん強くなるバランス
なんだかんだで配合が楽しい
短いフロアで区切って遊べる

気になるポイント
用語がわかりづらい
終盤は少し長めになる

アプリリンク:
エンタリックガイズ (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:NEKOSUKO(日本
公式ページ:https://nekosuko.jp/
レビュー時バージョン:1.2.0
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ