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お金を払うと無料でガチャが引ける。人気ゲーム『ハースストーン』が行った斜め上のガチャ規制対策

Hearthstone China Arcane Dust Purchase
今、欧米で「ガチャ(ルートボックス)は賭博か」という議論が沸き起こり、Appleもまた規約でガチャの確率表示を義務化を行った。
Apple、ガチャ・ルートボックスに確率表示を規約で義務づけ。世界的なガチャ=賭博議論に配慮か
このきっかけはEAのゲーム『Starwars Battle Front II』にルートボックス(ガチャ)が搭載され、「有料ゲームにこんなランダム要素をいれて良いのか」という議論が沸き起こったことにあるが、この議論に先立っていち早く有料ガチャを廃止した有名ゲームがある。
そう、世界的カードゲーム『ハースストーン』……の、NetEaseが運営する中国版である。
もちろん『ハースストーン』がガチャを廃止したのは自主的な行動ではなく、中国政府が2017年6月にガチャの詳細確率明示の義務づけを行ったことが要因になっている。
ガチャの確率を明示することは、基本的に企業側に良いことはない。
売り上げが下がるかもしれないし、確率に従って運用していても何かのミスで確率表記の食い違いがでれば大騒ぎになるからだ。
先日、日本で騒がれた『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の確率操作疑惑などもこれだ。

企業としては個別の確率は表示したくない。しかし、法律で表示しなければいけない。
ではどうするか。
PvP Liveによると、NetEaseはカードパックの販売を停止し、代わりに魔素(一定数で好きなカードを作れる素材)の販売を開始したという。
「なるほど、定額で好きなカードを作れるようにしたんだな」
と思ったあなたは甘い。なんと、この魔素を購入するとおまけで無料のカードパックが付いてくるのだ。つまり、魔素を買うたびに無料でガチャが引ける寸法である。しかし、無料だから有料で提供するカードパックと違って詳細な確率開示はいらない。

レートとしては1魔素あたり無料のカードパック1セットがくっついてくる形。
魔素は40集めてコモンカードができる程度の代物なので、1単位で買っても何も意味がない。課金で買えるのは9個からだが、それでも実質的にパック売りをしているのと何も変わらない。
いつかは中国政府に指摘されるだろうが、それまでは突き通すのだろう。

これは極端な例ではあるが、実際のところガチャの確率表記が義務化されると真っ先に発生するのはこういった対応で、それが落ち着くとゲームシステム側でガチャを逃れるゲームが出てくる。実際、世界で(おそらく唯一)ガチャが規制された韓国では政府に見つかるまで「ガチャ逃れガチャ」が流行り、そこからゲームが進化していった。これは、世界中どこでも変わらない流れだろう。

ということで、今回はガチャ確率表記ショックの笑い話を1つ。そして、いつか改めてガチャを規制した韓国で起きたこと、そして韓国で発達したガチャ逃れゲームと、そこから派生した間接ガチャ方式について書けたら書きたい。

関連リンク:
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