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ロードラ終了記念。ディレクターと振り返る『ロード・トゥ・ドラゴン』~ロードラはどこへ行くのか~

mopゲーキャスさん用
サービス終了を目前にして、最終イベントで盛り上がる『ロード・トゥ・ドラゴン』。
この終わりは、どのように、いつ決まったものなのか。
今だから聞けるロードラの話……そして、ロードラの今後はどうなるのか、サービス終了目前に、アクワイアの宮内ディレクターに伺ってきた。

<ロードラ終了は、最近決まった>

nama
今、ロードラでは最後のイベントが盛り上がっていますが、そもそもロードラの終了はいつ決まり、最終イベントはいつ用意されたのでしょうか。

miya
もともとこのラストクエストは、いつかやるつもりだったんです。
2周年の大災厄イベント時ぐらいから構想はあって、それを実装するタイミングはロードラが完結する時と決めていました。
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nama
それでは、図鑑のアップデートやカットインはこの日のためにコツコツと準備されてきたのですね。

miya
実は、ロードラのサービス終了もずっと前から予定されていたものでは無かったので、コツコツというよりは一気に制作していった形ですね。
カットイン台詞の作成は1週間ぐらいで全部行ったので、期間的にはすごくきつかったです(笑)
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▲ラストクエストでは、すべてのユニットにお別れのセリフが用意された。

nama
1,700ユニットを1週間で……!

miya
進化前を所持していない方も多いと思うので進化前後の台詞が一緒になっていたり、コラボユニット全般はテキストが無いので、実際の作成数はもっと少ないですが……
それでも彼らの最後の台詞なので、今までで一番精神を消耗しました。

nama
これだけ専用のイベントを用意するとなると、クローズのタイミングだと会社的に予算の捻出がかなり厳しいのではないでしょうか。かなり前に話が決まって、時間をかけてそういった準備をしていたものかと思っていました。

miya
(ユーザーの)期待に応えられない状況で続けるより、きちんとサービスを終了をさせよう、という話になりました。
社内的にも温かい目で見てもらっていて、そもそもVer10.0.0で残る図鑑も「もう、運営費をかけられない」という状況の中で、社長から「図鑑は残しても良いんじゃないか」と言って頂き、残せる事になりました。
9.9.0もあの1クエストだけのために特別な演出を実装していますし、10.0.0でのクローズ後のタイトル画面も、とてもロードラらしい物にする事が出来ました。

とがったものが好きとか言っているじゃないか、うちの会社って。
とがってユーザーを傷つける嫌なものを考えているのではなく、ユーザーの心に刺さって残り続ける、ものにしたいと話していて。
会社として、終わるものにもきちんとコストをかけようと、そういう話になりました。


<いま、振り返るロードラ>
nama
終わりに至る道をお聞きしたところで、次はロードラの振り返り……というか、今だから話せることをお聞きしたいな、と。
振り返りの起点として、ロードラは社内的にどのように生まれたのでしょうか。やはり、ソーシャルゲームのバブルに乗って大稼ぎしようぜ、ってノリだったのでしょうか。

miya
ロードラは、最初の期待度はそんななかったんじゃないかな、と思いますけどね(笑)
期待度が低いわけではないのですが、そもそも低予算で作ることが前提だったので、予算に見合ったものを求められていたと思います。

nama
最初に話を聞きに行ったとき、少人数でやっていたとおっしゃっていましたね。
miya
一番最初に大きな反響があって、でもそのあと色々とあって……
本格的に増員が始まったのは、ユーザーの皆さんに下方修正などの謝罪をしてAndroid版を出したときあたりから、でしたね。

nama
謝罪……バランスやドロップをいじりまくって、不評を買ったときですね。謝罪に至る経緯を改めて伺えますか。
これも、今だから言える歴史ということで……。
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miya
おそらくこれはノウハウといったものがまだ無かったからなんですけど、皆さんの反応を得られる情報源がSNS上からだけだったんです。なので、そういう所で頂いた反応を自分や横山を含め、スタッフ全員がダイレクトに受け止めました。
そして調整の内容が良くなかったという事だけで無く、それを事前の告知無く行ってしまったという事態の重大さに気付き、謝罪するという事になりました。

nama
普通の会社さんは、そんなこと言わないですよね。どうして外に出せたのでしょうか。
miya
それすら(運営型のゲームというものに)慣れていないからかもしれないですが、隠すこと自体にメリットを感じられませんでした。

nama
その後、ロードラは着実にダウンロード数を伸ばしていきましたね。
プロモーションがあまりないタイトルとしては、なかなかない伸び方だったと思います。この時期、ロードラの社内での扱いはどのようなものでしたか。

miya
思った以上に人気が出て「看板タイトル」という扱いをして頂けました。
実際、アクワイアとしては会社規模から考えると力を入れて運営していたタイトルでした。

nama
実際、アクワイアの入り口のポスターは一時期ほとんどロードラでしたよね。今も扱いは大きいですけど。

miya
はい。そういった貢献もあって、9.9.0、10.0.0の実装物の話をするときも社長の目は温かかったですね。

nama
ユニットについてはどうでしょう?ロードラといえばユニットデザインの魅力を挙げる方も多いですが、デザインやユニットの生まれ方についても今だから言える工夫や逸話があったりしませんか?

miya
作業の様子としてはロードラのデザイナーインタビューで話が出た通りです。
あれだけの数のデザインを生み出せたというのは、各デザイナ個人個人の発想力、デザイン力が秀でていたからこそ、ですね。ロードラにおいては、自分からの指示は結構アバウトな場合も多かったんですが、単に要件を満たすデザインでは無く、世界観的な意図まで汲んでデザインしてくれるので、そこから生まれる新たな設定なども非常に多かったです。
まぁそのあとその設定によってリテイクを重ねたりして、負担を掛けた事もありましたが(笑)

nama
運営していてよかったことや悪かったこと、苦労話とかあると思いますが、運営として、会社としていかがでしたか。
miya
苦労はまあ、絶えなかったですね(笑)
まず、ノウハウが圧倒的に足りていませんでした。自分も横山も(運営型のゲームは)初めてだったので、全部が我流になってしまって。
良いところと悪いところとありましたね。

nama
良いところから聞かせてください。

miya
良い……と言ってしまっていいのかわかりませんが、考えとしてユーザー体験を第一に考えて数値への影響を考えるのは二の次になっていました。
例えば大災厄イベントは、ユーザーの皆さんがロードラという世界に対しもっと想像力を膨らませられるような内容にしたいな、という話をしているときに生まれました。それが売上げにどれだけ貢献するかは二の次で……結果として盛り上がったので良かったですけど(笑)

nama
アプリの内容がただ変わるのではなく、ゲームの世界が崩壊して新しい世界が始まったからシステムが変わるという整合性をつけたいとおっしゃっていましたね。
普通は、そこにコストをかけて意味があるのかって話になりますよね。

miya
単にゲームの内容を変えてアップデートしました、こうしました、ということもできると思うんですけど、アプリ全体として、皆さんと世界を共有したかったんです。
あれは(運営型ゲームの)経験がなかったから踏み切れました。

nama
悪かった点はどのような点でしょうか。

miya
マンパワーにたより過ぎていて、一部の仕事をうまくシステム化できていなかったことですね。特にストーリーが自分1人でしか作成できなかったのが、一番大きな問題だと思っています。東の大地なども、当然ながら構想やお話自体は決まっているんですが、(宮内さん1人ですべて構想を伝え、監修しないといけないから時間がかかって)実装は叶いませんでした。
ただ、プログラマやサーバエンジニアの仕事は、社内で行う初めてのサービスとは思えないほどきちんと体系化されていて、それは今でも続いていますね。

nama
宮内さん1人だったからあの味が出せてよかった面もあるのですが、1人でなければ東の大地が完結していたかもしれない……痛しかゆしですね……。
ストーリーと言えば、ロードラが出た2012年当時って「ゲームにストーリーなんていらない」なんて話すらあったじゃないですか。
僕は「違う」って抵抗していたなかで、ストーリーが強いロードラが出てきて嬉しかったんですが、あれには明確な理由があったのでしょうか。

miya
単純に自分が好きだったからです(笑)
フレーバーを入れることはキャラクターに愛着を持ってもらうために必要だろう、と。細かいフレーバーで物語が組み上がっていくのが好きだったので、ロードラにも入れておいて損はない、と。

nama
たくさん入れた仕掛けのうち、1つが見事花開いたと。でも、そのフレーバーの最後がほぼすべて非業の死で終わるという……衝撃。

miya
殺したくてやっているわけではないんですよね……。なんと言えば良いのか、「生きていること」を表現したかった、というのはあります。
自分が書くと少しドラマチックな人生になっているかもしれないですけど。

nama
ドラマチックすぎないですか(笑)

miya
根底となる世界の仕組みや、様々な思想が存在している中でキャラクターに自分なりのリアリティを求めていると、どうしてもそうなってしまうというか(笑)

そうそう、ロードラをやって、もっと世界観を作ってみたい、という欲求は増えました。自分は物書きでは無いので、そういう欲は敢えて抑えていた所があるんですが、そのうちストーリー主体のオリジナルゲームをもう一度作ってみたいな、とは思っています。

nama
ストーリー! それはどのような形で?

miya
運営に特化したゲームを考えていますね。プレイヤー自身が物語の参加者になってもらいたい、というのが大きくて。
そういう感覚を体験出来るのって、ほぼ運営型のゲームならではのものなのかな、と。運営型のゲームはリアルタイムでSNS上でつながっている人がいて、今プレイしている瞬間を、自分だけの物語として人と共有できる。それはゲームだけの新しい体験なんじゃないかな、と。

nama
ロードラでは、期間限定の大災厄でそういった体験は成功していましたね。
大災厄のとき「ゲームが終わるんじゃないか」とか、「突然アプリのカウントダウン始まった!」とか、みんなで話していましたよね。

miya
「大災厄」はゲームの中だけで無く、現実世界で何かが起きているように錯覚させたいな、と考えていました。それがプレイヤー自身に起きている出来事、つまり物語になればな、と。そういう風に感じて頂けたというのもあって、皆さんに盛り上がって頂けた施策だったんだと思っています。

nama
マルチは、盛り上がりがかけていたようにも思うのですが、いかがだったでしょうか。

miya
マルチは出来は凄く良いと自負しているんですが、強いて言えばいつも遊べるのではなく、大規模イベントのときだけ遊べるようにしていてもよかったかなぁ、と思います。
スプラトゥーンのフェスみたいに帝国側と王都側に分かれてプレイヤーが遊ぶとか。
そこに勝敗っていう概念は無くて、あくまでリアルタイムに紡がれる物語を、どちらの側面で観測し楽しむか、というか。そういった形の方が「ロードラらしさ」は出せたかもしれません。
実装物としては、とても良いものに仕上がっていたので、いつか上記のような形で再チャレンジしたいですね(笑)

nama
確かに、そういう形だともっと楽しかったかもしれませんね。純血と神が戦うとか……盛り上がっているユーザーの顔が見えます……!

<ロードラの終わりに>
nama
さて、ロードラの始まりから主だったアップデートを振り返ってみたのですが、4年と4カ月、振り返って最後に思うことなどはあるでしょうか。

miya
正直、皆さんに励まされてずっとやってこれたというのがあります。
ロードラのユーザーの方は本当に暖かい人たちが多くて、サーバーメンテナンスが延長になっても「頑張ってください」とメッセージが届いたりとか、そういった事にすごく励まされていました。
お叱りを受けてというのは当然ですけど、温かい言葉をいただくと、更にもっと良くしていきたいというモチベーションにつながるんですよね。
ネットを介してではありますが、SNS上などで見えるところにいる方たちがエールを送ってくれていて、この人たちのためにもっと良いものを届けていきたいと思って続けてきました。
自分たちは会社に必要な利益を幸い確保できていたので、あとはこの人たちのためにやろう、と。

nama
終わりを迎えたところで、宮内さんにとってロードラという作品は、どのような存在になりましたか。

miya
今となってはおそらく、自分の人生上、一番大切な創作物になってますね。
それは、チームであったりとか、ユーザーさんとの信頼関係とか全部含めてになるんですけど。
プロデューサーと二人三脚で作れたことも大切な経験になりました。横山さんとはサービス開始までめっちゃ喧嘩してましたけど(笑)、サービス始まってからは互いに信頼出来る、凄く良い関係になれたと思っています。なので、ロードラという作品は自分にとっての、かけがえの無い「始まりの道」です。

nama
最後に一番みんなが聞きたい質問だと思うのですが、ロードラの今後はどうなるのでしょうか。

miya
今はスマートフォン用のゲームを作るにも大きな予算と期間が必要になるので、タイミングの問題として、すぐに次回作が出せるという形ではありません。
しかし、ロードラは会社にとって大切なIP(知的財産)になることができました。

nama
IPになった……ということは、ロードラは会社のブランドとして残るということですね。いつか何かあるかもしれない、と。
ゲームでなければ、設定資料集などはどうでしょうか?
会社がお金を出さなくても、クラウドファンディングなどでファンが金を集めたら出すような交渉はできますか?

miya
設定資料集などは出したいのですが、それを作るにも時間が必要で……。
先ほどの失敗談に戻るのですが、私しかできない状況が足を引っ張ってしまっています。
それらを含めて、全てタイミングの問題ですね。

nama
なるほど……ロードラの設定資料を作るだけで1人数カ月かかってしまいそうですもんね……なかなか、難しそうです。それでは、宮内さんの今後は?

miya
今後もアクワイアでゲームを作っていきます。
あと、一部で噂になっているVRはやっていないです(笑)

nama
そして、ここにプレイヤーの皆さんからロードラへの挨拶がある(アンケート結果を渡す)のですが、プレイヤーの皆さんに最後に一言お願いします。

miya
ロードラ開発、運営スタッフ一同、本当に皆さまのおかげでここまでやってくる事が出来ました。運営自体はここで一度終了とはなりますが、また何らかの形でこのロードラという道を紡いで行きたいとは思っていますので、その時はどうかまた、よろしくお願い致します。4年4ヶ月に渡るご声援、本当にありがとうございました。

nama
ありがとうございました。

<そして最後にプレゼントが>
miya
あと、ゲーキャスさんにプレゼントも用意しました。
ミニ色紙3枚に古田(※ロードラのデザイナー)が、お好きなキャラクターをお描きしますので、好きなキャラクター言ってください!

nama
ありがとうございます……ってそれ、読者プレゼントにするしかないやつじゃないですか!

緊急! 最後のプレゼント企画
Twitterでプレゼントに応募した方、3名に好きなキャラクターが描かれたミニ色紙が当たります。
応募方法は、ロードラに対する一言を添えて #ロードラプレゼント4 のハッシュタグでTweetするだけ。
当選すると4月24日にDMが届き、DMで好きなキャラクターを指定できます。
なお、DMが送れない(@gamecast_blogをフォローしていない)か、DM送付後48時間で返事がないときは他の応募者に権利が移ります。
DM送付後は@gamecast_blogのアカウントでその旨をつぶやきます。

<記事はあとちょっとだけ続くんぢゃ>
そして、記事は付録の質問編に続く…!
ロードラ最後のQ&A。ディレクターと振り返る『ロード・トゥ・ドラゴン』付録へどうぞ。
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