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iOS11の新生App Storeでは不正ランキング操作が一掃され、Appleがゲーム攻略メディアまで取り込む

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Appleは日本のApp Storeにはびこる不正ランキング操作を一掃し、なおかつゲーム紹介や作者インタビュー、ゲームは攻略のメディア機能まで取り込む。
先日、Appleの開発者向けカンファレンスWWDCで明かされた「iOS11の新しいApp Store」に衝撃を受けた関係者は多いだろう。

まず、恐れおののいたのはリワード広告業者だ。
これまで、iOSではリワード広告と呼ばれる手法が蔓延しており、ランキングを不正に操作していた。
これは「ポイントサイト」などを通じてアプリをダウンロードさせ、ユーザーにお小遣いという"リワード"を与えてランキングを上位を買う手法である。
こういった手法で手に入れたプレイヤーは定着しないが、ダウンロード数が増えれば流行っている感を出るし、ランキング上位に入ればランキングを見てダウンロードする大勢のプレイヤーがゲームを遊んでくれるので金額に対して広告効果が大きく、爆発的にはやった。
Appleが禁止する不正行為であるため、「リワード辞めます宣言」をした会社もあったが、他社が効果的な広告をしているなかでリワードをやめることは厳しく、再開するありさまでもあった。

しかし、iOS11ではランキングがApp Store下部のタブから消えた。
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▲画面下のタブは、今日のアプリ・ゲーム・アプリ・アップデート・検索の5つ。

iOS11から、ランキングは極めて見づらい場所に配置される。つまり、ランキングからの流入は期待できなくなる。
これによってリワード広告のメリットが大きく消え去り、iOSのランキング不正操作はなくなることが予想される。
しかし、そうなるとどうやってアプリをダウンロードしてもらうのだろうか。

Appleがこれに対して出した回答はApp Store自身のメディア機能の強化である。
まず、"ゲームタブ"が追加されてアプリとは別にゲームが紹介される。つまり、ゲームの露出機会は多くなる。
さらにゲームタブを見ると、新着ゲーム(今まではまったく目立たなかった!)とAppleのおすすめゲームが見られる。これで、新しいアプリを能動的に探せるわけだ。

さらに興味深いのは、"今日のゲーム"と"今日のアプリ"では毎日Appleの担当者がアプリを1つ紹介し、目立つ位置に置いてくれる。
これまでは新着しか紹介していなかったが、ここでは良いアップデートも掲載されるようだ。
また、"リスト"というAppleがテーマ別に選んだアプリのリストも公開され、用途に応じたおすすめアプリリストを見られる。ここに載ったアプリは、長くダウンロードされることだろう。
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さらに、"デイリーストーリー"という独占インタビューや開発舞台裏の記事、アプリの使用方法や攻略方法まで載せるという。
過去、iOSはサードパーティーのアプリ機能を取り入れてきたが、ついにゲームメディア機能も取り込んでしまうのか。俺を雇ってくれ。
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▲なんということだ……ファミ通よりもさらに上の権力を持ったメディアが出現してしまう……。

いろいろと危うくも見えるが、ゲームキャストとしては基本的にこの変更は歓迎だ。
そもそもランキングシステムは欠陥を抱えていて、多くの場所で「人気のあるものがずっと上位にいる」という状況になりやすい。
これは特に有料ゲームのランキングで顕著で、どの国を見ても『Minecraft』が上位に並び、何年も前のアプリですらずっと100位以内に居座っている。新陳代謝が遅すぎる。
無料ランキングは(不正も含めて)広告がぶち込まれて新陳代謝が起きていたが、それはそれで不健全ではあった。
Appleに気にいられる重要度が大きくなりすぎる問題を抱えるが、「Appleのおすすめ」に入らなければ見つけられなかった新しいゲームが見つけやすくなることは歓迎したい。

あと、僕の仕事がなくなりそうなので雇ってください。