『Strange Telephone』レビュー - それは、悪夢を旅する体験。電話番号から悪夢の世界を作り上げるゲーム
- アドベンチャー
- 2017年01月28日
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悪夢の世界に捕らわれた少女「ジル」が、一つ目の電話「グラハム」の力で脱出をはかるゲーム『Strange Telephone』がついにリリースされた。
本作は電話番号に応じて異なる世界が生成することを特徴としており、電話をかけるたび、美しいピクセルアートで印象的な世界が描かれる。
その数は300万通り。似た世界はあっても同じ世界はない。
基本システムこそ脱出ゲームだが、印象的な世界を歩き回る楽しさが勝り、「ゲームをしていると言うより旅している」というのがプレイ後の感想だった。
異世界を旅して、気づくとゲームが終わり、旅も終わる。『Strange Telephone』はそんな体験だ。
本作の仕組みは、とてもシンプル。まず、プレイヤーは好きな組み合わせで6桁の電話番号を入力し、電話をかける。

すると、電話番号に応じたランダムな世界にジルが転送される。
どの世界にもいくつか調べるポイントが用意されており、プレイヤーは自由にタッチして調べられる。そして、調べ終われば「電話を切る」で元の世界に戻れる。

そしてまた適当な番号に電話をかけ、その世界を探索して、電話を切り…これを延々と繰り返すことになる。
特別なアイテムがある世界、謎の人物やイベントがある世界、なんの意味もない世界…生成される世界の数はおおよそ300万(ベースパターンは5つ程度)。

電話番号が異なれば、同じような世界に見えてもどこかが違う。
どのような世界に行けるか、それは全くのランダム。だからプレイヤーによってこのゲームを解く道筋は異なる。

プレイヤーによっては簡単にイベントに遭遇するし、プレイヤーによってはなかなかゲームが進まないこともある。
普通のゲームであれば、そのような仕組みは「似たことを繰り返して面白くない」欠点になのだが、Strange Telephoneにおいては、そのような繰り返しすら長所だ。

1つの世界は1分程度で調べ終わるのでテンポ良く新しい世界を試せるので、繰り返しのストレスが少ない。
また、不可思議な世界を歩き回る作業自体が「異世界の旅」とでも言うべき体験で楽しいのだ。どの世界にも意味深なオブジェクトが配置されており、プレイヤーの好奇心を刺激する。

▲墓…いったい、なんの?
また、同じ電話番号からは同じ世界が生成されるため、イベントに遭遇できずとも体験した世界はプレイヤーに経験として蓄積される。
そして、後でアイテムを手に入れたとき「あの世界に戻ろう!」と、一気に謎解きが進む。これもまた楽しい。

Strange Telephoneのシステム自体は、オールドスタイルなポイントクリック型アドベンチャー…つまり、脱出ゲームそのものだ。
しかし、私にとってこのゲームは「不思議な物と出会う旅」のツールでしかなく、プレイ中に脱出ゲームとして意識することはなかった。

おそらく、もう少し難しければ繰り返しが辛くなってきたし、テンポが悪ければ飽きていた。
しかし、Strange Telephoneはほどよく簡単なバランスとテンポの良いシステム、素晴らしいアートと世界観を融合させ、見事な「不思議な旅」を作り上げている。
完全クリアまでは、およそ2時間程度。人によって異なるとは思うが、SNSなどで必要な電話番号を手に入れれば、もっと短縮することもできるか。しかし、できることなら詰まるまでは1人で遊ぶことをお勧めしたい。
その方が、不思議な旅をもっと満喫できるからだ。
真のエンディングにたどり着けないはまりパターンがあることは気になるが、ランダム生成世界を旅するアドベンチャーという試みに成功しており、挑戦的で素晴らしいゲームに仕上がっている。
2017年にも多くの素晴らしいゲームがリリース予定だが、Strange Telephoneはその先駆けだ。プレイして、2017年のゲームライフの始まりを感じて欲しい。
評価:8(かなり面白い)
課金:
なし
おすすめポイント



気になるポイント


(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
Strange Telephone (itunes 480円 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)
コメント一覧 (9)
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- 2017年01月28日 10:20
- 考えたら規則性が見つかるのかもしれませんが
実質、運任せで総当たりしていくしかない古いタイプのアドベンチャーをレトロスタイルのグラフィックで演出してみました、以上の感想が出てこないのが正直なとこです
アイテム選択や使用のUIはもっとブラッシュアップできたのでは?
面白いか面白くないかで言えば、面白くない
好きか嫌いかで言えば、好き
買って損はないし、アップデート次第では名作と呼ばれる作品になる片鱗は見えます
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- 2017年01月28日 13:26
- とりあえずクリア。
見た目と音楽を気に入ったらそれだけで買う価値あり。
異世界から脱出するという情報以外にもゲームに入り込める情報なり、世界について推測できる情報が欲しかったかも。
探索の途中にそんな要素があったら、もっと楽しめたと思います。
あとは1つ目の鍵を手に入れたデータでは、そこから真エンドには進めないというところがちょっと不親切かな。
キャラの発言だけ見ると、同じデータで進められるように読み取れるので、やり直すまで3時間ぐらいハマりました。
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- 2017年01月28日 13:28
- ▼名無しさん
おっしゃること、もっともだと思います。
ゲーム業界的には武器が○種類、カスタマイズが○種類で(大して変わらない)5億通りの組み合わせが!的な表現は多いのですが、一般向けのゲームであることを考えると注釈を入れるべきでした。
なので、その点を少し追記いたしました。
▼2さん
おっしゃるとおり、システムは単なる脱出ゲームですね。
自分としては、ランダム生成の世界を冒険することをアドベンチャーとして成り立たせたのが新しいな、と思っています。
サイトの方針として新しさを評価する方針でもあり、自分は新しい試みをした雰囲気ゲーとしてとても評価しています。
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- 2017年01月28日 15:40
- とても面白かったし、雰囲気も好きなのですが、手詰まり状態を仕様としてるのはゲームとしてどうなのかと思ってしまいました。
手詰まりになると、どこにいっても反応がないので飽きて投げ出しそうになります。
せめて、もう少し色んなイベントがあれば……。これから要素追加していくそうなので、楽しみではあります。
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- 2017年01月28日 16:54
- ▼4さん
おっしゃることはわかります。世界にはまるか、ハマらないかの雰囲気ゲーという側面も強いので…。ただ、SNSで情報をえることが推奨されているので、詰まったらそちらを見るのが良いのかなぁ、と思います。
コメント欄を見て思ったのですが、やっぱり自分は(調整しているつもりでも)ゲームに手慣れすぎていますね。
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- 2017年01月28日 17:05
- エンディング5個出したけど、使わないアイテムがあってめっちゃモヤモヤした。ゲームは好き。
あとクリア後にサウンドコレクションがもらえて嬉しい。
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- 2017年01月28日 17:35
- 好きなんだけど、嫌な面があるのは同意する。
でも、好きだから納得している。このゲームに点数をつけるのは難しそう。買って良かったとは思っています。
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- 2017年01月29日 21:43
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ゲーム経験がほとんど無い私でも、ぼぼ自力でクリア出来ました!ドットの雰囲気、おしゃれなBGM。なかなか好みです。
クリア後にアイテムが引き継がれるのでエンドの回収が簡単で良かったです。でも、ハマってしまいトゥルーエンドに辿り着けなくて攻略を見てしまいました^^;
実質は数パターン。
このような宣伝の仕方はひどい詐欺だと思います。