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PCアクションを操作問題を解決した良移植。iOS屈指のスラッシュゲーム『ICEY』レビュー

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PCで圧倒的な高評価を受け、PS4などにも移植された剣劇アクション『ICEY』がついにiOSにも登場した。
本作は美少女アンドロイドICEYが世界を滅そうとするJudasを倒すゲームで、上達するほどに磨きがかかる爽快アクションと独特の物語を楽しめるゲームだ。
スマホのアクションは操作性に問題を抱えることが多いが、ICEYの魅力はスマホに戦場を移してもまったく衰えていない。驚くほど操作しやすく、ゲーム性もスマホに合致している。
つまりは、買いのアクションである。

本作の操作は方向キー+4ボタンを採用しており、ゲーム機のアクションゲームのような内容になっている。
攻撃は方向キーと“Attackボタン”と“Heavy Attackボタン”の組み合わせで行われる。派手で素早いコンボ演出は、無条件に気持ちいい。
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攻撃によって敵の体力がなくなると動かなくなり、“E”のマークが浮かび上がる。
この状態の敵にHeavyアタックを決めると破壊の演出が始まり、終わったときに青いエネルギーが浮かび上がる。
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そして、エネルギーが画面に存在するときにAボタンを長押しするとエネルギーが吸収されて体力が回復し、Aボタンを放した瞬間に画面全体攻撃が炸裂する。この攻撃はエネルギーをとるほど強力だが、敵の動きを止めて次の攻撃の起点にする効果もある。
そのため、攻撃→とどめ→全体攻撃の流れが様式美のように確立されており、この基本操作に慣れるだけで序盤は次々と敵を倒せる。
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“Jumpボタン”を押すことでジャンプし、空中コンボにつなげることもできる。格闘ゲームなどでは空中移動も重要になるケースもあるが、本作はボタン操作だけで空中コンボがきっちり決まる。
とは言え、ジャンプ攻撃は後述のダッシュの存在により存在感が薄い。

“Dashボタン”を押すと、主人公が無敵になって短距離を瞬間移動する。このとき、上方向へのダッシュもできるので、最終的にジャンプはダッシュで代用されてしまう。
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それだけでなく、ダッシュは攻撃の代替まで果たす。
敵の攻撃をギリギリまで引きつけてからダッシュで避けると、ICEYの残像を残して敵に襲いかかり、雑魚は即死させるほどのダメージを与えられるのだ。
慣れればボスキャラクターですらノーダメージで倒せるようになり、まさに舞うように動いてゲームが進む。
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このようにゲーム機に匹敵するほどのコンボスラッシュアクションと、見切って上達を楽しむ骨太アクションなワケだが、冒頭に書いたとおり操作は驚くほどスムーズだった。
私自身、PC版でプレイしたときと同じように動かせたのである。
その秘密の1つは、方向キーのチューニングとボタン配置にあった。方向キーは非常にタイトに調整されており、少しでも触っていれば動く。
コンボ操作に関しても方向キーと攻撃の同時押しがあまり要求されないため、ボタンを押すタイミングに集中できた。
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そしてもう1つは、ゲームの肝が見切りアクションだったことだ。
敵の動きを見切るスキルが試されるだけで、PCでもスマホでもDボタンを押す操作の難易度に対して差はない。
『ICEY』はプレイの軸がスマホでも機能しているから、楽しい。
見切りが強すぎて攻撃の必要が薄く、ジャンプに至っては存在意義がないことがPC版の欠点だった。しかし、スマホでプレイする上では必要なボタンが限られていることが操作性の良さに繋がっており、より楽しめるポイントになっている。
怪我の功名ではあるが、スマホバトルアクションを求めているなら『ICEY』は上位に入る作品の1つだ。

さらに、『ICEY』にはもう1つの魅力が存在する。
ゲームの開始時、「暗く、荒れ果てた部屋の中、カプセルに漂う人影が見えるだろうか」とナレーションが入るのだが……。
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なんと、ゲームを開始してもナレーションは止まない。
「ICEYは、矢印の通り進めば良いことを知っており、その通りに進んだ」
「彼女は、ついに倒すべき敵のところまでたどり着いた」
などと、何かイベントが発生するたびに発生し、ゲームを外から見る第3者として発言し続ける。
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そして、プレイヤーはそのナレーションの意思に反して動くこともできる。
「おい、どこにいくんだ、そっちには何もないぞ!」
などと焦るナレーターの声を無視していくと、作りかけのステージがあって出口のない場所に出てしまったり、隠し部屋があったり、ときに異なるエンディング(10ものエンディングがある)にたどり着いたりと、様々な分岐を楽しめる。
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なかには「君はゲーム作りがどれだけ大変か知っているのか」とか、「レビューなんて有名プロデュサーが作っているから、買おうぜ!」なんてレビュアーがどこまでゲームを深く遊んでるか怪しいもんだ!
などと、開発者視点の愚痴(?)を聞かされる小部屋などもあり、ナレーターに反抗して反応を見るのが一種のエンターテイメントになっている。
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元々は英語と中国語の未対応だったが、アップデートで音声も含めて日本語に対応しており、物語だって誰でも楽しめる。
単にメタ的なテキストとしても楽しめるし、ナレーターの言葉の中に隠しエンドのヒント(ナレーターの決めつけを裏切れば良い)もあり、良いアクションゲームとしてだけでなく、癖のある物語も楽しめるはずだ。

ボリュームは2時間程度だが、価格は360円と内容に比べてとても安い(PC版が1,000円以上することを考えると破格!)。
アクション好きならぜひ遊んでみて欲しい。

評価:8(かなり面白い)

おすすめポイント
爽快で操作しやすいスラッシュアクション(アクション部だけで7点)
ナレーターによって語られるメタ視点の物語
上達するほどにスタイリッシュに戦える

気になるポイント
少し敵の攻撃演出が弱い
ジャンプや通常攻撃の意味が薄い

アプリDL:
ICEY (itunes 360円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay/ Steam)

販売:X.D. Network Inc.(中国)
レビュー時バージョン:1.1
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: