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アトリエの原点は今遊んでも楽しい。『マリーのアトリエ Plus ~ザールブルグの錬金術士~』レビュー

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選ばれた少年が成長し、出会いと別れ、大事な人の死を乗り越えて世界を救う……そんなお約束のJRPGに飽きたって?
ならば1997年に「世界を救うのはもうやめた」というキャッチコピーと共に登場した『マリーのアトリエ』はどうだろうか。
今もその中身は古くなっていないどころか、この記事を書くためにプレイした私は一気にエンディングまで行くほどハマってしまった。

ザールブルグの王立アカデミー始まって以来の落ちこぼれ“マリー”は、卒業試験として工房を貸し与えられ、5年間で一定の成果を出せなければ落第させることを言い渡される。
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▲そもそも5年あれば大学に入って出られるので、結構緩い学校なのだろう。1997年当時から「入って出るだけの緩い日本の大学制度」への風刺画見られる(嘘)

しかも、卒業試験の間までの生活費はすべて自腹。工房だけはあるが、実験器具から材料、参考書まですべて働きながら集めなければいけない。
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とは言え、落ちこぼれとは言ってもマリーも錬金術士。
初期の所持金で最低限の設備を整えたら(初期所持金が結構多いので、プレイヤーによってスタートの仕方が変わるのが面白い)、酒場で錬金術士しか作れない薬の納品依頼を受け、街の錬金屋さんとして生活していくことができる。
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が、これまた結構厳しい。
薬を作るための材料は、街の外で採取(と言うよりも冒険旅行に近い)してこなければいけない。貴重な材料は遠くに存在するため、依頼の期限も計算に入れての旅行が必要になる。
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採取中には野生の動物や盗賊などの敵と遭遇し、バトルに突入することも多い。
勇者を目指すRPGならともかく、本作の主人公は単なる女の子。序盤は狼どころか最弱のスライムにも苦戦するので、逃げながら材料を採取する必死の素材集めとなる。
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▲護衛を雇うこともできるが、それも金がかかるので初期はもう逃げまくり。

そうして材料を集めたら今度は薬の製作だが、ここでマリーの落ちこぼれっぷりが発揮される。
少し難しい薬を作ろうとすると、何回かに1回は調合に失敗するのだ。これで何度依頼が間に合わなかったことか……。
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それを乗り越えて薬を納品できれば、お金が増え、同時に経験値が増えてマリーが成長する。
また、依頼の達成状況に応じてマリーの知名度を示す“名声値”が増減し、後々のイベントに影響を与える。
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これを繰り返してレシピを購入しては作れる薬を増やし、さらなる依頼をこなし、卒業までの行いによってエンディングが分岐していく。
これが『マリーのアトリエ』の基本である。
RPGではあるが経営ゲームの要素が強く、カイロソフトの経営ゲームのような成長の楽しさがメインとなる。
そして、驚いたことにその面白さは2018年現在になっても古くなっていない。

序盤は“研磨剤”とか、“中和剤”とか、名前も効果も地味なアイテムしか作れないマリーが次第に成長し、本物の“魔法のアイテム”を作り出せたときの喜び(実際に戦闘で利用できる)はひとしお。
序盤でバトルが厳しいからこそ感じいるものがある。
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そして、ゲームを進めていくと世界観の作り方がまた上手くて感心する。
ゲーム内にはマリーの親友であるシア、落ちこぼれの面倒を見てくれる優等生クライスなど、さまざまな人物が登場する。
彼らの何気ないセリフの1つ1つがファンタジーの世界観を伝えつつ、ゲームのヒントにもなっており、イベント数は少なくともはっきりと世界を感じるのだ。
本作の前にリリースされた『ファルカタ』はキャラクター同士の少ないセリフで世界観を伝えるゲームでもあったので、そのときのノウハウが生きていたのだろう。
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▲個人的に嫌みを言いつつ、無料で手伝ってくれる彼が好き。

で、さらにゲームが進むにつれてこれらの登場人物を介して依頼が来るようになったり、仲良くなればちょっとしたイベントが発生したりもする。
桜瀬琥姫さんの手による魅力的なキャラクターとイラストも手伝い、素朴なファンタジー世界を感じられるのもまた本作の魅力だ。
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▲なんというか、化学調味料のように色気が振りまかれた近年のスマホゲームにはない素朴さ。

本作の1周目は本当に楽しい。
初回プレイ時に試行錯誤し、いきなりドラゴンのいる山に行こうとして倒れたり、見栄をはって依頼を受けて失敗したりと、何度も失敗した上でもクリアできる失敗の上に成り立つ冒険と経営が楽しめる。
難易度がとても低いので2周目は少し退屈になるが、余った時間は一気に飛ばせるので許せる範囲だ。
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▲クリア後はPlusのおまけであるキャラクター図鑑などが見られる。ああ、桜瀬琥姫さんのイラストでまたアトリエがやりたいなぁ…。

と、このように『マリーのアトリエ』は良いゲームではあるのだが……今回の移植には少し欠点がある。
今回の紹介記事ではゲーム画面だけ抜き出したが、実際にはバーチャルコントローラー操作であり、UIの最適化が行われていないこと。もちろん、画面もPSのままでフォントや画像にも粗が目立つ。
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▲縦・横対応。アクションではないので基本操作に問題はないが……。

また、特定のアイテムを手に入れたときなどに発生するミニゲームは、面白くもないのにクリアできなければデメリットがあり、タッチパネル操作では無駄に難易度が上がって(同時に、初期PSコントローラーの操作性が悪くてイラついたことも思い出した)、移植前から微妙な存在がスマホ版では完全にクソ要素と化していた。
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▲ミニゲームは少ないので我慢できるが。

ベースとなる経営ゲームが古典的かつ今でも親しまれている手堅い設計で、その面白さがまずある。
そこに魅力的なキャラクターと世界観が乗っていて、現代のプレイヤーが遊んでもきっと楽しめることだろう。初期に説明不足で放り出される感はあるが、試行錯誤して失敗してもクリアできるはずなので、めげずにあれこれやってみて欲しい。
『アトリエシリーズ』という長寿作品を生み出し、開発したガストを一躍有名にした馬力はさすがで、わかってしまえば確実にハマるはずだ。
一方でスマホに最適化してくれていればもっと楽しかっただろうに、という残念さもある。良い作品に、良い移植を!そう願わずにいられない。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
手堅い経営ゲーム
魅力的なキャラクターとテキスト

気になるポイント
スマホの最適化がされていない
見た目が粗い
ミニゲームがつまらない

アプリリンク:
マリーのアトリエ Plus ~ザールブルグの錬金術士~ (itunes 1,200円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:ガスト(日本)
販売:コーエーテクモ(日本)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

コメント一覧

    • 1. ななし
    • 2018年03月06日 00:27
    • スマホに最適化せずに、600円のアーカイブスをそのまま移植して1200円は相対的にボッタクリ価格と思える
      スマホに最適化して操作性とかUIをきちんとしていたなら、1200円も高くはないんだが
      やっぱりコーエー商法か
    • 2. ナナシ
    • 2018年03月06日 02:01
    • 俺はハレッシュ派さ…
    • 3. 通りすがり
    • 2018年03月06日 21:32
    • ※1
      できるだけ儲けられる値段にするのは営利企業としては当たり前。
      社員を食わせてる商売なんだから。
    • 4. ななっしー
    • 2018年03月06日 22:11
    • この頃のアトリエは乙女ゲーでしたね……
    • 5. 谷村
    • 2018年03月06日 23:05
    • エリーはアホみたいにやったなぁ
      ザールブルグ系は小説まで見たわぁ…
    • 6. やちなや
    • 2018年03月07日 02:41
    • ちょっと興味惹かれたが、最適化されてないのは残念だな
      当時は全部のエンディング出さなくて攻略本買ったが後悔はなかった
      最適化されてないなら思い出は思い出のままにしておくか

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