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スマホ有料ゲームは死んだのか? 海外のインディー開発者9人が意見を述べる

Pocket Gamerにて「有料ゲームは死んだのか?」という衝撃的な……そして、日本では5年前に見たタイトルの記事が掲載され、それに対してインディーゲーム開発者9人が回答している。
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▲タイトル画像は、日本のやれてる有料ゲーム代表として『Ace of Seafood』さん

日本では少なくなりすぎた有料ゲームだが、海外ではまだ良作がかなり出る。この回答は、有料ゲームファンには気になるところではないだろうか。
『Smashhit』や『Wayward Soul』など、有名ゲームの開発者も回答しているので、粗く日本語にしてみた。全文を見たい方は、元記事をどうぞ。
Are paid apps dead or is there still life in premium for indies? | Pocket Gamer.biz | PGbiz

Aaron Fothergill(Co-founder Strange Flavour)
主な作品:SlotZ Racer 2など
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正直に言えば、よくわからない。
我々は、有料ゲームとF2Pゲーム両方の歴史を知っているが、今の市場には大量の要因がある。
たとえば、スタートアップ企業が売り上げ235位(※記事が出た時点のApp Storeの有料ゲームTOPは売上235位)なら天にも昇る気持ちだろう。我々のような2人のチームなら、人生を変えるほどの価値がある。
我々は、F2P全盛の前に有料ゲームで売上トップ10に入ったが、そのときは人生を変えるほどの売り上げにならなかった。

ただ、現在は売上トップ10,000位に入ることだって難しい。客に見つけてもらうことが一番の課題だ。
いったんF2Pに移行して、F2Pで収益をあげられずに有料ゲームに戻ったが、来年はF2Pをまた試す予定だ。


Kepa AuwaeBusiness / Design
RocketCat Games)
主な作品:
Super QuickhookWayward Soulsなど
wayward11私は有料ゲームにはもう価値がないと聞いてきました。
しかし、私の$7.00の『
Wayward Souls』はロングテールで売れ、とてもうまくいっているようです。
私は最近新作を出していないので、iOS版の『Death Road to Canada』で答えがわかるでしょう。

Pavel Ahafonau(Co-founder Happymagenta)
主な作品:Tomb of the Maskなどのカジュアルゲーム
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App Storeでアプリを見たあと、無料ゲームは約2%、有料ゲームは約0.2%がダウンロードします。
これは同じプロモーションを行って同じだけトラフィックを確保しても、無料ゲームは有料の10倍以上のプレイヤーを確保できる事を意味します。
広告しておらず、持続型でない無料ゲームは最低$0.20のARPU(1人当たりの平均売り上げ)、時速型で30~180日広告を行ったゲームは$0.40~$0.50のARPUが得られます。

有料ゲームが同じようにお金を稼ぐためには、$6~$10で設定しなければなりません。そして、App Storeでフィーチャーされる幸運を得るか、良いパブリッシャーと良い契約を結ばなければリリースは失敗し、広告費をまかなえません。
ですが、適切なアプローチと考え抜かれたマネタイズによって、無料ゲームは$6~$10の有料ゲームを超える収益を得られます(ただし、イニシャルに数百万ドルの広告費が必要ですが)。


Leanne Bayley(Developer)
主な作品:グリフクエストなど
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Glyph Questについて言うならば、有料ゲームは死んだと言えるでしょう。レベル5まで無料で遊べるフルゲームアンロック方式を採用しましたが、死んだのです。
Glyph Questは25万DL以上を記録しましたが、平均コンバージョンは14%でした。
プレイヤーは、無料ゲーム+課金であるだけで、★1のレビューを書きました。
その後にリリースしたSuper Glyph Questは、8000ダウンロードですが、我々のiOSゲームでは最高の売上げを誇るRPGです。

(続編の)Glyph Quest ChroniclesはF2Pになるでしょう。少数の人々が有料ゲームにしろと言っていますが、我々は市場が求めていたときにそれを試しています。そして、それが私たちの終わりでした。


Pierre-Luc Vettier(CEO Zero Games Studios)
主な作品:Extreme Gear: Demolition Arenaなど
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私は本当に有料ゲーム市場があると思うし、一部のプレーヤーは有料ゲームにお金を支払おうとしている。
問題は多くの開発者にあります。無料ゲームと競争できるように、安価に有料アプリを販売しなければならないと思って、ゲームを収益性のあるものにできないのです。

私はそれが大きな間違いだと思っています。ゲームの出来が本当に良く、ファンが少なく、お金は支払える。ならば、600円、いやそれ以上に設定するべきでしょう。
それは単なる戦略の問題です。


Ben Murch(Creative Director Rodeo Games)
主な作品:Perchang - パズルボール (itunes 240円 iPhone/iPad対応)
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有料ゲーム市場は確かに死んでいない。お金を払う何百万人ものプレイヤーがいて、実際に彼らは支払っています。
私が最近友達とリリースした『Perchang』は、240円の価格で売れまくり、次のタイトルの費用もまかなってしまいました(さらに、追加の人員も一緒に)。
我々は、ゲーム開発の前にゲームのアイデアだけでなく、観衆を念頭にも置いていました。これは、多くの開発者が考慮しないものです。
ゲームのアイデアは、方程式の半分に過ぎず、誰がプレイするかも考える必要があります。プレイヤーが製品に望むことを知れば、確実にお金を払ってもらえるでしょう。


Matthew Annal(MD Nitrome)
主な作品:Beneath The LighthouseIcebreaker: A Viking Voyageなど
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「有料ゲームは死んだのか?」という質問は、「開発者は有料ゲーム市場で稼げるのか?」という質問です。
この問いに、心を引き裂かれる思いです。
私は、『Monument Valley』や『Wayward Souls』、『Perchang』のような例を引用して「有料ゲームは死んでいない」と言いたいのですが、Nitromeは有料ゲームをずっと出していないのでそれは偽りに感じます。
ゲームを作るときに、フリーミアムの枷を考える必要がないのはとても魅力的です。それが実行できるのであれば、私たちはまだそうしていると思うのですが、市場のリスクが大きすぎると思っています。
できる人はできるでしょうが、謙虚に言わせていただけば、それは大きなリスクを伴い、無料ゲームでリターンが大きく見えるときには価値がありません。


Sebastian Lindén(CEO&クリエイティブディレクターQaos Games)
主な作品:超カジュアル系ゲーム
死んではいませんが、数年前よりは元気がありません。
優れた有料ゲームの会社は、広告や収益モデルを開発し、F2Pに移行しました。

それでも、私はそれがマネタイズ戦略の問題だと思います。
ニッチなグループ(たとえば、親がゲー宇する5~8歳の子供)に強いブランドとプレミアムコンテンツを提供している場合、広告や課金は選択肢ではありません。そして、有料ゲームというのが良いアイデアです。Toca Boca(知育ゲームTocaシリーズの会社)のように。
しかしながら、カジュアルゲームや収益化戦略を考えるならば、有料ゲームより無料ゲームをえらぶでしょう。リスクを低くして、収益を上げるためです。

Henrik Johansson(Mediocreアーティスト)
主な作品:SmashhitPinoutなど
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有料ゲーム市場はまだあるが、全てのタイプのゲームに合うわけではありません。
リッチなストーリー主導のゲーム、もしくは少なくとも素晴らしい環境と高品質のビジュアルをもつゲームには最適だと思います。
私たちは有料ゲームを作り続けていると思っていますが、(無料で遊べて)広告を表示せず、消耗品もなく、1回の課金で全て遊べるのでより間口が広くなっています。しかし、この方法は全てのタイプのゲームに使えるわけではありません。
私たちは、1度課金すればチェックポイント(もしくはゲームのセーブ)を使い放題にする方式をとっていますが、我々にとってはとても上手くいっています。
有料ゲームに関しては楽観的です。私は、有料ゲームを臨んでいる人が多くいると思うし、過去のプロモーションを考えればAppleもそれを臨んでいると思います。
私は、過去2年間で有料ゲームの価格がわずかに上がったのは素晴らしいことだと思います。「底辺へのレース」を続けた全ての開発者は、F2Pに移行してしまったのだから。
(※近年、海外では有料ゲームは高くても売れることがわかり、価格が全体に上昇した →ローグライク『Sproggiwood』、$9.99の高額アプリにもかかわらずスマホ版の販売速度がPC版を上回る

以上。
日本よりもまだ生きていると言われる海外の有料市場だが、パズドラ出現前夜、5年前の日本のように揺れているようだ。
これらの意見を見て、皆さんはどのように思っただろうか。

ちなみに、ゲームキャストの意見としては「死にかけているが、インディーなら行ける。みんな、ちょっとでも良さそうなものがあれば、金を出して買え」だ。
え、死んでいるか生きているかじゃない?まあ、それについてはまた今度別の記事で。