美しさを追求し、面白さを忘れたゲーム。右に走るだけ『The Deer God』レビュー
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- 2015年09月03日
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- 2.0|

これほど、期待を外したゲームは久々だ。
ゲーキャス読者の方でなくとも、『The Deer God』に関しては期待を持っていた方は多いと思う。
PVを見て、2Dと3Dが融合したドット映像表現にワクワクし、鹿になって罪を償いながら、死ぬたびに転生し続けるというゲーム内容に期待し、その内容は草の根で話題になっていた。
しかし、ふたを開けてみると映像しかないゲームであった。
グラフィックに関して言うならば、やはり美しい。
朝、昼、晩とリアルタイムに景色が変わっていく様子もすごいし、ゲームの世界は常に神秘的な雰囲気が漂っている。

雪上、人家、平原、砂漠、洞窟……どこを切り取ってもそれなり以上である。

ゲームの仕組みは、普通の横スクロールアクション。
バーチャルスティックで左右に移動し、スワイプで体当たり、ボタンでジャンプの3つの基本動作があり、ゲームを進めるとそこに「2段ジャンプ」や「急降下」など4つの操作が加わる。

画面の左上は、赤がライフゲージ、緑が満腹度ゲージ、水色がスタミナゲージとなっている。
ライフは敵の攻撃を受けると減り、なくなるとカルマがリセットされてセーブポイントに転生する。
満腹度は時間と共に減り、ゼロになると時間と共にライフが減る。
スタミナは攻撃したり、スキルを使ったりすると減るが、時間で回復する。

一番左上の四角いアイコンは成長ゲージ。時間と共に増え、最大になると鹿が成長し、移動速度が上がる。
さらに、3段階目まで成長すると、牝鹿に求愛して子供を残せる。
子供を作れば、倒れてもカルマを引き継いだ状態で子鹿に転生できるので、死んだときの保険(子供にそんな言い方をするのもアレだが)として子供は絶対に作っておきたい。

以上が主なシステムの説明だ。
が、実際にゲームを始めると、見た目以外あまり引かれないことに気付く。
まず、ゲームがあまりにも平坦で退屈なのだ。
このゲームではさまざまな敵と戦い、悪い動物を倒すと良いカルマがたまり、友好的な生き物を倒すと悪のカルマがたまる。
ゲーム中ずっと戦闘の攻撃の演出が控えめすぎてで、手応えがない。

▲カルマは転生に関係しており、カルマが悪に傾いているときに死ぬと、鹿よりもさらに力のない生物に転生させられてしまうことも。
まれにボスキャラクターが登場し、これらは特別な退治方法が用意されている。
が、それも演出が弱くて空虚な作業になりがちだ。ボスの脳天につららを落としたら、効果音ぐらい欲しいではないか。
ボス退治の多くがクリアと関係ないのも、盛り上がらない。

マップは自動生成だが、特別な地形はなく、似たようなマップがずっと繰り返される。
これまた退屈。
ときおり話せる人間や動物が登場し、彼らからはクエストを受けられるが、これもあまり刺激がない。

というのも、クエストは基本的に右に進んでいればクリアできるからだ。
「クリアしたら戻ってきてね」と言われても、右に進んでいると再びクエストを課した人物が登場するので問題なし。

▲「鹿の神の像」を見つけて特別なスキルを授かるときだけは謎解きがあるが、例外と言えよう。
画面は左右にスクロールするが、道を戻る必要がない右スクロールアクションである。
イベントに遭遇したら解決し、また走る。
走っているとすべて解決するなんて、『太陽に吠えろ』みたいなステキな仕組みだ(このネタは通じるだろうか……)。
ただ、そこまでなら、まあ雰囲気ゲーとして許せはする。
雰囲気を味わうのが主なら、ゲームの内容は多少許せるものだ。
が、『The Deer God』の場合はそれでは終わらない。

マップには頻繁に崖が登場するが、崖の下に何があるか見えない。
降りてみると即死のトゲが配置されていることも多く、崖を無茶に降りないで進むノウハウを身につけるまで何度も死ぬ。
慣れたとしても、トゲが景色と同化している事もあり、気付かずに践んでしまうことも。

▲切り立った崖が多いが、その下になにがあるか見えないことが多い。
また、画面の手前を巨大なオブジェクトが覆うこともあり、その後ろで敵に殴られることも。
走り抜けるときは味としていいのだが、味で終わる事が少ないので困る。

アイテムやスキルを使うとき、メニューからショートカットに入れ、ショートカットから選ぶとそのアイテムを使うボタンが登場し、初めて使えるようになる。そのため、操作もステップが多く、使いづらい。

とどめに、バグも多い。
マップにはハマる箇所があり、ハマってからオートセーブされると最初からやり直すしかない。
セーブデータをロードするとトラップが復活しており、復活地点から動けなくなることも。
また、セーブデータが壊れてプレイできなくなることもある。
ゲーキャスは3度、進行度50%までプレイしたが、未だにクリアできていない。
『The Deer God』には期待していたし、実際グラフィックは素晴らしい。
しかし、残念ながら、『The Deer God』はまだ買うに値するゲームではない。
PC版がさまざまなメディアで褒め称えられる一方、実際にプレイヤーの評価が高くならなかったのもよく分かる(メディアは、バグなどが直る前提でレビューすることが多いため)。
評価:2.0(良くはない)
おすすめポイント

気になるポイント




課金について
なし
(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
The Deer God (itunes 840円 iPhone/iPad対応)
動画:
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コメント(13)
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コメント一覧 (13)
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- 2015年09月04日 00:10
- レビューありがとす!参考になりました!
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- 2015年09月04日 00:12
- なんかjunk jackxやテラリア風みたいですなあ
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- 2015年09月04日 00:17
- 見た目に惹かれてプレイすると、思ったより面白く無い。安定のCrescent Moonクォリティでしたね。
まさに
A Crescent Moon Games
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- 2015年09月04日 10:33
- スキタイのムスメみたいなクソゲーですよ
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- 2015年09月04日 13:45
- ↑
スキムスは最初から雰囲気ゲーと割りきって作ってるのが分かってたから「クソ」とは感じなかったがなあ
少なくともセーブデータ破壊バグなんて致命的なのはなかったし
あなたはクソゲーと思ったかもしれないけど、実際に両作をプレイした上でその評価なのか、それとも単にあなたが雰囲気ゲー嫌いだからそう言ってるのか判断できない
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- 2015年09月04日 13:58
- コレを840円で売るというのがまた凄い
この内容じゃ無料でも遊びたくない
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- 2015年09月04日 14:11
- 雰囲気ゲーでなにが悪いのさ!
自分はただ走ってるだけで楽しくて
何時間もプレイしました
マップの下が見えないときも
見切れた部分に何があるのかドキドキしました
楽しかったよ
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- 2015年09月04日 14:25
- 何て正直なレビューなんだ。嘘のないレビューは参考になる。
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- 2015年09月04日 14:53
- 見切れた崖の下の1/3ぐらいは即死トラップで、ごくまれにアイテムがあるだけでしたね。
すごい細い足場を丁寧にジャンプで通り抜けたら、実は落ちて歩いても良かったり(見切れているから気付かない)、その次に落ちてみたら即死だったりして死ぬほど面倒でした。
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- 2015年09月04日 17:26
- 色々言われてるけど、価格が300円ぐらいなら雰囲気ゲーとして満足できたと思います。800円はちと高い、そんな感触です。
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- 2015年09月04日 19:22
- The Deer Godですが、これでも良いという方はいらっしゃるかと思います。
しかし、私は満足できませんでした。3回バグでハマった後で、投げました。
そんな私の主観で書くと、この評価になります。
ちなみに、スキタイのムスメはグラフィック、サウンドで満足できましたね。雰囲気を味わっていると、ラストの方は結構盛り上がりますし。
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- 2015年09月04日 23:09
- 賛否両論あるし、買うに値すべきじゃないと感じる人は確かにいるかもしれないけど、
投資しないと継続的に開発もできないからね・・・
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- 2017年03月14日 09:51
- あちこちで高評価で期待してプレイしたら、全然面白くなくて、「あれ…何か見落としてる?または、俺の感性がおかしい?」って思ったんですが、こちらの記事見て安心しました。
いや、このゲームの内容にはガッカリですけどね…