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ゲームはアリ。スパロボとしては寂しい。『スーパーロボット大戦X-Ω』レビュー

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1997年、セガとバンダイが合併し「セガバンダイ」になることが発表された。
いろいろと業界を騒がせたあげく、その構想は白紙になったのだが、当時は「セガの技術力でスパロボつくったら最高!」など、多くのゲームファンたちが妄想していた(当時、セガの技術力は業界最高峰とされていた)。

それから時は流れて2015年。
なんと、18年の時を超えてセガとバンダイナムコが手を組み、『スーパーロボット大戦X-Ω(クロスオメガ)』がリリースされた。

ゲーム内容はターン制の戦術ゲームではなく、セガのヒット作『チェインクロニクル』のシステムを元にしたリアルタイム戦術ゲームとなっている。
言うなれば、スパロボとチェインクロニクルのコラボ作品。

まず、ストーリーはしっかりスパロボ。
今作の参戦作品は、現在31作品(詳細は公式サイトへ)で、『ガンダムOO』を中心に組み立てられており、オリジナルロボを主人公に、ガンダムOOの組織であるソレスタルビーイングに相乗りする形で進んでいく。
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▲序盤は平成作品を中心にゲームが進むので、昭和ロボット派のプレイヤーはしばらく我慢だ。

毎回バトル前後に短いストーリーが展開され、多様な作品のキャラクターがさまざまな思惑の元で合流していく「いつものスパロボシナリオ」。
原作を知らないと説明不足に感じる部分もあるが、それも含めていつもの味。
もともと、バトルと短いストーリーを交互に繰り返すゲームだったので、スマホになってもこの展開に違和感を感じない。

また、今作ではユニットをレベルアップさせると、専用の「ユニットシナリオ」が解放され、原作のシチュエーションを再現してくれるのが嬉しい。
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▲ユニットシナリオをクリアすると、必殺技などを覚えることも。

バトルが始まると、画面右側の4ラインのフィールドにプレイヤーのユニット4体とフレンドのユニット1体、合計5体が配置される。
このユニットを使って画面左から侵攻してくる敵を迎え撃ち、敵をすべて倒すか、画面左端の敵戦艦を撃破すれば勝利だ。
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各ユニットに3つのタイプがあり、防御型は攻撃に弱く、攻撃型は射撃で行動がキャンセルされ、防御型は射撃を受けても無視して行動できる3すくみの強弱関係がある。
これらの要素を考慮してユニットを移動させ、ときに陣形を変え、ときには敵陣に向かって侵攻して戦う。
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また、各ユニットはバトル中1回「精神コマンド」を使えるほか、画面下に蓄積するエネルギーを使って「必殺技」必殺技を使うこともできる。
序盤こそ何も操作せずに「オートバトル機能・倍速バトル設定」で遊べるが、後半になるとこれらの使用タイミング次第で戦局は大きく変わり、プレイヤーの腕が重要なゲームバランスだ。
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『チェインクロニクル』との大きな違いは、画面右の戦艦の存在。
バトル開始時に艦長のスキルが発動してユニットの能力が向上するだけでなく、バトル中にユニットを戦艦まで移動させるとユニットが格納され、時間と共にHPが回復する回復所としての機能も持っている。
色々と役立つが、これを破壊されると敗北となる。
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全体的に見るとどうかというと……まあ、普通。
システム的には進化版の『チェインクロニクル』だが、4ラインで巨大キャラクターを操作していると、多くのユニットが重なって細かく操作できない。
ゲームシステムは複雑なのに、iPhone 6s Plus程度の画面サイズがないと操作は大味になってしい、良くなった分マイナス面もあって差し引き普通。
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▲画面右のアイコンをスライドすると各ユニットのコマンドウィンドウを切り替えられるが、それでも使いづらい。

元がチェンクロなので普通に遊べるし、Sランク評価を目指して戦ったり、ユニットの個別ストーリーを遊んだりとやることも多い。
だから、スパロボのキャラで普通に暇つぶししたいなら遊んでも良いかな、とは思う。
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だが、スパロボとして考えるとかなり寂しい。
スパロボは、好きなロボットを集めて存分に活躍させるゲームである。
しかし、現段階ではガチャから出現するロボットが限られており、エース級のユニットが存在するのは一部のアニメだけだ。
せめて、リリース時点で各作品の主力と言えるユニットを1体は用意して欲しかった。
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現状では、ガンダムやオーラバトラーだけを揃え、スーパーロボット禁止縛り(あるいはその逆)で戦うなんてことは厳しい。

また、原作付きゲームは、原作への思い入れで遊ぶ。せめて、好きな作品だけで遊べる配慮は欲しかった。
韓国系ゲームで多く見られる「どんなユニットでも最大レアリティになる」システムを導入すれば、最初は弱くても使いたいキャラクターを使い続けることはできたはずだ。
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▲ユニットにパーツを組み込んだり改造することはできるが、フル改造ボーナスはレアなユニットの方が高い。

また、画面がごちゃついていて、ロボットの活躍が見づらいのもマイナスポイント。
見られたところで何回殴っても敵を倒せず、雑魚からちくちくダメージを受けるマジンガー、敵の攻撃を避けられないガンダムなどは、見ていてかっこ悪い。
必殺技を使うとカットインが入るが、ボイスもないし、BGMもオリジナル楽曲だけで気分が盛り上がらない。
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▲出撃しているリーダーユニットのBGMを流すとかできなかったのか

レア度が低くてもメタスの回復が優秀だったり、地形によってユニットの移動力がかわったりとスパロボ成分を吸収しようとしているのは理解できる。
が、スパロボの重要な部分は課金の仕組みに流されて弱くなってしまっているように感じる。
もう少し、『チェインクロニクル』成分よりスパロボ成分を強化して欲しかったように思う。
1作のゲームとしては遊べるものの、現段階ではゲームとしては普通であり、同時にスパロボとして考えるとあまりに寂しい。

評価:2.5(価格通りに楽しめる)

おすすめポイント
人気アニメのロボットで戦える
お馴染みのスパロボ風ストーリー
現在はガンダムOO、コードギアス中心にストーリーが進む

気になるポイント
好みのユニットでチームが組みづらい
未参戦の作品多数
平成作品中心でストーリーが進む

課金
Ωクリスタル(ガチャ、ユニット枠拡張、スタミナ回復など)

(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
スーパーロボット大戦X-Ω (itunes 基本無料 iPhone/iPad対応)