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【TIF】駆り立てるのはゲームへの情熱。 作り手の夢をゲーム化する戦術ゲーム『リバーシクエストII』

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『リバーシクエストII』は、リバーシ+RPGの良作『リバーシクエスト』の続編であり、その欠点を取り除いて遙かに進化させた注目作だ。
もともと持っていた素晴らしいバトルシステムに加え、スーファミ風の豪華な演出が加わって見事な作品に仕上がっていた。
本作はインディーゲーム博覧会「TOKYO INDIE FEST(TIF)」のモバイルゲームの中でもひときわ輝いていた。
TOKYO INDIE FESTにゲームキャストアワードがあれば、このゲームにあげたい。しかし、そういった賞はないのでこのミニインタビューで代えさせていただく。

本作はリバーシ(オセロ)をバトルに採用したRPGで、プレイヤーと敵が交互にユニットを配置し、敵ユニットを挟み込むことで挟み込んでダメージを与えるゲームだ。
その面白さは確かなものだったが、信念としてガチャなどの儲かる仕組みを入れておらず、1作目は売上げ面でヒットと言えなかった。
なぜ、この時期にスマホに出すのか。YOKOGOSYSTEMの田崎さんに伺った。
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▲展示メンバーとYOKOGOSYSTEMの田崎さん(右)メインの開発は2人だとか。

ゲームキャスト:
『リバーシクエスト』と言えばリバーシ(オセロ)でバトルするいぶし銀の良作として評価されていた1作ですが、なぜこの時期に2作目を?

田崎:
初代『リバーシクエスト』をスマホで出して「もう少し変えれば良くなるのに」というところが沢山あったんです。
初代は初めてゲームデザインしたゲームだったので、もちろん基礎は知っていたのですが、ゲームの作りがアップデート向きではなかった。
それで初代を拡張するより、ゼロから作り直した方が良いと思って作りました。
なにより、『リバーシクエスト』のバトルシステムは面白いと思っていたので、もう1度チャレンジしたかった。

ゲームキャスト:
確かに、『リバーシクエスト』のバトルシステムはとても面白かったですね。
フィールドの双六が好きでなかったので続きませんでしたが……光る部分が沢山あって、惜しいゲームでした。
実際、あれが出てからバトルシステムだけ『リバーシクエスト』からとっていったゲームがいくつか出ましたよね。
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田崎:
残っているのは『オセロニア』だけですけど。

ゲームキャスト:
それこそ『リバーシクエスト』のバトル部分の恩恵を一番受けているゲームじゃないですか!(笑)
本家リバーシRPGの意地を見せてやるという想いがあるとか?

田崎:
それですね(笑)
でも『オセロニア』はガチャの基本無料ゲーム、『リバーシクエスト2』は普通のゲームなので別の楽しさがあって食い合わないと思います。

リバーシクエスト2の内容は?
ゲームキャスト:
ゲーム内容について伺いたいのですが、単純に前作の拡張なのでしょうか?

田崎:
はい。しかし、大幅に変えてあります。
まず前作で不評だった双六などはなくしてありますし、バトルも拡張されています。
単にリバーシで陣取りするだけでなく、「アタックチャンス」で人がコマを置いたところに上書きできたりもします。
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▲双六はなくなり、普通のフィールドに

ゲームキャスト:

見た目にも大きく変わっていますね。

田崎:

スーファミ風にまとめました。ドット絵もそうですが、モザイクがかかってフェードする演出など、全てスーファミ風にこだわっています。
今回はイベントシーンも全てアニメーションします。
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ゲームキャスト:

すごい手がかかっていますね……。
『タクティクスオウガ』風のビジュアルが目を引きますが、なぜここまでオウガ風に寄せたのでしょうか。
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▲アートはオウガでも、バトルやフィールドは別物なので、プレイすると全く違うゲームになっている。

田崎:
とにかく『タクティクスオウガ』が好きなんです。
ゲーム業界に入ろうと思ったのが『タクティクスオウガ』の影響なので、アートの方向性としてそういったゲームを出したかった。
後から出たゲームで言うと『FFタクティクス』や『グランブルーファンタジー』はその系譜なんですけどアニメに寄っています。
『タクティクスオウガ』や『ベイグラントストーリー』のようにシリアスな方向でオウガをリスペクトしてアートでゲームを作りたかったんです。

ゲームキャスト:

確かに、アートとしてオウガを追ったゲームってあまり見かけないですよね。
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▲フォントもスーファミアンチエイリアス風の物を自作

田崎:
本当にアートが好きでゲーム業界に入ったからには、一度はその環境のゲームを作ってみたかったんです。

ゲームキャスト:
ないなら自分で作ってしまうってことですね。
まさにインディー魂!ストーリーもオウガ風に?

田崎:
いえ、ストーリーはそこまでシビアになりません。自分がアートの人なので、あくまでアートですね。
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ゲームの新しい作り方
ゲームキャスト:
そんな想いのこもったゲームですが、売り方や発売時期などは?
前作と同じくガチャゲーにならないとおっしゃっていましたが……。

田崎:
基本的にはおっさん向けに作っていて、ソシャゲではないんです。
スタミナもガチャもないし、広告と有料で少しアイテムを出すぐらいで。
たぶん、スマホでは赤字になると思います。

ゲームキャスト:
自分の中では理想と利益のバランスをとるのがインディ-、赤字でも作れれば良いのが同人……と区別しているのですが、「理想のものを作ればあとはOK」な同人的発想なのでしょうか。

田崎:

それで言うと、利益は出そうと思っています。
スマホ版は半分までつくって基本無料でリリースして、プレイヤーの意見を取り入れてバランス調整しつつ完成させていこうと思っています。
完全なものを作ったら、1,500円ぐらいでゲーム機版を出そうと思っているんですね。
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ゲームキャスト:
ゲーム内容はスタートがあって、エンディングがある買い切りのような内容ですが、開発手法は基本無料なんですね。

田崎:

そうですね。完成品を最初からだそうとすると、1年か2年かかってしまう。
それぐらいならユーザーの声を聞きながら一緒に完成を目指していく形が我々のモチベーションにもつながると思っています。

ゲームキャスト:

スマホのプレイヤーと一緒に作り上げて、完成品をさまざまな場所に持って行く。
プレイヤーの声をモチベーションにして、大作を作りきる。
インディーならではの裏技ですね。

田崎:

はい。本当はスマホも有料で出すのが良いんですけど、Androidだと機種によって動かなかったりして。
企業だったらテストの会社に動作確認してもらえるんですけど、我々はそれができない。
動かないかもしれないけど、基本無料だから文句も出ないだろうという形でやろうと思っています。

ゲームキャスト:
課金の差などで基本無料版とゲーム機版は変わるのでしょうか。

田崎:

コンシューマーで出したとしても、スマホで課金していた人が損した気分にならならないようにはしたいですね。

ゲームキャスト:
ありがとうございます。前作のバトルはとても楽しかったので、遊べる日を心待ちにしています。
最後にゲームキャストの読者に一言お願いします。

田崎:
このゲームは仕事でやっているわけじゃないんです。
昼に仕事して、帰ってきて作っているので、もしかしたら遅れるかもしれません。
でも、待っていてもらえたらな、と。

以上。
田崎さんからは「俺の作りたかった、俺の時代のゲームを作りたい」という強い意思が伝わってきた。
ゲーム部分も、試遊したかぎりではすでに面白かった。


この冬、もっとも期待できるゲームの1つとして、ぜひ覚えておいて欲しい。

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