映画を観るかのように始まって終わる弾幕シューティング『アカとブルー』レビュー
- シューティング
- 2017年08月12日

「俺たちは、プレイヤーを、タノシマス!」
そんな標語を掲げ、弾幕シューティング老舗から独立したプロデューサーKMRさんが立ち上げたタノシマス社の処女作が『アカとブルー』である。
本作はシンプルな作りながら、入門者をジャンクな物量の楽しさと物語でクリアまで導き、リスクとリターンが複雑に絡まり合った奥深いボムシステムで稼ぎに誘導する良作である。
『アカとブルー』は、指に合わせて自機が移動する相対タッチ方式・オートショットの縦スクロールシューティングである。ライフ制を採用しており、1ステージで3回ダメージを受けるとやり直しとなる。
操作は移動とボムのみと非常にシンプルだが、ボムシステムは非常に深く、ゲームを面白いものとしている。
初心者にはほぼ無敵の緊急回避システムとして、上級者にはリスクをはらむ稼ぎシステムとして見事に機能し、1つのシステムで2つの役割を見事に実現しているのだ。

ボムはボムゲージが1以上のときに画面を2本指でタッチすると発生する。
ボムゲージのチャージに応じて効果が変化し、チャージ1の段階では自機周囲の弾を消すだけだが……。

チャージが2以上になると球形の球が発射され、敵の弾を消し得点アイテムの“メダル”に変えるスコアアタックのお供になる。
得点アイテムの出現っぷりも景気が良く、最大のチャージ5ボムを撃ったときの気持ちよさは格別。インスタントでジャンクな楽しさがある。

で、肝心なのはボムゲージが増える条件。
ボムゲージは、敵を破壊するかショットを撃ち込みまくると増えるほか、ボムが弾を消したときにも増える。
後者の“弾を消したとき”という条件がミソで、このゲームを幅広いプレイヤーに向けたエンターテイメントに消化しているポイントだ。
この仕組みにより、弾に当たった瞬間にボムが自動発動する“オートボム”設定をONにしたとき、プレイヤーはボス戦でほぼ無敵になる。
オートボムは自動で1レベルのボムを使用し、自機の周囲の弾だけを消す。このとき、自機の周囲の弾を消すだけで再び1レベルのボムゲージが貯まる。
ほんのわずかなオーバーヒート時間だけボスの攻撃を避ければ、弾幕シューティングの上級者でなくとも本作をクリアできてしまう。

▲怒濤の弾幕!でも結構余裕で生き延びられる。
もちろん、オートボムを使ってもクリアにはそれなりの困難が伴う。だが、本作にはゲームを先に進めるモチベーションも用意されている。
それは物語だ。本作では、秘められた過去を持つアカ・シンクと、真面目な軍人少女ブルー・サーニの掛け合いによって出撃の経緯から結末までがゲーム中に語られる。
ステージの背景で状況を語りつつ、ボイスがそれを補強していく。ステージ1からエンディングまでの道のりはそれ自体が1つの旅であり、1本の映画のような体験である。
ストイックに攻略するだけでなく、これを最後まで観るのが最初のモチベーションとなる。

▲声優陣の熱演でアカは豪快でかっこいいオヤジに、ブルーはツンデレ優等生に仕上がっている。テンプレだが、良い。
そして、1度クリアした頃にはボムが使いこなせるようになり、ゲームがより豪快に、爽快になる。
敵弾が多く存在しているときにボムを使うと、弾消しによって即座に最大までボムゲージが貯まり、レベルの高いボムを連続して使えることに気づくのだ。
慣れればプレイ中ボムを使いまくり、得点アイテムとりまくりの快プレイが実現する。敵ボスの弾幕なんて、ボムゲージを回復させる餌でしかない。

ただし、ボムを撃った直後はオーバーヒートして短時間ボムが使えなくなるため、その期間は避けを要求される。ボムゲージが貯まっているほどオーバーヒート時間が長くなるため、いい気になって使っているとすぐライフが尽きる。リスクを取るほどリターンがある。そんな面白さを提供している。

こんなにいい感じの『アカとブルー』であるが、プレイに入るためのハードルは結構高い。
たとえば、本作の難易度を下げる“オートボム”は初期はONになっていない。しかも、序盤の難易度が高めで弾が少ないのでオートボムの半無敵効果を序盤は感じられず、シューティング入門作としてはかなり厳しい。
もう1つは少しずつ自機が指の位置まで戻ってくる「自動座標補正」。これをオフにしないと弾幕の中で微妙に自機が動いてミスしてしまう。

▲ついでに、SEを大きめにすると爽快感が上がるのでおすすめ。
また、機体選択アカを選べばいいが、ブルーを選択してしまうとボムの照準に癖があるので制御が難しい。
50%のプレイヤーがブルーを選ぶと仮定しても、50%は初心者向きではない機体を選ぶわけだ。
本作は、初期設定のミスで大きなハンデを負ってしまっている。

その他、得点アイテムが出現してから時間をおかずに取得するほどに高得点になるが、得点アイテムで敵が隠れてぶつかってしまうことがあるとか、ボムチャージの貯まり具合が確認しづらい(音声で予告されるが聞き分けづらい)など、いくつかの修正しやすい欠点は早めに直して欲しいとは思う。
とは言え、『アカとブルー』は独立後第1作と思えないほど面白くできている。
豪快に指を動かして得点アイテムを取る爽快感はスマホのタッチ操作ならではだし、物語との融合も結構上手くいっている。最近のスマホシューティングに足りないピースを上手く埋めている印象だ。
シューティング好きなら手にとって損はない。
評価:8(かなり面白い)
おすすめポイント



気になるポイント




アプリDL:
アカとブルー (itunes 960円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
開発:タノシマス(日本)
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし
ライター:ゲームキャスト トシ
動画:
コメント一覧 (15)
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- 2017年08月12日 23:47
- オートボムに設定したら一面はギリギリでクリアできました
しかし二面の難しさと来たらw
次回作が出るまでにクリアできるといいな〜
でもやっぱり難易度設定は欲しいと思うのです。
バリバリのシューターには良いですが、
バリバリのヌルシューターも一定数居るのですよ!
キャラの掛け合いをノンビリ聴きながら遊びたい…
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- 2017年08月13日 00:27
- 新規STGとしては満点
こういうのがケイブが出せていれば…そう思わずにいられない
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- 2017年08月13日 00:28
- >弾幕シューティングの上級者でなくとも本作をクリアできてしまう。
あまりにもムズ過ぎて全くそんな気がしないんですが・・・・
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- 2017年08月13日 00:32
- 正直初心者こそブルーを選ぶべきかと
通常ショット火力が高いことこそ正義でしょう
撃たれる前に撃つのが基本ですし
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- 2017年08月13日 01:31
- 「攻撃力が高いがクセがあって上級者向き」って他ゲーでもよくあるやん。
正義とかイミフ。
撃たれる前に撃つのもその敵の特性分かってて初めて出来ることでは???
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- 2017年08月13日 06:58
- ワイドショットのアカは火力が低いのでボス戦ではどうしても長く弾避けしなきゃならなくなる
ブルーは火力高いからボスを倒す時間が短くなる
基本的にSTGでは攻略するならストレートショット機体の方が有利な場合が多いんだよ
敵配置は同じだから覚えておけば幾らでも対応できるからね
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- 2017年08月13日 07:38
- 「覚えておけば」と「初心者」は論理的に両立しない
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- 2017年08月13日 08:08
- だってどの道この難易度だと覚えて決めボムして行かないとクリア出来ねえんだもん!
結構STGやってる俺でも気合避けだけでクリアはかなり難しいよ
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- 2017年08月13日 20:20
- イージーモードがあればなぁ。
個人的には、色々難易度的に優しいし、音楽面でも、ほぼ同時に出たDANMAKU Unlimited 3のほうが好きです。
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- 2017年08月15日 01:53
- 敵弾幕はケイブらしいけど、自機のショットが派手さの無い
東亜シューっぽいのになんか違和感がある。
凝ったボムシステムよりはシンプルに撃って避けるDanmaku Unlimited 3の方が、
稼ぎプレイを考えない残念なヌルシューターの自分には合ってるな。
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- 2017年08月15日 14:28
- 自動座標補正、もしかしてスライダーを一番左にしても多少効いているのでしょうか。
何度か指を自機と離れたところに置き直してもいつの間にか自機と指が重なってて遊びにくい……
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- 2017年08月15日 23:11
- キャラ名間違ってますよー
アカ・シンク
ブルー・サーニ
です
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- 2017年08月19日 00:52
- ブルーはボス戦でアカより早めに倒せるから寧ろブルーの方がやりやすいって人も当然居る
アカだと左右に広がるワイドも当てないと最大火力出ないからパターン二週目以降までもつれ込んだりする
ボムも自分の周囲の弾は発射時に消せるから初心者向きか否かではなく合う合わないだろう
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- 2017年08月29日 16:33
- 結局二面クリアできず頓挫中…
やはりもう少しだけ難易度調整を
お願いしたいレベルですた
あっさりと予想以上のものが出てきて感動しました
スマホSTGのレベルを一気に数ランク上げたと思います
作品としては文句なしですが、スマホで弾幕の永遠の課題、指で視界が隠れる問題はどうしようもないので
PS4やニンテンドースイッチでも出して下さいっていう気持ちが一番大きいです