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【Unite 2017 Tokyo】好きなゲームを作り続けるために、僕らは何をすべきか。インディー開発者の仕事術を学べ

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個人開発者は何を考えて生きているのか。
ゲーム制作ツールUnityに関する講演が行われるイベント、「Unite 2017 Tokyo」にて5月9日12時30分より「好きなゲームを作り続けるために、僕らは何をすべきか」というテーマの元にトークセッションが行われた。
語ったのは、いま波に乗っている個人開発者6名。
その内容と、個別に伺った「個人開発者としての仕事術」のレポートをお届けする。

セッションは司会の質問に答える形で行われた。
まず登壇したのは一條さん、大貫さん、大橋さんの3人。
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一條さんの代表作はPlayStation時代のアドベンチャーをリスペクトしたゲーム、『Back in 1995』。
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大貫さんの代表作は海鮮シューティング『Ace of Seafood』。
自分が遊びたいゲーム……つまり、海産物が戦うシューティングを作っているうちに会社員としての収入を超えたため、独立したという。
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大橋さんはクソ難易度が高いことで有名な『Missileman』の作者。
夫婦でゲームを製作しており、プログラミングとゲームデザインを大橋さんが、デザインを奥さんが行っている。
「インディーでやっているわけだから、自分の好きなゲームを作らないとモチベーションが持たないので、自分が遊びたいゲームを作った」
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プロモーション方法は?→プラットフォームがでかい
プロモーションに関しては、iOSならApp Storeのフィーチャー、Wii Uソフトウェアならば任天堂の公式サイトの宣伝がとても効果があったという。
とくに、『Ace of Seafood』ではゲーム公式HPの文章が任天堂さんの公式サイトに載ったらスゴい効果があったとか。
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ただし、そこにたどりつくまでは地道なプロモーションが必要となる。
地道にメディアにPRの連絡を行い、デジゲー博やUnite、トーキョーゲームショーなどに出展し、その展示の中でプラットフォームの担当者と出会い、フィーチャーなどを獲得したとのこと。

海外展開を視野に入れていたのか?→意識したが日本が大きい
『Back to 1995』は9:1で日本の売上げが高く、『Missileman』はアメリカ4:日本4:中国+その他2という状態。
『Ace of Seafood』も日本が多い。
結論としては、母国は重要。
ただ、ダウンロード市場は世界で販売できるのが当たり前になっているので、作るゲームがどの国の人に刺さるかでプロモーションを考えるのが良いとのこと。

会社員をやめて収入は上がったか?→それぞれ
一條さんは、ゲーム制作は仕事の一部となっており、全部ではない。そのため『Back in 1995』だけでは生きられないが、全体としての収入は上がったとのこと。
大貫さんは会社員のときより多いぐらいで、今年もたぶんPS4が出れば上。来年以降は分からない。
ただ、個人でやりたいと言うよりも、そのときに自分が出したいゲームの出しやすい働き方を選ぶそうなので、ゲームが売れないから困ることはないようだ。
大橋さんは「夢を壊すかもしれないが、すっげぇ下がりました」と宣言。開発準備期間いれて18ヶ月、2人の大人が暮らすほど稼げていない。
ここに呼ばれているクリエイターがある程度知られている人間と言うことを考えると、ゲームだけで暮らすのは難しいようだ。

パートナーを組むとしたらどんな人?→一緒に作る同志
満場一致で「話が通じる人、自分のやりたいゲームとか世界観が伝わる人」。
コミュニケーションコストが下がり、かつ自分の指示をこなすのではなく、同じゲームを作る同志のような存在がいいという。
大貫さんはアクションやシステムに凝ってしまうので世界観とかをカバーしてくれる人が良く、音楽は大貫さんの作品を好きな方がやっているとのこと。
一條さんは3DS版の『Back in 1995 64』で苦手なシナリオのヘルプを頼んですごく良かったと実例を挙げていた。

そして、それぞれに今気になっているゲームを挙げた後にスピーカー交代。
今度は、OTUKAさん、ところにょりさん、山本勇太さんの3人に交代。
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OTSUKAさんの代表作は『Time Locker』。オシャレなどと言われるが、必要ない物をそぎ落とした結果この姿になっただけで、オシャレは意識していないとのこと。
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ところにょりさんは、『ひとほろぼし』、『ひとたがやし』、『ひとりぼっち惑星』、『からっぽのいえ』などが代表作。
本人曰く「とっても平和なゲーム」を作り続けている。
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山本裕太さんは、ゲームキャストの読者には『Strange Telephone』でお馴染みだ。
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作家性を意識していますか?→それぞれ
OTSUKAさんは「意識しません。勝手に出るもの」とバッサリ。
ところにょりさんは「内面と外面の部分があると思っていて、外面は使っていける」と発言。
具体的には、同じ世界観で同じ素材を使いまわしてゲームを作た結果、外面部分に作家性のようなものが出ていると指摘。
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▲ひとががやし。ひとりぼっち惑星と、パーツは似ている。ゲーム内容(内面)は別物。

対して山本さんは意識していると発言。
自分自身、ガラケーアプリ時代に「あの人の続編が出た!」と言われたらダウンロードしていたという。一目見て誰の作品かわかるのが重要だと思うとのこと。
3者3様となった。

「バズられること」を意識した仕掛けを教えてください。
『Time Locker』ではシェアしてスコアや仕掛けを見る機能を入れてみたが、機能しなかったとのこと。
興味深いのは、『ひとりぼっち惑星』がバズりを意識していなかったという発言だ。
『ひとたがやし』リリース時に10万程度のダウンロードがあったが、ファンになってくれたのは30%ぐらいしかいないと思っていた。少ないファンで閉じたコミュニティを作り、長く遊んでもらう仕掛けがメッセージ機能だったが、予想外にバズったのだという。
閉じたコミュニティで楽しそうにやっていたのが、外側から見たら面白そうだったのではないかと分析している。
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ただ、現代の人は長い文字を見ないので1秒で人の心に刺さること時が重要で、そのために『ひとほろぼし』など、分かりやすいタイトルを意識したことは語られていた。

対して山本さんは「意識していた」という。
『Strange Telephone』は、6ケタの番号を入れてワールドが生成され、同じ番号ならどの環境でも同じワールド作られる。SNSなどで共有されれば嬉石と思っていたが、結果的にはそんなに共有されなかったとのこと。
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しかし、ファンアートやファンアレンジの音楽などが次々とSNSにアップされ、それが共有されたと言う。
山本さんは最低限の情報しかゲームに入れていないが、キャラクターを重視していたことが1つの原因だと分析していた。
結論から言うと、バズりを狙い通りに仕込めた開発者はいなかった。

ゲームが売れなかったら…という不安はありましたか?
OTSUKAさんは、売れなければ会社員に戻ることになる恐怖があったという。自分は会社員に向いていないと分析していた。だから、売れるために必死に開発できたという。
ところにょりさんは、「不安を抱くのは当たり前のことで、それに対して自分の中の不安とうまく付き合う方法をとっていた」と発言。
不安があるから、まだもっと面白くできるんじゃないかと考え、アプリを改善していたという。
山本さんは売れなければ次をつくればいいし、お金がなければアルバイトすればいいし、人生が終わるわけではないし。どのような形でもゲームは作り続けると思うし、そこまで不安ではないというスタンスを披露した。

個人ゲーム開発に向いている人は?
OTSUKAさんは「会社への適合が欠落している人とか、それに尽きると思います」と発言。自身が会社に戻りたくないがために必死になっただけあり、説得力がある。
ところにょりさんは「自分の中に、これが面白いんだというのがしっかりあって、それを作品の中に落とし込むことが出来る人」、「専業にするならば自分にとって面白いゲームが、人にも受け入れられる余地のある人」と発言。

山本さんは「今作っている人」と発言。作れる人はすでに100%個人でやっているし、作りたいと言っているだけの人は一生つくならいとバッサリ。

この後で「注目のゲーム」を語ってトークセッションは終了したが、ゲームキャストはどちらかと言えば「仕事術」に興味を持っていたので、個別に質問してきた。
個人での作業は、製作ペースを守ったりTwitterの誘惑を断ち切って集中することが難しい。果たして、彼らはどのように自制しているのだろうか。

タスクを細かく書いて進めるOTSUKA式
朝9時ぐらいから作業を始めて、ノっているときは夜まで作業します。
ノってないときは、夕方に終わることもあるし、ひどいときは何もせずにネットを見て終わる。
締め切りが決まっていてどうしても作業が終わらないときは、タスクを細かく書き出して順番に潰して効率的にやりますね。

切り悪く仕事を終わらせる大橋式

仕事始めのエンジンのかけ始めがクソ遅いんですよ。
7時に起きて1時寝なんですけど、仕事を夜になって終わるときに、仕事のきりを悪く終わらせる。次の日になると朝起きたら「ビルドが通らない!」とあせって進む。「Twitter見ないぞ!」と言った2分後に見てしまうので……切れないですね。

人類の友達はいないから…大貫式
会社を辞めて健康的になりまして。会社の時は10時~11時に起きていたんですけど、今は8時に起きて。
COMPって完全栄養食をがぶって飲んで、午前中適当に作業して、昼近くなったら適当に食べて、作業して……。
午後は天気が良かったら適当に散歩して、夜にゲームして、また翌日です。

Twitterは、周りに人間がいないから……。南沼エビを飼っているだけなので。
やっぱり手足がついているんで動きが面白いんですよね、エビ。
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▲伊勢エビTシャツを着て、蟹クリームコロッケを食べる大貫さん。本当に海産物が好き

欲望を抑えない山本式

ちゃんと起きる日もあるし、昼起きて夜までやる日もあるんですけど。
集中していれば昼初めて朝そのままとか。
プログラム飽きたら、絵描いて、飽きたら音楽やって。最近、座りすぎていると思ってジムに通い始めました。
椅子は良いモノを使った方が良いと思います。ニトリとかじゃなくて、できるだけ高級な物が良いです。
Twitterは欲望のまま、Youtubeは欲望のまま見ます。HIKAKINチェックしますね。トレンドもあるし。
Twitter見なければ作業が進むと思うんですけど、Twitterを見る時って気分が乗っていないんですよ。
そんなときは作業しても良いものができないので見ていいと思います。

文豪になりきるところにょり式
開発初期はやる気が出ないので、とにかく形から入る。
とにかく旅館に引きこもって、書いて。太宰治や川端康成になりきって書く。これ見よがしに床に座って書いて、形から入ります。
そこで最初の構想を決めて、持ち帰るとやりやすいんですね。

次に、最初はエンジンがかかってないのでカフェで仕事して。だんだん(文豪の)なりきり度を下げてしていくんです。そうすると最後に外に出ないで開発したいリズムに入るんですよ。そうなったら昼起きて、朝5時まで作業し手を繰り返しますね。

基本SNSとかあまりやらないんですけど、@Takaokaさんのファンなのでそれは見ていますね。
Twitterを見過ぎているときはアニメを見たり、別のことをするとゲームを作りたくなります。
あと、自分のツイートの反応が気になるので、ツイートしないようにします。

※一條さんは忙しかったため、聞けませんでした

以上。
ゲームキャストの感想を言うのであれば、どの開発者も本当に個性的。
個人開発者になる資質は「個性的であること」ではないか、と思わされるトークセッションであった。

アプリリンク:
Missileman (itunes 360円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
Ace of Seafood (itunes 体験無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
Back in 1995(Steam)
からっぽのいえ (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
TIME LOCKER - Shooter (itunes 無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
Strange Telephone (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)