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『RogueMon』レビュー - 共食い、生贄、なんでもありなブラックポケモン系RPG

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なに、ポケモンが大好きで、ちょっと変わったポケモン系RPGを探しているとな。
よろしい、ならば『Rogue Mon』だ。
本作をポケモンで例えるなら、旅立ちのときにヒトカゲを選んだ瞬間、選ばれなかったゼニガメがサトシに襲いかかってきて、返り討ちにしたヒトカゲは死体をむさぼり食ってパワーアップする感じのポケモン系ゲーム。
ただし、単に色物で終わらず、ゲーム自体も楽しい作り込まれた奇ゲーである。

RogueMonを始めると、目の前にはローグモンがずらりと並ぶ。ポケモン系RPGのお約束通り、この中から1体を選んで旅のパートナーにできるわけだが…皆、頭がクラクラするほど個性的である。
夢の国から出てきたような金にがめついローグモンだっているし…。
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▲水属性?いいえ、お金属性のダックです。

薬物研究の結果生まれた悲しいローグモンだっている。
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▲ジャンキー属性の牛。

どれも選びたくな…悩ましい選択だが、今回はこの「Buck Suck Duck」と旅に出る!
他のローグモンよ、許してくれ…と、決定ボタンを押した瞬間。
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選ばれなかったモンスターが、プレイヤーに襲いかかってくるッ!
「なぜ、ヤツを選んだッ!」
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▲許されなかった。

だが、しょせんは選ばれなかったモンスター。戦っても一瞬で倒せる。
これで真の意味で冒険が始まるが…我々はバトル後にローグモンの世界の常識を知ることになる。
このゲームでは、弱ったローグモンに「Trap(ワナ)」を仕掛けて捕まえられる。
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▲連打すると、捕獲率が上がるぞ!

で、ローグモンは捕まえた後で仲間にできるのはお約束だが、仲間にするの横になぜか「Eat」という選択肢がある。
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このコマンドを選択すると画面が暗くなって巨大な口が登場し…。
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あ、本当に食べた。
食べられたローグモンは消え、食べた側は大幅に成長する。なんてこった。
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だが、こうしたローグモンの生態ですら、奇抜なゲームの入り口でしかない。本作は、一本道を進みつつランダムイベントをこなすローグライク風のバトルRPGとなっている。
道中は「ローグ」というだけあってランダムな…というか、洋ゲー的な「犯罪の自由」つきのイベントが盛りだくさん。
ショップがあれば、買い物するのも店主を倒してアイテムを奪うのも自由。
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目の前にサークルがあると、「生け贄を捧げると何か起きるよ!」という文字。
ここで「こいつを生け贄にする」を選択すると、「殺されるなら、お前を殺してやるッ!」と、直前まで仲間だったローグモンとバトルが始まる。
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倒せばそのまま生け贄の儀式が成功し、異世界への通路が開く。
寝てるローグモンがいれば「盗む」か「去る」か選択できるし、幽霊がいれば「他のローグモンを生け贄にすれば復活して助けてやるぜ!」というイベントになる。ひどい。
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▲イベント用に生け贄向けの弱いローグモンを連れておくと良いことがあるかも

このように、個性的すぎるローグモンと共に、正気を疑うようなイベントをこなすのが『RogueMon』というゲームである。
だが、困ったことにこのゲームは面白くもある。
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▲このネズミはなんでシルエットなのかな?

バトルシステムを見ると、行動順が来るたびにローグモンの技を選んで戦うターン制のコマンドバトルを採用している。
ただし、単にコマンドを選ぶだけではない。技を選ぶとアニメーションが入り、しばらくすると「Touch!」とアイコンが表示される。このときに画面をタッチすると敵に攻撃が炸裂する。
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逆に、敵の攻撃を受けたときは、アニメーション中にタイミング良くタッチして避ける。これが適度に難しく、コマンドバトルの単調さを解消するスパイスとなっている。
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▲ゲームが進むと「Touch!」の表示がなくなり、だんだんアニメーション速度が上がっていく。

ローグモンではスピードが速いほど行動回数が増えるシステムを導入しており、早いローグモンを使えば敵が1回行動する間に3回行動することも可能だ。
ただし、ローグモンの技には「Wait Turn(待ち時間)」が設定されており、1回使用した技はしばらく使用できない。適当に技を使うと全ての技が待ち時間中になり、行動順がきても何もできない。技使用にもタイミングが要求されるわけだ。
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ローグモンの育成も面白い。
レベルが上がると能力を伸ばすか技をカスタムするか選択でき、育成の方向が多様なのだ。
スピードを上げまくってWait Turnが短い技を連打するとか、技をひたすらカスタムして一撃必殺を狙うとか、体力吸収の技ばかりで押すとか、プレイヤーの好みの数だけ成長方法がある。
また、そもそもローグモンの技がユニークで、成長させるだけで楽しい。前出の「Buck Suck Duck」なら相手に税金を課して毎ターン体力を奪うなど、元ネタの「何か」を連想させる技を覚えていくのだ。

リソース管理も重要で、大きくHPを回復する方法はランダムイベントで宿屋に泊まるか、貴重なポーションを使うか、レベルアップするかしかない。
「Eat」のシステムは奇抜に見えるが、HP回復方法が限られる中で適切なタイミングで食べ(バトル中だろうが捕まえれば食べられる)、ローグモンを回復させる戦術的な手段として機能している。

いわゆる奇ゲーのたぐいは、話題になる設定だけで終わることも多く、ゲーム自体はいまいち、ということが多い。
だが、奇妙な見た目と猟奇的なシステムを持つ本作は、そのインパクトに頼り切りではなく、ゲーム部分もバトル&育成のRPGとして作り込まれている。
ランダム要素の中で育成するゲームが好きなら、ぜひ遊んで欲しい1作だ。

評価:7(要チェック)

おすすめポイント
タイミングアクションを含むバトルシステム
個性豊かなローグモン
奇抜なイベントや設定

気になるポイント
下品でござる

課金
なし

(バージョン1.0.1、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
RogueMON (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応 / GooglePlay)