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パーティーを強化するか、先に進むか…時間と戦うローグライクRPG『Crowntakers』レビュー

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反乱軍に囚われた王を救い出すローグライクRPG、『Crowntakers』がPCからiOSにやってきた。

とある国の侯爵が反乱を起こし、王を捕らえ、国を掌握しつつある。
確かに王は捕らえられた。
しかし、反乱軍の態勢が整っていない今なら、少人数の奇襲で王を救い出せるかもしれない……あなたは仲間を集め、装備を強化し、迅速に敵ののど元に迫らなければならない。

……どこかで聞いたような設定と思ったあなたは正しい。
このゲームは『FTL』に影響を受けて作られた、ファンタジー版『FTL』とでも言うべき1作だ。
ただし、単なる猿まねではなく、プレイして見るときっちりオリジナル作品に仕上がっている。

プレイヤーは辺境の地で1人の状態からスタートし、マップを踏破して力を蓄え、ボスを倒し、最後のマップに囚われている王を助けなければならない。
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マップには「洞窟(CAVE)」や「HOUSE(家)」などのイベントポイントが設置されており、プレイヤーは道に沿って自由に移動できる。
移動の自由度はとても高く、マップを行くも戻るも自由だし、イベントを発生させるのも無視するのもプレイヤーの自由。
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しかも、イベントはプレイヤーの有利に働くものが多い。
睡眠を取れば疲労が回復するし、ボスと戦う前に鍛冶屋へ行って装備を強化すればバトルが圧倒的に楽になる。
アイテムがないときに探索すれば、すぐにアイテムが増える。

しかし、だからといってマップの隅々まで歩き回るわけには行かない。
なんと、移動したり探索行動を行うたびに時間が経過し、1日ごとに反乱軍が態勢を整えてバトルの難易度が上がるのだ。
時間を消費してイベントをこなすと、その瞬間は楽になっても、長い目で見ると敵が強くなって苦労する。
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▲2時間探索するか、9時間探索するか……探索時間が長い方が良い結果が出るが、敵が強くなってしまう。

イベントを無視すれば時間が節約できるが装備は貧弱になり、時間をかけすぎるとバトルの難易度が上がりすぎて詰まる。
「パーティーは万全じゃないけども、あえてボスに挑む!」とか「のちのち難しくなっても、今を生きる!」など、ジレンマに悩みながら遊ぶのはとても楽しい。
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そして、バトルシステムもなかなかいい感じだ。
マップで敵と遭遇するとターン制のタクティカルバトルに突入し、各キャラクターが2ポイントのアクションポイントを持っており、1アクションポイントを消費すると「移動」、「攻撃」、「スキル」のいずれかを行える。
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▲アクションポイントは敵にとどめを刺すと1点回復するので、移動→攻撃よりも、攻撃×2で敵を倒してアクションポイントを回復させて攻撃×2→移動という選択肢も。

そうすると「移動しないで2回攻撃した方がいいじゃん!」となりがちだが、そうもいかない。
このゲームでは、敵との位置関係がとても重要なのだ。
敵が隣接しているときに行動すると、キャラクターが攻撃する敵以外の敵から攻撃を受けてしまう。
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▲2人の敵に囲まれているときに攻撃しようとすると、攻撃対象ではない1人から攻撃を受けてしまう。攻撃ではなく移動だと、2人から攻撃を受けることに!

先手を取って移動+攻撃で有利なポジションをとるのも、待ち受けて2回攻撃するのも、どちらも有効な戦術になり得る。
囲みまくって倒すか、耐え抜いて後衛からの攻撃で倒すか、それとも……と、かなり戦術のバリエーションがあって楽しい。

また、装備と仲間の組み合わせによってはものすごく強力なコンボが作れることもあり、プレイ中に手持ちのアイテムからコンボを組み立てる楽しみもある。
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▲経験値を貯めるとレベルアップするが、成長もランダムに選ばれた2通りから。

ローグライクなので主人公が倒れるとスタート地点から再度プレイになるが、繰り返しプレイの特典もある。
ゲームを進めていくと新しい仲間が増え、次回以降のプレイで仲間に加えられるのだ。
ローグライクは繰り返しが多いので、変化が起きるのは嬉しい。
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特定条件をクリアすると少し能力が異なるバージョンのキャラクターも使える。

しかも、単純に後半に出るキャラクターが強いのではなく、プレイの幅が広がるだけ。
「プレイヤーが上手くなってクリアする」ゲームの面白みは損ねないので安心して遊べる。

ゲームの仕組みを少しずつ覚え、状況に合わせて臨機応変に行動し、少しずつ先に進む。
少しずつ仲間の種類が増え、プレイヤーのゲームの知識に合わせてプレイの幅も出てくる。
キャラが強くなるのではなく「プレイヤーが成長する」ローグライク系の醍醐味が味わえる1作だ。

唯一気になる点は、バトルのランダム要素が少し大きすぎるように感じられること。
後半になればそれにも対応できるが、前半でバトル配置が悪いと悲惨な目に遭う。

ただ、それでも十分にこのゲームは面白い。
難易度としては『FTL』のEasyより少し簡単といった程度(ちなみに、FTLのEasyは普通のゲームのVery Hardぐらいは難しいと思う)で、より万人向けとなっている。
ゲーム好きの方ならちょうどいい難易度で、ばっちり楽しめると思う。

iPadで良いローグライクRPGを探しているなら、きっと満足できるはずだ。

評価:3.0(面白い)

おすすめポイント
工夫しがいのある成長システム
バトルのやりがい
適度な難易度

気になるポイント
バトル配置がランダムすぎることがある

(バージョン1.1.4、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Crowntakers (itunes 600円 iPad専用)