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『Strange Telephone』レビュー - それは、悪夢を旅する体験。電話番号から悪夢の世界を作り上げるゲーム

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悪夢の世界に捕らわれた少女「ジル」が、一つ目の電話「グラハム」の力で脱出をはかるゲーム『Strange Telephone』がついにリリースされた。
本作は電話番号に応じて異なる世界が生成することを特徴としており、電話をかけるたび、美しいピクセルアートで印象的な世界が描かれる。
その数は300万通り。似た世界はあっても同じ世界はない。

基本システムこそ脱出ゲームだが、印象的な世界を歩き回る楽しさが勝り、「ゲームをしていると言うより旅している」というのがプレイ後の感想だった。
異世界を旅して、気づくとゲームが終わり、旅も終わる。『Strange Telephone』はそんな体験だ。

本作の仕組みは、とてもシンプル。まず、プレイヤーは好きな組み合わせで6桁の電話番号を入力し、電話をかける。
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すると、電話番号に応じたランダムな世界にジルが転送される。
どの世界にもいくつか調べるポイントが用意されており、プレイヤーは自由にタッチして調べられる。そして、調べ終われば「電話を切る」で元の世界に戻れる。
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そしてまた適当な番号に電話をかけ、その世界を探索して、電話を切り…これを延々と繰り返すことになる。
特別なアイテムがある世界、謎の人物やイベントがある世界、なんの意味もない世界…生成される世界の数はおおよそ300万(ベースパターンは5つ程度)。
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電話番号が異なれば、同じような世界に見えてもどこかが違う。
どのような世界に行けるか、それは全くのランダム。だからプレイヤーによってこのゲームを解く道筋は異なる。
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プレイヤーによっては簡単にイベントに遭遇するし、プレイヤーによってはなかなかゲームが進まないこともある。
普通のゲームであれば、そのような仕組みは「似たことを繰り返して面白くない」欠点になのだが、Strange Telephoneにおいては、そのような繰り返しすら長所だ。
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1つの世界は1分程度で調べ終わるのでテンポ良く新しい世界を試せるので、繰り返しのストレスが少ない。
また、不可思議な世界を歩き回る作業自体が「異世界の旅」とでも言うべき体験で楽しいのだ。どの世界にも意味深なオブジェクトが配置されており、プレイヤーの好奇心を刺激する。
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▲墓…いったい、なんの?

また、同じ電話番号からは同じ世界が生成されるため、イベントに遭遇できずとも体験した世界はプレイヤーに経験として蓄積される。
そして、後でアイテムを手に入れたとき「あの世界に戻ろう!」と、一気に謎解きが進む。これもまた楽しい。
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Strange Telephoneのシステム自体は、オールドスタイルなポイントクリック型アドベンチャー…つまり、脱出ゲームそのものだ。
しかし、私にとってこのゲームは「不思議な物と出会う旅」のツールでしかなく、プレイ中に脱出ゲームとして意識することはなかった。
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おそらく、もう少し難しければ繰り返しが辛くなってきたし、テンポが悪ければ飽きていた。
しかし、Strange Telephoneはほどよく簡単なバランスとテンポの良いシステム、素晴らしいアートと世界観を融合させ、見事な「不思議な旅」を作り上げている。

完全クリアまでは、およそ2時間程度。人によって異なるとは思うが、SNSなどで必要な電話番号を手に入れれば、もっと短縮することもできるか。しかし、できることなら詰まるまでは1人で遊ぶことをお勧めしたい。
その方が、不思議な旅をもっと満喫できるからだ。

真のエンディングにたどり着けないはまりパターンがあることは気になるが、ランダム生成世界を旅するアドベンチャーという試みに成功しており、挑戦的で素晴らしいゲームに仕上がっている。
2017年にも多くの素晴らしいゲームがリリース予定だが、Strange Telephoneはその先駆けだ。プレイして、2017年のゲームライフの始まりを感じて欲しい。

評価:8(かなり面白い)

課金:
なし

おすすめポイント
素晴らしいピクセルアート
想像力を刺激する世界
ランダム生成世界を探索する試み

気になるポイント
真エンディングにたどり着けないハマりがある(告知は欲しかった)
ボリュームは少なめ

(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Strange Telephone (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)