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壮大な廃墟アートで孤独に酔うアドベンチャー『PAVILION MOBILE』

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日本と海外で多くの賞を受賞した「四人称視点」のパズルアドベンチャー『Pavilion』が、iOSに登場した。
本作の特徴は、手で描かれた壮大な背景にある。
美しく、主人公すらその一部として違和感なく溶け込んでいる(動かなければ、気づかないだろう)様子は一見の価値がある。そして、それを見るためだけに買うゲームである。

雨の降る廃墟の中で主人公が目を覚まし、ゲームは始まる。
絵画のような世界(そして、よく見るとグロテスクな装飾に)に、一瞬にしてプレイヤーは引き込まれることだろう。
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ひとしきりアートに感心し、冷静になって周囲を見ると、このゲームには主人公を動かす十字キーもなければボタンもない。
悩んだ末に、画面上で目立っているベルをタッチしてみると轟音が鳴り響き…。
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主人公は驚き、頭を抱えてその場から逃げ出し、廃墟の奥へと進み始める。
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そのまま音から逃げ続けるが、次は暗闇の前に立ちすくむ。
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ここではライトをタッチして灯りをつけてやると、再び前に進み始めた。
このゲームは主人公を直接操作するのではなく、周囲の物体を操作して主人公の行動を制御するパズルだったのだ。
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冒頭に述べたとおり、ゲームの売りは「四人称パズル」という点である。
主人公自身の視点から見るゲームが「一人称」、登場人物の視点から他人を動かすのが「二人称」、神の視点からゲームを操作するのが「三人称」。
しかし、本作のゲームシステムは単なる三人称のパズルでしかない。もしかしたら2017年内に公開予定の第2章で示されるのかもしれないが、エンディングまでプレイしても「四人称」の意味はわからなかった。
しかし、四人称視点の意味が示されていなくても『Pavilion Mobile』は良い作品である。

小さな主人公の旅を追っていく体験は、巨大な廃墟のごく一部を連続して見続ける視点を提供する。
その仕組みにのせられ、画面に映っている大きな廃墟の一部だけを注視していると、壮大なアートの中に入ったかのような感覚を得る。それが続くと、絵の中を旅しているような気持ちになる。
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また、本作のビジュアルは常に素晴らしいが、場面によっては息をのむほどの美しい。
廃墟に没入していくつかの場面を体験すると、このゲームは忘れられないものになるだろう。実際、私は本作をプレイ中にゲーム世界に自分が立っている夢をみることになった。
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▲個人的に、最も印象に残ったシーン。この建物の下に立っている夢を見た。

なぜ、主人公が廃墟を進み続けるのか。その意味は提示されない。
しかし、ときおり女性の影が蜃気楼のように現れ、プレイヤーに想像の余地を提供する。これもまた楽しみの1つだ。
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▲男は過去の幻影を追っているのか、それとも破滅的な何かから女を救おうとしているのか。それは分からない。

Pavilion Mobileは四人称のゲームではない。だが、美しい背景を見つつ、主人公が進み続ける意味を想像するだけで十分に意味のあるアドベンチャーだ。
本作は「パズルアドベンチャー」だがパズルゲームとしては難易度が低めで、その代わりに多様なギミックを入れてプレイヤーを飽きさせずに進ませる構造になっている。
廃墟を旅して主人公と共に孤独に酔う「アドベンチャー」が主であり、パズルは従の体験となっている。
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売り文句の四人称の意味はわからなかった。しかし、孤独や廃墟などを愛するプレイヤーには、このゲームの意味は十二分にある。
一番のお勧めはPC版だ。良いスピーカーで音を大きめに鳴らし、巨大なモニターでこの世界に入り込む体験は最高である。
iPadは次に良い。ヘッドホンで音を大きめにして遊んで欲しい。
ただ、iPhoneの小さな画面では表示領域が限られてしまい、本作をフルに遊ぶことはできない。十分に値段以上の価値はあると思うが、できればiPadを借りてくるか、PCで遊ぶべきだ。

評価:7(要チェック)

課金:

なし

おすすめポイント
美しいアート
主人公の背景が気になる演出

気になるポイント
四人称パズルではない
iPhoneではフルに楽しめない

(バージョン1.0.1、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Pavilion Mobile (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / Steam)
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凄い!!iPhoneゲームアプリコレクション
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