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『Monument Valley 2』レビュー - あの感動をもう1度。さらに美しく、奇妙で、神秘的な親子の旅

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2013年、錯視の視覚トリックを暴いて道を進むパズルと世界の美しさ、素晴らしいサウンド評価され、世界中のプレイヤーから圧倒的な支持を得たゲームに続編が登場した。
『Monument Valley 2』だ。
前作では1人で孤独な道を歩く旅を描いていたが、今作の主人公は2人の親子。ときに一緒に、ときに分かれて旅する親子の姿は、前作とは似ていて少し違うストーリーを味合わせてくれる。

本作は錯視を利用したパズルを解いて、道を進んでいくパズルアドベンチャーだ。
錯視とは、人間の知覚を利用したトリックである。例えば、このどう見てもつながらない道。画面をタッチして歩かせようにも、先に進めない。
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▲タッチすると主人公が移動するが、行き先がない。

しかし、ハンドルをぐるぐる回して道を回転させると道が……道が、奇妙なつながり方をしてしまった!
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現実世界では、はるか上空にある道が突然つながるなんてことはない。
しかし、このゲームでは絵的につながっていれば歩ける。このような目の錯覚を利用して道をつなげ、ひたすら進むゲームが『Monument Valley』である。
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この基本は前作と全く変わらない。それどころか『Monument Valley 2』のパズル難易度は前作より低く、試行錯誤する狭義の“ゲーム性”は低くなっている。親子2人を操作する仕組みも、難しいものではない。
だが、それがいい。

もともと『Monument Valley』は美しく神秘的な建築物を旅する“ウォーキングゲーム”の性格が強かった。
パズルが控えめになったことで、よりウォーキングゲームとして集中して楽しめるようになったのだ。
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そして、プレイヤーが歩いてみる建築物は、前作以上に奇妙で美しい。
日の光の当たり具合に応じて即座に成長する植物や、奇妙な石板など、新しい建築物はいやが上にも想像力を掻き立てる。
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回転するたびに時間が変化する建物や靄がかかった不思議な世界など、前作で見られたギミックもある。
しかし、のきなみ演出が強化されて美しさに磨きがかかっている。
また、パズルが簡単になったためテンポよく風景が切り替わり、5分から10分程度遊ぶと周囲の様子はがらりと変わってしまう。もう飽きる暇などない。
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音もより良くなった。足音のバリエーションが増え、建物の発する音が豊かになり、画面を触る楽しみも増している。
孤独な雰囲気であった前作に対して、暖かみを増した今作はやや味が違うが、今作は前作の正当臣下となっている。
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▲前作とのつながりを示すシーンや懐かしい友との出会いなど前作ファンへのサービスもある。

プレイは全体で2時間程度。
目まぐるしく変化する建築物、素晴らしいサウンドを通じて描かれる親子のストーリーを追って、一気にプレイしてしまった。
そしてすべてが終わったときには、映画を見終えたときのような満足感があった。
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これは、まさしく前作で味わった“短く詰まったゲームを楽しむ”体験そのまま。
初めて『Monument Valley』をプレイしたときの革新的な新鮮味はさすがにないが、前作を味わっていてもなお楽しめる正統派の続編である。
序盤の既視感、最後の道のりが簡単になりすぎたために「成し遂げたエンディングの感動」は薄くなってしまったが、今作も美しく奇妙で神秘的な体験をあなたに提供することだろう……つまり、前作が好きならば間違いなくプレイすべきということだ。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
奇妙で神秘的な世界観
次々と変化し、飽きることのない建築物

気になるポイント
2時間程度で終わる
序盤は少し退屈

課金
なし

(バージョン1.0.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Monument Valley 2 (itunes 600円 iPhone/iPad対応)

動画: