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チェルノブイリ原発事故で生態系の狂った隔離地域を生きるアドベンチャー『Radiation City』レビュー。廃墟感がかなり良し

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放射能で汚染された島でサバイバル生活を送り、旧日本軍の残した秘密を暴く『Radiation Island』から2年。
ついに待望の続編『Radiation City』がリリースされた。今回の舞台はチェルノブイリ原発事故から40年後、チェルノブイリの職員が住んでいたプリピャチ市。
原発から最も近く、40年を経ても壁で隔離されているこの街は、飢えた獣や人型生物が肉を求めて争う異常な世界となっていた。
その中を、プレイヤーは1人で生き延びることとなる。
プレイヤーはプリピャチ市を探る調査員であり、消息を絶った先発隊の行方をさがしてプリピャチ市の隔離地域の調査に乗り出す。
だが、上空からの視察のさなか事故が発生し……。
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気がつくとプレイヤーは隔離地域の中に放り出されて、わずかな食糧と衣服だけを手にサバイバル生活を送ることとなる。
幸い近くには廃屋がたくさんあり、資材は豊富にある。ここで助けを待てば助けが来るなどと、思ったのもつかの間のこと。
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廃屋周辺には皮膚がただれ、人間を襲うゾンビが徘徊していた。どうやら、チェルノブイリ隔離地域は単に放射能の影響で隔離されたわけではないようだ……。
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と、本作は絶体絶命から始まる主観視点のサバイバルアクションである。
操作はバーチャルスティック移動で、攻撃・しゃがむ・ジャンプ・走るの4ボタンアクションを採用。
前作と同じくアクションの難易度は低いものの、良いアイテムを探して有利な状況を作ってから戦うことが重要なゲームとなっている。

ただし、ゲームのプレイは前作と少し異なる。
前作は罠を張って獲物を狩ったり、さまざまな道具や家具を作って生き延びるサバイバルが前半の肝だった。しかし、今作の舞台は町。目の前の廃屋を探れば何かしらの道具が出てくる。
主人公もいくつかの材料からテントなどを作り出せるが、基本的に道具や武器は廃墟から探し出し、どうしても必要なものだけをクラフトする(クラフトできるものも少ない)ようになっている。
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その分ストーリーが濃くなっており、先発隊の記録をたどることで細かくストーリーの誘導がなされ、ガイドもあって迷いうことなく物語をたどっていける。
また、さまざまな建築物がマップ内に存在し、そのディティールを楽しめるのも特徴だ。
ソ連を思わせる内装が楽しめるだけでなく、プリピャチ市の街並みの再現度は迷ったときにGoogle Mapで建物の名前を探せるほどである。
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また諸行無常を感じるさびれた街並みや公園も見どころ。今作は、前作と比べて探索と観光に重点が置かれているのだ。
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が、狩猟とクラフト要素が弱くなって、ゲームが楽になったかというとそういったことは全くない。
前作と同じく状態異常は豊富で、獣に攻撃されれば出血して包帯が必要になり、ゾンビ(?)に攻撃されれば毒に感染し、放射能汚染地域に近づけば放射能で倒れる。高い場所から落ちれば骨折。
それが怖くて動かなくても、おなかは減るし、のども乾く。相変わらずのサバイバルっぷり。
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▲のどが乾いたら井戸を探して水を補充しなければいけないが、井戸が放射能に侵されていると「放射能水」を飲む羽目になることも。

環境も過酷である。
ゾンビを避けても野生化した熊に一撃でやられたり、オオカミの群れにかみ殺されたり(3回は死ぬと思う)、気づかない間に足元に毒ネズミがやってきてかまれたりと、波乱万丈。
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もちろん昼夜の変化もあり、夜は懐中電灯やトーチがなければ真っ暗。今作では明かりがあっても敵が襲ってくるスパルタ仕様。
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しかも、今回は主人公が弱い。レベル制を導入しており、レベルを上げて体力や速度、状態異常耐性、ステルスや銃器の扱いなどのスキルを上げていかなければいけないのだ。
強さを上げなければゾンビをたたいてもなかなか倒せないし、銃器のスキルが低いと強力な銃を手に入れてもゾンビが倒れない。序盤はかなり苦戦することだろう。
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▲寒さ耐性というスキルがあるが、クリアまで1回も寒い場所がなかったので注意。

一方で、ステルスを最大に上げれば多くの状況で隠れたままミッションをこなせるし、銃を最大まで上げれば凶悪な敵もそれなりに倒せるほど強くなる。
すべての能力を最大にすることはできないので、どの能力を伸ばすかでゲーム展開は変わる楽しさもある。
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▲ステルス最大だと、この距離感でも気づかれないことがある。

このように序盤は状態異常になりすぎ、敵に苦戦しすぎて厳しいサバイバルゲームだが、ゲームのルールを飲み込むと難易度が下がり、建物から豊富にサバイバル資材を獲得できるので適度な緊張感だけが残るうまい設定ともなっている。
町の各所には先発隊のキャンプ跡があり、これらを発見するとキャンプ跡からキャンプ跡へは一瞬でワープできるし、キャンプで寝るだけで夜が終わるのでよほどのことがなければ夜中に探索するような事態にはならない。
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▲なお、Radiation Islandも今はワープが可能。途中からアップデートで追加された機能が、今作は最初から。

遠くに行くときは、車を修理して使えばゾンビをひき殺しながら安全に移動できる。
ただし、車の操作性はだいぶ悪い。どうやら、主人公は飛行機免許を持っていても車の免許は持っていなかった模様。やたら蛇行してしまうのはどうにかしてほしかった。
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で、終盤にまた難易度の波が来て、いいところで終わるゲームとなっている(エンディングはあっさり過ぎるので、真エンディングがある可能性はある)。
終盤の作業感はあるものの、打ち捨てられた廃墟を旅するサバイバルアドベンチャーとしてはかなり楽しめるはずだ。
また、1周目は武器でパワープレイ、2週目はステルスプレイというようにスキルを変えてのリプレイも可能だし、謎の青い稲妻の徘徊など、ストーリーと関係ない場所に全く意味のないイベントが隠されていたりもするので長く楽しめそうだ。
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▲わかりづらいが、窓から見える青い部分が怪異。

相変わらずゲームとしては価格以上に楽しめるので、サバイバルゲームが好きならば本作はやって損のない1作である。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
作りこまれた廃墟
スキル割り振りでプレイスタイルが変わる
ホラー感を伴う敵を相手にするサバイバルプレイ

気になるポイント
重要アイテムをランダムドロップで手に入るとストーリーが飛んでしまう。
終盤は似た作業の繰り返し

アプリDL:
Radiation City (itunes 600円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay / MacAppStore)

開発:ATYPICAL GAMES(US)
レビュー時バージョン:1.0.2
課金:なし

ライター:ゲームキャスト トシ

動画: