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『Kingdom:New Lands』レビュー - 説明不足が生む神秘性の魅力。建国伝承の世界を体感する戦術ゲーム

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未開の地に王として降り立ち、悪霊と戦いながら陣地を広げる戦術ゲーム『Kingdom:New Lands』がiOSに登場した。
ドット絵にエフェクトをのせた近代的ピクセルアートだけでなく、タワーディフェンス系の戦術ゲームとしての面白さも持ち合わせており、本作はアートとゲームのバランスが取れた1作だ。
本作の欠点として説明不足からゲーム面の良さに手が届かないことが挙げられる。だが、その説明不足は大きな魅力も生み出しており、コインの裏表の関係になっている。
情報がないことで生まれる面白さもあるのだ。そこで、今回はできる限りネタバレを避けて本作の魅力を紹介する。

ゲーム開始と同時にプレイヤーは謎の森に投げ出され、目覚める。美しい自然の様子に驚きつつも、周囲を見回すと…。
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そこには妖精がいて、王を導く。ここで左右のドラッグ操作で移動できることを学ぶ。
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その先には、開けた土地と数枚のコイン、みすぼらしい姿の人々が待っていた。
妖精の導くままにコインを彼らに渡すと、黒い穴が表示される場所にコインをはめ込むと、土地はキャンプ場になる。
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キャンプ地にいる人々にコインを渡すと、みすぼらしい姿が一変して王に忠誠を誓う国民となった。
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▲画面タッチでコインを落とすと、自動で拾って国民になる。

鍛冶屋でコインを使えば弓矢が生産されて国民が弓矢を取って狩りを行うようになった。
また、コインの穴が存在する場所にコインを当てはめれば、防壁などが作られることも分かった。一通り陣地ができると、妖精は「建てて、拡げて、守るのだ。」とだけ伝えて消える。
ここまででゲームの説明がなされたように見えるが、実際には本当に不十分な情報しか伝えられていない。

ゲームの目的も、クリア条件もわからない。だから、プレイヤーは手探りでゲームを探っていくしかないし、数々の困難に直面する。
それをさして説明不足というのは理解できるが、説明不足の中でだけ味わえる楽しさもまたあり、それこそが本作を素晴らしい体験としている。

最初のプレイで、私はひたすら森を探索した。
森の様子、水に映る姿の美しさに感動しつつも駆け抜けると、不思議な石像や祠があり神秘を感じた。
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ときには誰もいないキャンプがあったり、体を洗ったこともなさそうな黒ずんだ原住民がいたりもした。
彼らにはコインを与えて、国民として迎え入れた。
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単に左右に移動するだけの操作なのに、音の使い方が巧みで、平和そうな場面ですら、効果音には何かしら不穏なものがあり、先に進むことをためらわせる。
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そして、それを乗り越えて何かを発見したとき、超自然的な存在にあらがって発見を行う冒険の楽しさを味わえた。
意味のあるもの、意味がありそうでないもの、森の中には多くの謎がある。だが、あえて細かく説明せず謎のままとしておくことが、この楽しさを生み出している。
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そして、夕暮れ。見知らぬ土地の終端にたどりついたとき、謎のポータルを発見した。
おそるおそる近づくと、中から悪霊が現れて王冠を奪い去り…。
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▲宙を舞う王冠。

「王冠がなければ王でもない。」という言葉と共に、私は王の資格を失った。
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妖精に導かれて美しい森の中に迷い込み、力を得て建国する様子はイングランドの妖精伝承のようでもあり、神秘に満ちている。
そしてまた、王冠を失うだけですべての権利がなくなる仕組み、プレイヤーに知らされない数々の謎や理不尽感も含めて、伝承の世界そのもの。
『Kingdom: The Newlands』は、単に戦術ゲームとして存在するのではなく、プレイヤーを伝承の世界に導く体験でもあった。

その上で、本作は戦術ゲームとしても楽しめるのだが…戦術ゲームとしては本当に最低限の説明しかない。
おそらく、その面白さにはガイドがなければたどり着けないことだろう。インターネットを検索すると同様の指摘があるし、この記事を見ている皆さんもプレイ前に攻略などを探して備えたくなることと思う。
だが、その気持ちを抑えて情報を見ずにプレイしてみて欲しい。すると、ファンタジックな映像と音に彩られた伝承の世界を体験できるはずだ。

数プレイしたら、攻略情報を見てもいい。このゲームは施設で悪霊の攻撃を防ぎ、昼は駆け回ってステージクリア条件を満たす戦術ゲームなのだが、クリアしていくにはゲーム内の情報だけでは厳しすぎる。
このバランスさえ取れていれば(たとえば、中盤以降は何かしらの手段で設備の機能が表示されるだけでも大きく違う)戦術ゲームとしても評価が高くなるはずなので、もったいない。

総合して見て、単にビジュアルの良い戦術ゲームが好きなプレイヤーだけでなく、伝承系の雰囲気ゲームが好きなプレイヤーにもお勧めできる貴重な作品である。
Appleがわざわざ「インディーゲームの12日間」というイベントを作り、その最初のフィーチャー作品として紹介したのも納得できる品質だ。
紹介を見て気になったら、ぜひ遊んで欲しい。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
美しいグラフィックとこだわり抜かれた音
伝承の世界に入ったかのような体験
ルールを理解すれば、戦術ゲームとして楽しい

気になるポイント
戦術ゲームとしては説明不足

課金
なし

(バージョン1.2.6、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Kingdom: New Lands (itunes 1,200円 iPhone/iPad対応 / Steam)

コメント一覧

    • 1. うあ
    • 2017年03月20日 19:53
    • 前々から注目してたけど1200円となると足踏みしちゃいますね。大した金額ではないけどアプリ価格で考えると…それに今月は傑作揃いでなかなか手が伸びない。面白さは折り紙付きなんでしょうけど
    • 2. n
    • 2017年03月21日 08:12
    • >うあさん
      気になるならぜひ買ってみてください!
      私はハマりすぎてがっつり徹夜してしまいました。
      個人的にツボだったのは、やっているうちに自分なりのテクニックを発見できることですね。
      驚くほど説明がないのですが、ちょっと工夫したらうまくいくポイントが、たくさんあるので、自分テクニック探しが捗ります。
      攻略サイトなどを見ずにやる方が楽しめるかと思います。
    • 3. あ
    • 2017年03月21日 08:13
    • 攻略を読まずにやることをお勧めします。仕掛けの意味がわかるとなるほどとなりますので^_^
    • 4. うあ
    • 2017年03月22日 02:18
    • いずれ買うつもりなのでそのときは攻略サイト無しでやってみますね
      アップデートとかされないかなーと期待してます

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