ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

『Starsceptre』レビュー - 25年間独自ゲームを作りたかった男、通勤中にiPadでゲームを開発し、青春の1980年代風シューティングを作る

star01
「1人で、自分だけのオリジナルゲームを作りたい」
25年間広告業を営んだゲーム好きが、青春時代のあこがれを色濃く反映して制作したシューティングゲームが『Starsceptre』だ。
1980年代のテイストを持つ映像にも目を惹かれるが、それ以上に驚くのは本作がiPadで開発されたという事実だろう。
開発者のRichard Morganさんは仕事の余暇がほとんどなく……時間を捻出するためにたどり着いたのは毎日2時間の通勤時間中にゲームを開発すること。そして、持ち歩き可能な開発ツールとしてiPad専用開発アプリCodea(itunes)を選択したのだ(詳しいストーリーはimoreの英語記事で)。

その出来栄えを確かめるべくアプリを起動すると、そこは懐かしさを想起する画面が広がっていた。
戦闘機とパイロットスーツの男、そして『コブラ』に出てきそうなヒロイン。
stars08

で、ゲームを始めればこの通り。
イカス戦闘機と、コックピット。
star02

そして、全編フルボイス(英語)のデモシーン!
期待していた通りの内容で満足しかない。この部分だけで元が取れた。
star11
▲欲を言えば、機器の照り返し的なものも欲しかったけど。

で、ゲームシステム部分を見ると……やっぱり懐かしい。
本作は何度かダメージを受けてもHPが尽きるまで戦い続ける方式を採用していて、ショットと回避だけで突き進むシンプルな縦スクロールシューティングゲームとなっている。
star12

成長はステージ中に出現するパワーアップアイテムを取得するのみ。
パワーアップアイテムは撃つたびに変化し、順番にミサイル・オプション・3種類のショット・ボム・HP回復へと変化する。
特定のショットとミサイルは取り続けると、最大で3段階まで強くなっていく。
stars03

ボムはアイテムとして取った瞬間に効力を発揮し、画面上の弾をすべて消す強力な攻撃を行う。
ストックして自由なタイミングで使用することはできないが、アイテムを撃ってボスのいるエリアまで持っていき、ボスの目の前でとることは可能。
stars02

ここまではただ懐かしい……という感じなのだが、操作方法まで懐かしくなりすぎてプレイヤーを選ぶ。
というのも、iPhone初期のシューティングのような傾け操作なのである。移動は左右の方向け操作で、ショットは画面タッチ。
完全無敵の宙返りはiPhoneを手前に立てる操作。
star13

難易度は傾け操作に合わせて調整されているのでクリアには問題ないが、操作が受け付けないというプレイヤーもいることだろう。
正直、ゲームだけ見ると「細かいことに目をつぶれば遊べ!」という出来ではある。

だが、そもそもとして本作の魅力は1980年代風シューティング空気感であり、ゲーム部分はおまけである。
巨大ボスもいい味出しているし、地雷ステージやプロミネンスステージなどのお約束も踏襲していて懐かしい感はかなりある。
star06

豪華なことに、HPがなくなると専用の破壊アニメーションすらあるでは……あ、いや、何かおかしい。
stars04

!?
stars05

魔法で時間逆行して、一命をとりとめた……だと?
stars09

ふう、珍しいものを見ちまったぜ……。
ゲーム部分は荒いものの、ビジュアルシーンは上記のような衝撃も含めてインパクトがある。
また、全7ステージにビジュアルシーンが挟まれており、随所に「昔、こんな感じあった!」という要素もちりばめられている。だから、レトロゲーマーが懐かしい空気を味わいたいと思う目的で買うならば絶対に価格の元は取れるだろう。
iPadでどこまでの物が作れるのか興味がある方、懐かしい空気のビジュアルを求めている方にはお勧めだ。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
iPadでこれが開発できることがすごい
1980年代を意識したビジュアル
細かいことを気にしなければゲーム部分も楽しめる

気になるポイント
スコアを引き継いだまま無限コンテニュー可能
傾け操作

アプリDL:Starsceptre (itunes 240円 iPhone/iPad対応)
開発:Richard Morgan
レビュー時バージョン:1.0
課金:なし

動画:


ライター:ゲームキャスト トシ