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【TGS2016 インディー】暗闇のなか、少女は憑かれたように踊る。魂のアート『ヨルの採掘鉱』

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日本最大のゲームイベント、TOKYO GAME SHOW 2016。
今回、自分はそこに行けて本当に良かったと思っている。なぜなら、「これが完成するまで死ねないな」と思えるゲームに出会えたからである。
そのゲームの名は、『ヨルの採掘鉱』。小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された同名の童話小説を、作者のざとさんがゲーム化したものだ。

このゲームは、少女「ヨル」が暗い道を進むアドベンチャーである。
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ヨルにできることは歩くこと、踊ることだけ。
暗闇の中でヨルが踊ると、周囲に光の粒子が集まり、道が見える。そして、プレイヤーは、その道に従って歩いて行く。
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▲わかりづらいが、踊っている

現時点で、それだけのゲームではある。また、おそらくそれ以上のゲームにはならず、ヨルの歩き、踊る姿を見てプレイヤーがストーリーを感じるゲームになるのであろう。
だが、まだ未完成の状態でも、「何か」に向かって歩き、憑かれたように踊るヨルの姿は胸に刺さるものがあった。同時に、抽象的で、非現実的な空間には狂気すら感じられた。
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会場に飾られていたアートワークも印象的で。
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それを忠実に再現した3Dアートも、2Dと3Dの狭間にあるような不思議な空気を醸し出していた。
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そんな空間を彷徨い歩く体験は、間違いなく「非日常」の塊。
個人の嗜好として、私がゲームのアートワーク、世界観に惹かれたのは間違いないが、このゲームを触れば私でなくとも多くの方が何かを感じると思う。
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現在、ゲームは開発中であり、まだまだリリースの予定も立っていない。
アートも、ストーリーも、プログラムもざとさん1人で行っているので、完成にこぎ着けないかもしれない。
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が、1人で作るからできる「一貫性」と、それに伴う「魂」が込められており、それが強烈な味になっていた。
ヨルの採掘鉱に込められた魂は、きっと一部のプレイヤーの心を捕らえて放さないだろう。
そして、その1人であった自分は、このゲームがリリースするまで死ねないな、と思えた。

今回、TGS出展の告知がなされていなかったため、このゲームを体験した方はほぼ居ないはずだ。
だが、他のイベントで『ヨルの採掘鉱』が展示されることがあれば、ぜひ体験してみて欲しい。

関連リンク:
ヨルの採掘鉱〜midlow jewel mine(小説家になろう)