ゲームキャスト

面白いゲームを探すなら、ここ。

「この協業は任天堂プラットフォームの再定義」任天堂とDeNA記者会見まとめ。

lost_rr06
任天堂とDeNAが協力してスマホアプリを開発し、任天堂のタイトルが任天堂ハード以外の端末に出る。
業界の巨人同士の提携はどのように行われたのだろうか。

任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)の業務・資本提携に関する資本提携について会見のまとめをお送りする。

この協業は、2014年の夏から続く話し合いの結果。
任天堂とDeNAは、お互いにないものを補完して「クラブニンテンドー」の後継サービスを秋に、そしてスマートデバイス(スマホ、タブレット)向けのゲームを開発するとしている。

任天堂側の強みは、マリオやメトロイドなどの強力なタイトル群。
プレイヤーの目を新規タイトルに向けてもらための一番の差別化が強力なIPであるとDeNAが語っている。
lost_rr04


ただし、ゲーム機専用タイトルをそのまま移植することはしない。
単純に移植してもゲーム体験が劣化してしまうので、スマホ向きの新しいタイトルを作っていく。
lost_rr05

対して、DeNAは世界トップレベルのWebサービスの構築・運営ノウハウを提供する。
lost_rrr1

また、まったく新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォーム、開発コード名「NX」を開発中。
スマートデバイスを通じて任天堂IPに触れるプレイヤーを増やし、ゲーム機に誘導する考えもあるらしい。
lost_rr07

最後に、岩田社長が抱負を語って終了。

協業とは、単独では容易に実現できないことを、強みを活かして、協力し合うことで実現させるためにとるべきアプローチだと思っている。
その意味で、強みの異なる両者が提携するのは意味があるし、それを中長期的に考えられるように資本の提携を行った。
スマートデバイスでコンテンツを供給している業者は、単一タイトルに依存していることがほとんど。
しかし、我々が協業する以上はスマートデバイスで早期に複数のヒットタイトルを生み出したい思っている。
また、従来のゲーム機はデバイス単位であったのに対し、世の中に普及しているPCやスマートデバイスなど複数のデバイスを統合し、より多くのお客様に私たちの作るソフトをより的確にお届けしたい。
これは、いわば任天堂のプラットフォームの再定義への取り組み。

DeNAと任天堂の協力により、より早期に実現を目指している。

以上。
そして、質疑応答へ。

−Q.任天堂IPを使ったゲームはいつ、どのような形で、どちらが主体でやるのか。
今年中には何らかのアウトプットを一緒に出していく。
ゲームタイトルごとに両社の役割分担は変わる。

−Q.スマートデバイスでゲームを出すまでの課題の答えとは?
既存のゲームをスマートデバイスに持っていってもその体験はハードの特性で最高の体験ではなくなる。
すると、触れるプレイヤーは増えるがゲームの価値は下がる。
スマートデバイスとゲーム専用機はゲームができるという点で近く見えるが、実は別物と整理できた。

−Q.射幸心を煽っているガチャモデルを岩田さんがどう思っているか。
任天堂のIPを活用する以上、任天堂が納得しない方法でビジネスをすることはない。
アイテム課金のすべてを否定するわけではないが、「これは少しビジネスとして行き過ぎ」と思える方向は望んでいない。

−Q.一社ではできない相当の危機感があって手を組んだのか?
世の中が変化するなかで対応しなければどんな企業も必ず衰退する。
自然な結果であって、追い込まれて消去法で選択したわけではない。

−Q.オリジナルの自社タイトルとの棲み分けは。
(DeNA回答)最近ヒットタイトルも出せ、やっていけるという手応えはある。
オリジナルの自社IPをつくりたいとも思っているので、平行して続けていく。

−Q.任天堂IPはDeNA独占なのか?
資本提携して発表した以上、まずはDeNA。確実に成功する保証はないので永遠独占を約束するものではないが、まずはDeNA。

−Q.スマートデバイス向けの任天堂としてのビジネスモデルはどうなるのか?
多くのプレイヤーに触れてもらいたいので、たくさんのお客様に受け入れていただけるかを考えたい。
今うまくいっている仕組みをそのまま使うのではなく、改良したり新しいビジネスを探して色々トライする。
新しいビジネスモデルが発明できたら最高。

−Q.任天堂は子どもたちが安心して遊べるゲーム市場を創り出したと思っている。
信頼が過去30年以上の間に積み上がってきていて、これは任天堂のとても大切な財産だと思っている。
だから信頼を維持したい。

−Q.大戦略としての、ゲーム人口の拡大を変えていないのか。
全くその通り。

ゲーキャスの印象としては、単にゲームを提供するのではなく「スマホという市場に新しいプラットフォームを建てる」ほどの計画を背後に感じた。
一体、どのような成果が出るのか楽しみだ。