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Apple、パレスチナ紛争を扱ったゲームを「政治的」と却下。しかし、同じ問題を扱ったゲームが発見され、炎上中

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パレスチナ問題をパレスチナ側の視点で描いたゲーム、『Liyla and The Shadows of War』について、「政治的でありゲームカテゴリには登録できない」と却下して話題を呼んでいる。
Appleによれば、「ニュースか、辞書/辞典/その他」のカテゴリに変更するべきものだそうだ。

「なるほど、ならばカテゴリを変更すれば出せるのか」

と、それで終わっても良さそうな話が大きな炎上に向かおうとしている。

2016年5月18日、『Liyla and The Shadows of War』の作者はこの問題を報告し、翌日19日にTouch Arcadeなど多くの海外メディアで話題になった。


最初の段階では、この判断について賛否両論だった。
というのも、本作の内容や作られた意図は、政治的なものであったからだ。
本作は、紛争地帯で生きる少女をテーマとしたアクションアドベンチャーだが、プレイ時間はたった5分。それに対して、エンディングでは数分間パレスチナ紛争の被害についてデータを交えて文字で訴え続ける。

プレスリリースには、「私は2人の子供の父であり、私は子供たちなしの人生なと考えられない。しかし、パレスチナでは誰もが安全ではない」とあり、明らかに政治的な意図も滲ませていた。
あまり知られていないが、Appleの審査は公式ページにも及ぶ。これをもって「ゲームと言うよりも、政治的な意図のアプリ」と思われたことを擁護する動きもあった。
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Appleは、過去には社会主義国家の検問をモチーフにした『Papers,Please』を「性的である」と却下して後に撤回したし、戦火に取り残された人々を描いた『This War of Mine』も交渉の末にリリースされた。
今回は完全に却下されたわけではない(別カテゴリにできるのだから)し、この問題も一時の話題で終わるかと思われた。
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しかし、5月19日。『Liyla and The Shadows of War』却下後に、パレスチナ問題をイスラエル側の視点で扱うゲーム『Israeli Heroes』が発見され、一気に問題は燃え上がる。


正直な感想を言えば、『israeli Heroes』はイスラエル向けの量産系ゲームであり、政治的な意図があるとは思えない。
しかし今、『Israeli Heroes』のレビュー欄には、この問題に怒る人々によるレビューが投稿され始めている。
「私の娘は5歳で、中東地区の宗教的な政治問題について理解できない。だが、ありがたいことにこのゲームがあった(中略)私の娘は、ガザ地区および周辺を爆撃することの正義を理解してくれたよ(後略)」
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Appleには同情すべき点もあるが、この問題はAppleの審査ポリシー問題から政治問題となり、大きく取り上げられようとしている。
海外では、明日、より大きなニュースサイトにも取り上げられるようになるだろう。

関連リンク:
Liyla and The Shadows of War (Google Play 無料)
This War of Mine (itunes 1,800円 iPad/iPhoner対応)
Papers, Please (itunes 960円 iPad専用)