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中毒性も面白さも進化。アーケードの興奮が蘇る『サイヴァリア・リアセンブル』レビュー

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敵の弾幕に飛び込み「危険を冒すほどにリターンが増える」ことが中毒性を生んだシューティング『サイヴァリア』。
その最新作『サイヴァリア・リアセンブル』が、iOSにやってきた。
スマホゲー、基本無料なのでで不安を感じている諸君も安心して良い。本作は、間違いなくあの『サイヴァリア』である。
そして、プレイに関しては、初心者を切り捨ててマニアである原作ファンを向いている。原作ファンのための作品でもある。さあ、プレイせよ。

さて、本作を紹介をする前に、原作である『サイヴァリア』について少し語ろう。
サイヴァリアは、2000年に発売されたアーケード向けの縦スクロールシューティングゲームだ。
最大の特徴は、敵弾、敵キャラクターに自機をかすらせると経験値が貯まる「BUZZ(バズ)」システム。経験値が一定に達するとレベルアップし、自機が短時間無敵になる。
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▲画像はリアセンブルのもの。弾に近づくとBUZZが発生する。

そして、ここがからが重要なのだが、無敵中もBUZZの判定は残る。
無敵になったプレイヤーは、その瞬間に弾幕の中心部に突っ込み、一気にBUZZって経験値とスコアを稼ぎ、またレベルアップする。
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▲無敵中は弾に触れても大丈夫。でもBUZZる。

「BUZZ→レベルアップ→無敵中に弾幕に特攻→レベルアップ」と、無敵時間の許す限り連鎖的にスコアを稼げる。
無敵時間の見切りを間違えば一瞬でゲームオーバー。しかし、正確に見切れば、スコアが一気に上昇する。
その爽快感に魅せられたプレイヤーたちが、幾度となく特攻して倒れていった。
アーケードゲームは、上達するほどに1プレイが長くなり、100円(1プレイ)で遊べる時間が長くなる。しかし、サイヴァリアのプレイヤーは上達するほどにギリギリのプレイをするため、見切りを誤ってすぐにゲーム終了になる。
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テーブルに山と積まれたコインが一瞬でなくなる様子を見て、「あれはギリギリに挑戦する病気だな」と、ゲームセンターの店長と話したものである。
そんなサイヴァリアの面白さを、スマホで、かつ基本無料で再現できるのか。
正直不安だったが、『サイヴァリア・リアセンブル』は、スマホゲームであり、サイヴァリアであることを見事両立した。

まず、本作は短いステージの中でスコアアを競うゲームに生まれ変わった。同時にスタミナ制を採用し、基本無料化している。
スタミナ制は賛否あるとは思うが、ゲームとしては短く楽しめるスマホ的なものになっている。
だが、それはゲームの単純化を意味しない。サイヴァリア・リアセンブルは、より密度の濃いゲームに進化しているのだ。

まず、移動に指に合わせて自機が移動する相対タッチを採用したため、移動速度が上がった。
これが良い方向に作用していて、無敵時間中に超高速で画面を移動し、旧作以上に派手なBUZZが可能。BUZZの爽快感大幅アップである。
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それだけでも楽しいのに、独自の新システム「リアセンブル」。これがヤバい。
まず、本作ではダブルタッチしてから移動すると「ローリング」状態になり、弾を撃たずに移動できる。
本作では、敵を倒したところでせいぜいスコア10,000点。ところが、BUZZ1回でスコア1,000点なので、敵を倒すより弾を撃たせた方が稼ぎがはかどる。
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そして、ローリング状態になった直後に敵に体当たりすると、巨大な爆発が起こり……爆発に向かって画面中の弾が引き寄せられるのだ!
画面に大量に弾があるときに使えば、数え切れないほどのBUZZが発生し、スコアが飛躍的に伸びる。
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ただし、リアセンブルを行うと残機が1機減る。ステージ開始時には2機の残機があるので、1ゲームに1回しかリアセンブルは使用できない。
もちろん、残機がないときに使用すれば、即ゲーム終了。
タイミングをミスしても、スコアが伸びないのに残機が減るだけ。
もとよりギリギリの特攻をするゲームではあるが、リアセンブルでそのスリルをさらに加速している。

ゲームモードは、普通に遊ぶ「通常モード」と、ライバルプレイヤーとマッチングされてスコアを競う「ランクマッチ」の2つ。
ランクマッチでは、ステージ終了後にライバルとのスコアを比較し、勝利するとRPが上昇し、より先のステージに進める仕組みだ。
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もし、なかなかスコアが上がらなくても心配いらない。
ライバルのプレイを見られる「リプレイモード」もあるので、少しずつハイスコアを目指して勉強していくこともできる。
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短いステージの中で、必至にBUZZり、リアセンブルで一挙高スコアをめざすプレイは、非常に濃い。
何度もプレイして、恐ろしい勢いでゲームオーバーになって、どんどんスコアを上げる。ものすごく中毒性が高い見事なゲームに仕上がっている。
これについては、間違いない。

しかし、作りの粗い部分、基本無料化したがゆえの難点もまた多い。
プレイ部分では、エフェクトが派手で自機の無敵時間終了(バリアが消える)タイミングがわからなくなったり、爆発で敵弾が見えないことがある。
また、指の置き場がないので画面下から出てくる敵が見えず、ミスしてしまうこともある。
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▲爆発と敵弾の色が同じ。画面縮小設定も欲しい。

また、機体にレベルが存在していて、この機体のレベルを上げないと(上げること自体は簡単)敵が堅くて面白みが減っている。
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▲スコアを稼ぐ過程で機体レベルMAXは必須(無敵時間などが延びる)なので、そもそも機体レベル自体いらなかったかも

さらに、自機を強化に比例して消費スタミナが増えてしまう。最大で1プレイ30もスタミナが消費されるのに、スタミナの回復速度は12分で1点。つまり、最高の状態でプレイするなら6時間に1プレイである。
ギリギリのプレイを要求され、何度もリトライが必要なゲーム性の中でこの縛りはきつい。
スタミナのMAX値が一定期間増える課金があり、これを購入すれば有料アイテムでのスタミナ回復効率が良くなるのだが……スタミナ3倍を30日で4,800円。そこでさらに課金するのは正直、高く思える。
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▲スタミナ回復速度を上げるか、通常ステージでスタミナを消費しないぐらいの配慮は欲しい

ゲームの難易度としても、クリアが難しく、ハイスコアを出すのはさらに難しい初心者置き去りの難易度。
それはそれで正しいのだが、ランクアップしないと先のステージに進めないので、下手なプレイヤーは続けるモチベーションを保てないだろう。
チュートリアルが説明不足で、せっかくのリアセンブルシステムはわかりづらい。
原作ファンが満足できる難易度やシステムになっているが、基本無料で広くなった間口は自らつぶしてしまっている。
これらの欠点の解消と、課金の検討は今後大きな課題となるのは間違いない。

しかし、現時点でもプレイの面白さは十分以上。ゲームセンターでサイヴァリアが出たときのような興奮が、また味わえることだろう。
(まさか、コイン=スタミナの溶けっぷりまで同じとは思わなかったが)
誰にでも勧めることはできないが、シューティングが好きなら試すべき1作である。

評価:6(面白い)

おすすめポイント
リプレイモードで勉強できる
BUZZの気持ちよさ
中毒性の高いプレイ

気になるポイント
初心者置き去りの説明不足と難易度
プレイ部分で荒さが残る
スタミナが厳しい

課金
サントラ、スタミナ回復、スタミナ上限アップなど(結構高い)

(バージョン1.0 ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
サイヴァリア・リアセンブル (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応)

動画: