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『ドラゴンクエスト』が出た頃の小学生の話。ドラクエ30周年を記念して

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ドラクエ30周年、おめでとうございます。
少し遅くなってしまったが、この節目に小学生だった自分とドラクエの出会い、その周囲でドラクエが広がっていった様子を記事にしておきたい。
当時の空気感を、この記事から少しでも感じてもらえれば幸いだ。

『ドラゴンクエスト』に出会ったのは、小学1年生のときだった。
友達の家に遊びに行ったとき、お兄さんがドラクエを遊んでいて、一目見て「面白そう!」と思ってしまった。

お兄さんによると、ドラクエは1日遊んでも終わらないほど長く壮大な冒険が楽しめるゲームだという。
すごい。すごすぎる。
それまで遊んでいたゲーム、『チャレンジャー』や『マッピー』、『ボスコニアン』などは短時間で終わる(子供の腕では)し、長く遊んでもループ構造に入るだけ。
1日遊んでも終わらず、長時間の冒険の末にボスを倒すドラクエは夢のゲームだった。
(実は、ハイドライドスペシャルというゲームが自宅にあったが、アルファベットだらけの画面で理解不能だった)

ちょうど、ナルニア物語シリーズを読み終えて「異世界に行って戦ってみたい!」というテンションになっていたこともあり、やりたくてしかたない。
だが、小学生にはファミコンカセットは高い。では、どうするのか。

翌日、登校した自分はドラクエを持っていないかクラスメイトに聞きまくった。
小学生は、新しいゲームが欲しくても自分で買えない。せいぜい、誕生日とかクリスマスにもらえるかどうか。
だから、教室でファミコンカセットを貸し借りしていろんなゲームを遊ぶルールがあった。
買えないなら、借りれば良いのだ。

しかし、クラスメイトは、ドラクエを持っていないどころか存在すらほぼ知らなかった。T君1人しか持っていなかったのだ。
そのT君も「まだ飽きてないから(当時のゲームはクリアの概念があるものが少なく、飽きたときがやめるときだった)」という理由で貸してくれなかった。
交換レートを引き上げてもだめだった(面白いゲームを借りるときは、1本に対して2本のファミコンカセットを貸さなければいけなかった)。

こうなったらもう仕方ない。
家に帰った自分は、父に「貯金していたお年玉を全部使って!」とお願いし、次の日の夜にはドラクエが家にやってきた。
あとはもう、ハマるだけである。

1日目はギラを覚え、ドラキーを倒して興奮した。
2日目には洞窟が暗すぎて泣いて帰り、3日目には「どうのつるぎ」の強さに感動していた(はずだ)。
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学校に行ってはT君とドラクエ話で盛り上がり、クラスメイトに「貸して!」と言われるたびに「すっごく長いからまだ貸せない」と得意げに語っていた。
1ヶ月後には、クラスでファミコンを持っている男子の半数ぐらいは、ドラクエを親にねだって買ってもらっていたように覚えている。

自分はと言えば、竜王の城後略の日。幼稚園の同窓会があったが、竜王と戦っていたらすっかり忘れて行きそびれた。
小学校1年生にして、立派なゲーム廃人の誕生である。
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そういえば、当時はゲーム自体が大人に知られてなかったこともあり、図工の時間にドラクエのモンスターを描いて怒られたり、作文で将来の夢に「エニクスの社員になってドラクエ10を作ります!」と書いたらサッカー選手に直させられたりもした。
真面目に言っていたのに、先生に「変な子」扱いされて不満だった。しかし、今思えば先生の反応が正常だろうな、とも思う。

さらに時は流れてドラクエ2の情報が解禁されると、ぼくらは週刊少年ジャンプを読むようになった。
袋とじの「ファミコン神拳」に情報が掲載されていることがわかったからだ。
(ちなみに、ドラゴンボールの漫画がジャンプに連載されていることをこのとき初めて知った。漫画は単行本で読むものと思っていた)

1987年にドラクエ2が発売されたとき、ドラクエを持っていた男子はみなドラクエ2を買っていた。
その後、サマルトリアの王子探しで盛り上がっているのを見て、ドラクエ2を見送った他の男子も次々に買い始めた。
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ドラクエ3が出たとき、クラスの男子はほぼ全員ドラクエ3を買おうとした。
もう、誰もドラクエを知らないヤツはいなかった。いや、抱き合わせ販売や、ドラクエカツアゲが登場し、社会問題になるほどの人気となっていた。

他の小学生が、どんな経緯を経てドラクエに出会ったのかはわからないし、人気度もわからない。
しかし、自分のいた下町の小学校では、こんな風にドラクエの知名度は上がっていったように記憶している。

過去のゲームを語るとき、その「時代」と切り離せない。
今、プレイして凡作と感じられるゲームでも、当時の時代性とか、社会的な期待度とか、いろいろな要因で「名作」と評されていたり、逆だったりもする。
なので、そういった時代を感じる資料になればと思い、ドラクエ30周年を記念してこの記事を書いてみた。
もう30年も前の話だが、小学校の仲間に連絡を取って書いたので内容にあまり間違いはないと思う。これを見て、ドラクエが出た当時の子供の気持ちを、少しでも感じてもらえれば幸いだ。

なお、今回の画像はスマホ版のドラクエからとっている。スマホ版のドラクエは、ポータルアプリからダウンロードできるので、遊んでみたい方は30周年の機会にどうぞ。

アプリリンク:
ドラゴンクエストポータルアプリ (itunes iPhone/iPad対応/Google Play)