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『FRAMED 2』レビュー - パズルが良くなった結果、ゲームが迷走。コマを入れ替えて物語を変える漫画パズル第2巻

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漫画のコマを入れ替えることでストーリーの因果関係を入れ替え、物語を都合よく変えてしまうパズル『FRAMED』の2作目……いや、漫画だから2巻目が『FRAMED 2』の感想は“迷走”であった。
前作はその新しさとノワールフィルムのような映像の魅力で2桁もの賞を受賞し、『メタルギアソリッド』の小島監督から「2014年のベストゲーム」と評されたほどの作品。
今作はその前作を基本にパズル要素を強化し、前日譚を描く安定の作品だったはずなのだが……パズルの強化は意外な結果をもたらしたのだ。

もう説明の必要もないかもしれないが、FRAMEDのゲームの流れをおさらいしておこう。本作はコマを入れ替えてストーリーを変えるパズルである。
例えば、男が道を通り過ぎる何気ない1ページコミック。これを再生すると……。
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2コマ目で、男が壁の裏から出てきて手前の道に移動する。
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3コマ目。男はそのまま進むが、崩れかけの道に足を踏み入れて水の中に転落。
ゲームオーバーとなってしまう。
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しかし、FRAMED 2では漫画のコマを入れ替え、結末を変えられる。
先ほどの下のコマをドラッグし、入れ替えてからストーリーを再生すると……。
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男が壁の裏にいる状態のまま、不安定な足場のコマを通り過ぎる。
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そして、次のコマで壁から手前の道に移動して男は無事に進む。
コマを入れ替えることで出来事の順番が入れ替わり、ストーリーが変化する。これがこのゲームの“漫画パズル”だ。
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パズルを解くと、続いてカットシーンでストーリーが進む。
シルエットで示されるキャラクターたちには一切のセリフがなく、その無音劇に謎めいた魅力がある。
漫画の結末を変えて男を守り、その行く末をシルエットのカットシーンで見守る。この2つがFRAMEDの面白さの両輪である。それは前作から全く変わらない。
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では、何が前作と異なるのか。表面的に言えば、おまけ要素と新しいパズルの仕組みがそれだ。
今作ではステージにポラロイドが隠されており、男がそれを拾うと特別な画像が手に入る。ファンにはちょっと嬉しい要素が1つ。
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もう1つのパズルの仕掛けで目立つのは、新しいコマの作成だ。これは既存のコマで男に何かしらのアクションを取らせて絵を変化させ、別の意味を持つコマを作り出すテクニックである。

例えば、下の場面ではオレンジとグリーンの道が存在し、コマを入れ替えて男が通る道を制御するパズルが楽しめる。
ここで、左下の警備員が立っているコマに注目してほしい。今、警備員が監視しているのでグリーンの道は通れない。
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しかし、オレンジの道を男が通ると警備員を後ろから殴って追い出してしまう。
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後に残るのは誰もいないコマ。
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その状態のままコマの状態が保存され、こんどはグリーンの道を通れる安全なコマとなる。これを利用して、新しく道を作っていけるのだ。
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いかにコマを使いまわしていくのか……コピーを使いまくる週間連載作家のようなキャッチではあるが、それが『FRAMED 2』のメインとなる仕組みである。
この仕組みによってパズルとしての深みが増し、ガチャガチャとコマを入れ替えまくって正しい道を探す作業が楽しくなった。

だが、この2巻目をプレイしての感想は「迷走気味」であった。
厳しいことを言ってしまうが、漫画パズルとしてみると『FRAMED 2』は前作から退化してしまった。
前作にはコマの使い道を想像して遊ぶ楽しさがあった。例えば、銃の前にリボルバーが弾切れのコマを置けばそのコマは「弾切れして空打ちした」という結果になり、逆にすれば「銃を発射したので弾倉が空になった」という表現に使用できた。
単に経路が変わるのではなく、コマの持つ意味自体が変わるシーンがいくつか見られて、漫画的な表現を模索していた。
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▲前作Framedより

また、前作はカットシーンから漫画へ、漫画からカットシーンへの流れも巧みで、アクション漫画のような勢いすらあった。パズルシーンは漫画の一部だったのだ。
しかし、今回はそう言った状況がほとんど存在しない。前作は“漫画のストーリーを変えた”という実感があったが、『FRAMED 2』は“パズルを解いた”感覚が強い。
新しいコマを作るトリックは面白いのだがパズルが面白くなって頻繁にコマを入れ替えていると、アクションパズルのようになってストーリーと断絶され読む漫画パズルの良さは薄れる。

『FRAMED 2』のストーリーは前作ファンにとって興味深いし、雰囲気や音楽も良い。単にパズルの面白さで言えば前作に勝っている。
しかし、そのパズルが“漫画”という面白さの核をぼやけさせてしまった。ゲーム体験のコアと、ゲームの進化が相反してしまっているのだ。

初代『FRAMED』ストーリーの広げたいファンなら買っても良いが、そうでなければ前作の方が完成度が高く面白い。
漫画の1巻目が壮絶に面白いかったので2巻目も買ったが、1巻のときより勢いはない。そんな感じの1作になってしまっている。

評価:5(価格通りに楽しめる)

おすすめポイント
コマを入れ替える目新しいパズル
前作ストーリーの前日譚が語られる

気になるポイント
短い
前作より漫画度が下がっている

課金
なし

(バージョン1.0.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
FRAMED 2 (itunes 600円 iPhone/iPad対応)

動画:


 コメント一覧 (4)

    • 1.
    • 2017年06月15日 20:16
    • おっしゃる通りです。
      読んでもやもやが解決レビュー。
    • 2. ケモ耳
    • 2017年06月15日 20:30
    • なんというジレンマ!
      確かにがちゃがちゃ動かすアクションパズルになっちゃうと、既に他のゲームでもジャンルとして存在しますよね。

      前作は、答えを知ってても知らなくても。
      コマの配置を変えて、ニヤニヤしながら結果を眺める楽しさがありましたが…
      思わぬ盲点でしたね。
    • 3.
    • 2017年06月15日 22:04
    • 昨日からやってますが
      仰る通りすぎて書くことがないですね
      あれ?楽しくないぞ?と
      ゲーム性をややこしくしないで
      世界観を楽しむためのディティールのアップデートに徹底していたモニュメントバレーの偉大さがわかります
    • 4. 寝不足
    • 2017年07月14日 11:38
    • 通路走ってるばかりなのが…

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