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『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』レビュー - レイトン、自ら出した謎を解かずに終わる。物語に欠陥を抱えた1作

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英国紳士のレイトン教授が謎を解いてストーリーを進める謎解きミステリー『レイトン教授シリーズ』。
その最新作『レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀』は、行方不明のレイトン教授に代わって娘の“カトリー”を主人公にし、奇想天外でコミカルな推理を行う謎解きゲームに路線を変えて登場した。
結論から言うと路線変更の善し悪しではなく、単にストーリーと謎がかみ合っていないことでこのゲームは失敗しているように見える。
※本記事はレイトンシリーズとしてではなく、1本のスマホゲームとして評価しています

ゲームはカトリーが探偵事務所を開き、そこに人の言葉が分かる犬シャーロが「記憶喪失の自分の過去を突き止めてほしい」と依頼するところから始まる。
ただ、シャーロの依頼をこなす手がかりがないため、カトリーとシャーロ、助手のノアは街の人々からの依頼をすぐに依頼をこなすことが出来ないのでシャーロと共に通常の依頼をこなすことになる。
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ゲーム内には全12件の依頼があり、依頼を引き受けると街を探索するパートに移る。
このパートは虫眼鏡を使って怪しげな場所を調べたり、街の人から情報を聞いたりするパートである。
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このゲームのメインは謎解きなので、調査パートで詰まることはない。
人の話を聞いて世界観を楽しんだり、謎コインや収集アイテムを見つけて楽しむ気楽なパートになっており、ヒントに従って気になった場所を調べていくだけでゲームは進行し、要所で謎が登場する。
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▲この世界の住人は、息を吐くように謎を出してくる。

謎の内容は閃きを必要とするトンチクイズから、ロジックで解けるパズルまで多岐にわたっており、全てを簡単に解けるプレイヤーはほぼいないだろう。
ただ、ゲームの前半に文面が理解しづらいとか、複数の解釈ができそうな謎がいくつかあって気にはなった。中盤を過ぎると気になる問題は見当たらなくなっていったので、ゲームの印象を左右する前半の問題が悪いように感じた。
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▲個人的にこのあたりは印象が良くなかった。

一方で量は通常設問が200近く、おまけで出てくる“迷路”や、クリア後の超難関問題、毎日1つずつ増える謎を計算に入れればゆうに500は超える計算で、まったく不足はない。
バラエティに富んだ謎の量がレイトンの売りと言うこともできるだろう。
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謎の解答は何度間違えても問題ないが、“ピカラット”という得点が設定されており、間違えるたびに正答時に得られるピカラットが減っていく。ピカラットはクリア後の特典に影響するので、ひらめきがあるプレイヤーほど良い特典がもらえる仕組みとなっている。
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3DS版では下の画面にメモを取りながら上画面で問題文を確認できたが、スマホ版ではウィンドウを半透明にしてメモを取ることが可能。3DSにあった機能はスマホでも問題なく使える。
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難しすぎる謎はスキップしてゲームを進めることもできるし、調査時に見つかる謎コインでヒントを得ることもできる。おそらく、間違えることはあったとしても進めなくなることはまずない。単調ではあるが、難易度は適度な頭の体操の範囲。
そして、謎を解いて事件の情報を集めると推理パーツがうまっていき、全ての推理パーツが集まるとカトリーが事件の原因を自動で推理し、解決してしまう。
クライマックスとも言える推理が自動なのは残念だが、そもそもトンデモ推理を掲げているので結末をプレイヤーが真面目に推理する性格のものではないからしかたないか。
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さて、そんなレイトンが面白いかというと……残念ながら、おすすめできるほど良いとは言えない。
3DSの2画面を引きずった操作や、主人公のボイスに違和感がある点、序盤に納得感の薄い謎が出てくるのもあるのだが……1番の問題はストーリーである。
スマホには安くても良いパズルが多く存在する。その中で、レイトンの大きな差別点と言えばアニメシーンやストーリーになるだろうが……それが生きていない。
ストーリーのあるパズルゲームは、複数のパズルを物語を通じて小出しに物語や伏線を明かして大きな謎につなげ、それをプレイヤーが解いて大きなカタルシスを得られる。もしくは、興味深いストーリーでパズルを引っ張ることができる。

ところが、本作は事件を追って解決のヒントを集める形式だが、事件の結末は突飛なもので推理が難しいし、そもそも勝手にカトリーが答えまで出してしまう。
事件の締めに(たとえ回答がわかりきっていたとしても)大きな謎を解くカタルシスが欠けてしまっている。
ミステリーであることをやめたシリーズだからしかたないとしても、それならばカトリーの回答がご褒美と言えるほど楽しい必要があるが、その面白さも薄い。
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▲公式で明かされていたが、モナカ…!

最終章とその手前にいたっては、とってつけたような事件が発生し、それまでのストーリーから全く類推できない結末を迎える。謎解きゲームのストーリー展開が謎解きによって支えられていないし、面白くもない。
さらに言えば、この物語は人語を解する犬シャーロを起点に始まるのに、シャーロの謎には一切触れられず、解決しないし、行方不明のレイトン教授のほぼ影もない。
これなら意味ありげに情報がばらまかれて「次の作品に続く」エンドの方がまだマシだ。
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▲せっかく良いアニメを使っているのに、核となるストーリーが適当ではその力も生かせない

今作は謎解きゲームとしてはボリュームがあるが、『レイトン教授シリーズ』の期待度を考えると微妙。
コンセプトの変更や謎のクオリティなどの個々のパーツではなく、全体を通してのストーリーの問題なので、そこさえ良ければ満足度は大きく変わっていたように思える。

最後に、3DS版とスマホ版の違いを書いておこう。
3DS版は定価4,800円で、ゲーム中に謎コインを集めて10着の衣装を購入できる。その他に過去作風のコスプレ衣装と追加の謎セットを購入でき、全て一括で買うと960円。
スマホ版は定価1,900円で、3DS版で謎コイン購入だった衣装は課金アイテムとなる。これはセットで1,800円。その他にコスプレ衣装も3DS版と同じように買える。
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全部買ったときの合計金額は3DS版で5,760円、スマホ版は4,680円。
スマホ版は画像の解像度が高くてムービーが美しいが、操作性は3DSを引き継いでいて引っ張られている。
プレイヤーに聞いたところ、3DS版は解像度は低いが衣装を買えるので謎コインを探す作業が楽しく、操作性も気にならないという。
どちらも一長一短なので、好きな方で買えば良い。が、内容を考えるとレイトンファン以外はスマホ版1,900円で済ませて、なお楽しみたければ衣装を買うのがおすすめである。

評価:5(楽しめる)

おすすめポイント
大量の謎
アニメやグラフィックは良い

気になるポイント
ストーリーの伏線を一切回収しない
単に出題意図がわかりづらい謎がある
3DSの操作性に調査パートが引きずられている

アプリDL:
レイトン ミステリージャーニー カトリーエイルと大富豪の陰謀 (itunes 1,900円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)

開発:レベル5(日本)
レビュー時バージョン:1.0.0
課金:衣装+謎セット(1着240円で15着、セットで1着180円程度)

ライター:ゲームキャスト トシ