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終わりと向き合うソーシャルゲーム。2017年終了のゲームたちが「終わった後に楽しむ」アプリを出し始める

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「終わったら何も残らない、プレイできない」と言われ続けたソーシャルゲームに、大きな変化が起こり始めている。
サービス終了後にゲームアプリを継続して楽しめる工夫を凝らし、プレイヤー達に残すゲームが増えてきたのだ。
「ソシャゲの終わり方」については、もともと終了イベントを派手にぶち上げたり、何かのグッズを残したりといろいろ模索されていたが、ここにきて新しい動きが広がりつつあるようだ。

最初に書いておくと、この流れは今に始まったことではない。
記憶にある中で一番古いものは2013年7月にサービス終了した『星宝転生ジュエルセイバー』だろうか。
なんと、シナリオをプレイ可能な状態で全てウェブ公開し、イラストについても許諾が取れたものは他のゲームに利用できる「フリー化」宣言を行った。
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星宝転生ジュエルセイバより

2014年9月にはスクエニの『GUNS N' SOULS』がサービス終了したが、オフラインでストーリーを遊べる(しかもバランス的にサービス時より楽しかった)アプリを残した。
(
GUNS N' SOULS、境目の時代の賭けに敗れたゲーム - 終わったゲームを振り返る)
2015年6月にサービス終了した『ファンタジスタドールズ ガールズロワイヤル』は、終了後に起動すると卒業証書が表示され、キャラクターたちとのオフライン専用イベントが見られることで話題になった。
その他、ここに書いていないゲームも含めてごく少数のゲームがサービス終了に何かを残す状況はあった。
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だが、2017年に入ってサービス終了後に「何か」を残すアプリが急激に増えてきた。
2017年4月、『ロード・トゥ・ドラゴン』はサービス終了後にユニットを閲覧できる図鑑アプリの提供を開始した。
『ロード・トゥ・ドラゴン』サービス終了。最終バージョンでは図鑑と新背景、BGMを実装
11月1日、スクウェア・エニックスは『FINAL FANTASY LEGENDS 2』を1,800円の有料アプリに再構築してリリースし(引き継ぎ要素あり)、『ポップアップストーリーズ』は過去のイベントなどがほぼすべて確認できるビューワーをリリースした。
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▲『ポップアップストーリー』は、なんと過去のほぼ全ての内容や着せ替えが楽しめる!

今後を見ても『あんさんぶるガールズ!!』はサービス終了後にイベント閲覧アプリ『あんさんぶるガールズ!! ~Memories~』のリリース予定だし、スクウェア・エニックスは『グランマルシェの迷宮』も出すことが予告されている。
TGS2017ではサービスを終えた『ワンダーブロック』が有料売り切りでのリリースを目指していると情報が出た。
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変わったところでは、ストーリーを売りにしていたセガの『ワールドチェイン』が全ストーリーをYoutubeで公開している。


なぜ、今になってこのような動きが出てきたのか。その理由は2つほど考えられる。
1つはブランドイメージの向上。そしてもう1つは体勢が整ってきたこと。

ブランド向上というのは分かりやすくて、例えば今後シリーズを出す予定があったり、会社として続いていくならプレヤーにファンでいてもらいたいから出すという会社の事情である。
今、ソーシャルゲームは非常に開発規模が大きくなり、ゲーム体験としても向上し、会社にとってもプレイヤーにとっても1作ずつが大事なものとなった。だから、大事にしていくという考えである。

後者の話はすごく泥臭い。
ときに銭ゲバ扱いされるソーシャルゲームの開発者達は、我々が思っている以上に作品を愛していることが多い。少なくとも、現場の開発者レベルでは2012年から「プレイヤーに何か残したい」とか「自分の作ったモノが残らないのが辛い」という話は山ほど聞いてきた。
だから、そう売れないのにグッズを出した会社もあったし、何かイベントをやった会社もあった。
(例えばiTunesでサントラを配信することすら、人件費を考えると赤字のことがある)

そういった苦い経験を経て、ようやく終了の経験を積み、終了後のことを考えられるようになったというのもあるようだ。
会社的な事情やブランド向上と開発者の思い、両方がサービス終了後のフォローに繋がっていると感じている。
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▲ソシャゲでもなくインディーゲームではあるが、『騎士とドラゴン』開発者による新作『どこでもドラゴン』インタビューでは、運営とプレイが切り離されていてもしサーバーがなくなっても遊べる設計であると明かされている。

私自身は、「ソーシャルゲームは終わったら何も残らない」とは思わない。そのときの感情が動くこと、プレイの経験、人とともに同じ時代を同じように共有することは重要だ。そもそもこの話を突き詰めると、モー娘。にハマってライブに行くことが無駄なのか、マジックショーを見ることが無駄なのか、そんな話になってしまう。
例えば、自分は2017年のGW付近を『シャドウバース』の大会で優勝するために費やしたが、まったく無駄と思っていない。
GWがあまりに暇なので、シャドバフェスの大会で優勝しに行ってきた

そもそもソーシャルゲームのプレイとそれを通じて得る経験には意味がある。その上で、さらに思い出も残してくれるならこれに勝るものはない。
ゲームプレイヤーとして、この流れが続くことが嬉しいことなので、この流れがより一般化して欲しいと思う。

アプリリンク:
FINAL FANTASY LEGENDS II 時空ノ水晶 (itunes 1,800円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
ポップアップストーリー 魔法の本と聖樹の学園 (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)