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戦術ボードゲーム+戦場アクションの融合『NOBLEMEN: 1896』レビュー

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スチームパンク技術が発達した仮想の第1次世界大戦時代をモチーフに、スチームパンク技術を融合した世界で、指揮官として部隊に指示を出しつつ自らも銃を取って戦う戦術ゲーム+シューティングアクションが『NOBLEMEN: 1896』だ。
ボード上で戦術を駆使して兵士を動かし、ひとたび敵とぶつかればダイナミックな戦場で銃撃戦を楽しめる。1粒で2度おいしい大作である。
その一方で今作からは完全な基本無料を採用し、ストレス度が高い作品にもなってしまっている。

最初に書いたように、今作はマス目で区切られた戦略マップでコマを動かす戦略要素が追加された。
マップ上には敵と味方の本拠地があり、相手の本拠地を破壊した側が勝利者となる仕組みだ。
ターン制を採用しており、プレイヤーの手番が回ってくると“補給点(WAR POINT)”と“エナジー(ENERGY)”が補充されて戦略フェイズが始まる。
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戦略フェイズでの作業は、おおよそ補給点の使用に集約される。
まず、部隊を招集するには補給点が必要だ。“歩兵”や“機甲兵”など基本となる兵科はプレイヤーが選択できるが、高級な兵科ほど必要な補給点は高い。
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兵科を選ぶと、指定した兵科に所属するユニットからランダムな組み合わせで部隊が編成される。
同じ歩兵部隊でも“民兵(MILITIA)”が3部隊招集されることもあるし、“歩兵(INFANTRY)”との混成部隊が招集されることもある。
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▲気に入らない組み合わせのときはやり直せるが、5回以上は広告動画を見る必要がある。

招集した各部隊は1ターンに1度ずつ移動と砲撃(可能なユニットのみ)を行うことができるが、すべての行動に弾薬を消費する。
弾薬がなくなると移動不可になり、バトルも大幅に弱くなるので補給点で回復してやらなければいけない。もちろん、部隊に欠員が出たときの補充も補給点で行うので、計画的に補給点を割り振ることが重要だ。
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▲船や砲兵、飛行船などは遠隔攻撃可能。ただし、基地は砲撃で反撃してくるので注意。

このほか、エナジーを消費してランダムに配られる“戦略カード”を使用することができる。
戦略カードは部隊回復・攻撃などのベーシックなものから、マップ上に砦を作ってしまう強力なものまでさまざま。
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なお、戦略カードの中にはマップ上の補給拠点を占領する“CAPTURE”カードがあるが、戦略拠点(STRATEGIC POINT)は部隊を2ターン上に置いくことで占領するわかりづらいシステムとなっている。
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▲戦略拠点を占領するとエネルギーがたまり、EARTHSHAKER CANNONで敵の本拠地を直接攻撃できる。おかげで有利になった後はすぐ決着がついて良い。

敵が占領している場所、敵部隊がいる場所は当然ながら占領できない。
そこで、部隊を移動させて敵部隊と戦うことになる。部隊の移動を終えて戦術フェイズを終了すると、一斉に部隊がバトルを開始するバトルフェイズが始まり、これで勝てば敵を排除できるわけだ。
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バトルはAIで動く兵士とプレイヤーが一緒に戦うアクションシューティングで、通常は敵を全滅させた側が勝利となる。もし3分戦っても勝敗がつかなかった場合、画面上のモラルゲージが相手側よりも高い側が勝利となる。
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▲画面上のゲージがモラル。同じ値の場合は残った部隊が多い方が勝利し、完全に互角だとサドンデスに突入。

まず、本作のバトルにおいてはプレイヤーは1兵士として仲間とともに戦うこととなる。
スライド操作での移動、ダッシュ、射撃ボタンと照準ボタン(その場から動けなくなる代わりに射撃の精度が上がる)の操作を基本としており、一般的なアクションシューティングと同じように戦える。
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敵部隊に近づいたときに剣のマークをタッチすると、接近戦を挑むこともできる。
接近戦が始まると敵も味方もその場に立って自動で攻撃と防御を繰り返す。この間、射撃に対して無防備になるため接近戦を挑んで(もしくは仲間に挑ませて)、無防備な相手を銃殺するのがセオリー。
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▲オートで戦っている最中にシールドとソードのボタンがランダムに出てきて、これをタッチすると敵の攻撃を防いだりクリティカル攻撃を出したりできる。ただ、悠長に接近戦をしていると大抵射殺されるのであまり出番はない。

ただ、ここまで説明しておいてなんだがプレイヤーは「結構強い兵士」であり、超人的な力は持っていない。
なので、正面から敵部隊に突っ込むと多くの場合は倒れてしまう。倒れると30秒間動けないペナルティをうけ、1度のバトルで3回倒れると自動的に敗北してしまうので無茶は禁物だ。
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▲倒れている間(もしくはオート中)に他の部隊の視点で戦場を見ることもできる。

だから、基本的には壁に隠れて有利な位置に陣取り、少し顔を出しては射撃して隠れるカバーシューティングが基本となる。
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最初のうちは積極的に前に出ても敵を倒せるし、少し敵が強くなっても兵士と一緒に行動すれば普通に勝てる。
このゲームが真の姿を現すのは、高難易度になってから。高難易度になると基本的に敵の方がプレイヤーより強くなり、これまで通用した戦術がききづらくなるのだ。
たとえば、機動力が高い“騎馬兵(CAVALRY)”を放っておくと単独で特攻してしまい、高確率で集中攻撃を受けて倒れてしまうようになる。
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しかし、騎馬兵を退避させ、混戦になったタイミングで敵の背面をつくように攻撃させるとこれまで以上の成果をあげられる。
もともと戦術ゲーム+アクションシューティングというコンセプト自体が面白いのに、敵の背後(敵背後はダメージ2倍&装甲が薄いので挟み撃ちが有効)とったり、砲台が有効に働くように指示できるようになると『NOBLEMEN: 1896』はさらに面白くなる。
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だが、残念なことに現段階では面白いゲームの仕組みを理解しづらい上に、バランスが悪いという欠点を抱えている。
本作では部隊には標準的な歩兵、歩兵に対して圧倒的な火力を持つ移動式速射砲や砲兵、弾丸をはじいて速射砲をなぎ倒す戦車など、さまざまな兵科がある。
しかし、相性的に有利な兵科相手でも配置が悪ければぼろぼろに負けるし、ランダム性も大きいので戦果が一定しない。
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▲近づけば一方的に勝てる兵科(でも近づけなければ戦果ゼロ)も。AIの気まぐれで大きく戦果が変わる。

先ほど例に出した騎馬兵の例でいうと、多くの場合は突出して倒されてしまうが、偶然に敵ヘッドショットして一気に敵を倒してしまうこともある。そのため、プレイヤーは「今回は調子が良くて、前回は調子が悪かった」という理解になりやすく、兵科の強弱関係や有効な運用の仕方が学びづらい。
バランスにも難があって、この記事を書いている時点でも使い道の見えない兵科がかなりある。そんな状態なのに各兵科をうまく扱うチュートリアルもないので、基本コンセプトが上手く働いていない。

出現する敵が決まっていて、プレイヤーが創意工夫で部隊を定め、戦術を駆使して戦うモードであればもっと多くのプレイヤーがゲームを理解できたと思うのだが……。
現時点では戦術+アクションシューティングが楽しめる力押しゲームになってしまっている。いや、コンセプトが他に内から面白いんだけど。
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課金要素は、指揮官キャラやプレイヤーの鎧などを含む全てが当たるガチャ、有料の使い切り弾薬(プレイヤーが特別強い弾を撃てる)、プレイするだけでは足りないSilver(通常通貨)も買える。
課金しなくても日々の報酬で全てのアイテムを(長い時間をかければ)手に入れられる仕組みにはなっているので、毎日少しずつ遊ぶプレイヤーには良い作りとなっている。
一方で、集中して遊びたいプレイヤーに取ってみると、ストレス度は高い。Silverが足りないし、なにより課金で手に入れた指揮官でもバトルで1度倒れると(敗北=全滅も多いのですぐ倒れる)広告動画を見るか長い時間待たないと性能は80%減。
プレイヤーには4つのバトルスタイルが用意されているが、弱い基本スタイル以外は1度倒れると広告を見るか数時間待たなければ使えない。
全ての要素が時間短縮課金・広告に繋がっており、ストレスフル。
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▲後半になるほど敵が強くなって苦戦するのに、待ち時間は長くなる。現在は16時間待ち。

また、有料通貨のGoldの使い道を間違えるとゲームが単調になることも書いておきたい。
ガチャからは滅多に新しい兵科が出づらいため、ガチャばかり回しているダメな日本人(私のことだ)は、ユニットのバラエティが足りずにことさらゲームが単調になってしまう。
また、プレイヤーが成長するほどガチャの中身が豪華になるため、最初にガチャを引かずに途中まで“WAR SHOP”で新しい兵士を購入するにとどめ、Global LVが上がってからガチャをした方が良い。
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▲課金通貨はWAR SHOPでの買い物にどうぞ。

また、LV7で兵士は十分強力になるので、無理してLV8以上にする必要はない。これを理解していないと(結構課金していても)常にSilverが足りない状態になってストレスがたまる。
以上のことを覚えてから『NOBLEMEN: 1896』を楽しんでほしい。

……うーん、それでも結局『HEROES & CASTLES』の方がはるかに完成度も高くて面白いので、銃撃ではなくファンタジー合戦で良ければそちらから遊ぶことをおすすめする(台無しの一言)。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
ダイナミックな戦場を楽しめる
兵士と連携が取れれば楽しい

気になるポイント
兵科の特徴や指揮の方法がわかりづらい
時短広告・課金ポイントがやたらに多くてストレス
プレイヤーの腕を試すモードがない

アプリDL:
Noblemen: 1896 (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:FOURSAKEN MEDIA(アメリカ)
レビュー時バージョン:1.0.3
課金:
ガチャ、時短、ゲーム内通貨など。なくても遊べる。

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: