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Papers, Please レビュー - 良心を抱いて死ぬか、汚く生きるか。道徳に問いかけるドラマティックゲーム。

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アルストツカに栄光あれ!まさか、ゲームで久々に感動するとは思わなかった。
この『Papers, Please』は、共産主義国家の役人として業務をこなすシミュレーターだ。
ゲーム内には大仰なストーリーもないし、カタルシスもない。ただ、人々の暮らしを支える役人の人生を体験し、道徳心をひたすら試される他にはないシリアスなゲームになっている。

舞台は架空の共産主義国家アルストツカ。この国境が6年ぶりに海外に開かれ、プレイヤーは栄誉ある入国管理官に選ばれる。そして、国境に赴任したところから苦難は始まる……。

プレイヤーの業務は入国書類を審査することだ。
入国ビザなどの内容や期限を確認し、正常ならば入国許可のスタンプを押し、異常があれば拒否のスタンプを押して入国希望者に突き返す。
ルールに従って間違い探しをするだけの簡単なお仕事である。
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そして、ひたすらに「次!」と入国希望者を審査していく。
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入国希望者にはプレイヤーに話しかけてくる者あり、いかがわしい誘いをかけてくる者ありで彼らの様子を見ていると国の内情が透けて見えてまた楽しい。
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▲お店に来てね(はーと)とカードを渡されることも。

そして、1日の終わりには審査できた人数に応じて給料が入り、そこから住居費などが引かれる。
働いた分だけ給料が出る素晴らしい国、アルストツカ万歳!
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いやー、楽な仕事だ……なんて思えるのも最初だけ。
不安定な政治的情勢のため、入国審査のルールは毎日変わる。最初は2つしかない審査のルールも、お上の通達で次々と増えていく。
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▲審査ルールは手帖に書かれる。書類に不審点があれば、該当項目と違反していると思われる手帖のルールを順にタッチすると審問できる。

そして、気づくとルールの数は4倍の8つ!
体重や指紋、指名手配犯の調査、X線検査で危険物持ち込み検査などの規定も増え、手間は4倍以上。
入国審査でミスを重ねるとペナルティで給料が減ってしまうので気も抜けない。
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▲いつの間にか手帖はびっしり。

これだけ働いて給料同じ……どころか、手間が増えて審査できる人数が減るので給料は減る。
忙しさに反比例して減る。この国は一体どうなっているんだ!
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▲どう見ても顔は男。しかしX線検査すると女性。紛らわしい。

給料が減ると、日々の生活すらままならなくなってくる。
金が足りないままにゲームを進めると、いずれ家族は死ぬ。ああ、息子が風邪を引いても薬代すら出せない。
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金がなくなれば余裕もなくなる。
書類が完璧であることを確認するのは難しいが、誤りがあればその時点で入国拒否できるので「早く入国拒否させてくれ!」と、審査官にあるまじき思いを抱いてしまう。
いや、そう思っているうちはまだいい。
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プレイヤーは、人間性まで試される。
たとえば、入国希望者の中には子供の仇を追って世界をかける刑事もいる。
入国書類は足りていないが、プレイヤーの一存で入国させれば仇をとらせることもできる。しかし、金がないときに審査をミスすれば家族を犠牲にすることとなってしまう。
正義より、飯。私は、初回のプレイでは彼の入国を拒否した。
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その一方で、賄賂を渡す密入国者は通してしまう。今なら、共産主義国家で賄賂が流行る理由がわかる。
これが、社会主義国家の役人になると言うことなのか!
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それでも金が足りなければ、究極の選択もあり得る。家族の誰かが死ねば、生活費は安くなる。
ただの間違い探しゲームかと思いきや、社会主義国家のあり方を突きつけ、プレイヤーに道徳心と大事なもの、どちらを取るかの2択を迫り続ける厳しいゲームなのだ。
そして、厳しい役人生活を続けると突然にエンディングはやってくる。
あなたの選択がどのような結末を生むのか、それはゲームをプレイしてのお楽しみである。

このゲームを面白いかといわれると、「苦しかった」というのが率直な感想だ。
ゲーム内では生死をかけた緊迫感のある状態が終始続く。プレイヤーは入国審査を通じて幾人もの人生を左右し、ときに国を巻き込む陰謀の片鱗を目にするが、直接的に国に影響を及ぼすこともできない。
カタルシスがないが、目の離せない緊迫感のある映画を見続けているようなじれったさに苦しみつつ、ラストまでずっとゲームは続く。

自分はゲームをかなりプレイしているので、少しぐらいのことでは驚かないと思っていた。しかし、家族の生死や入国希望者の人生を考え、プレイ中はずっと悩み、心を動かされていた。
真剣に悩める、真剣に苦しめるゲームが『Papers, Please』だ。

簡単爽快、お手軽もいい。しかし、シリアスなドキュメンタリー映画の主役になり、時間をかけて苦しむのもまた面白い。
普段と異なったゲームが遊びたい方は、ぜひこのゲームを手に取ってみて欲しい。

評価:3.5(かなり面白い)

おすすめポイント
共産主義の役人の気持ちを味わえる
道徳心に訴える選択
プレイヤーの行動がストーリーとなり、展開から目が離せない

気になるポイント
苦しい

課金
なし

(バージョン1.0.8、ゲームキャストトシ)

アプリリンク:
Papers, Please (itunes 800円 iPad専用)

 コメント一覧 (4)

    • 1. nunrg1
    • 2015年01月03日 02:45
    • おお!トシさん!

      お久しぶりです。。。
      Democracy 3のレビューお願い出来ないでしょうか。
    • 2. ななし
    • 2015年01月05日 13:22
    • 皆大好き偽造パスポートおじさん
    • 3. ななし
    • 2015年01月05日 21:56
    • 大仰なストーリはおおありだろw。
      スマホ版は分からんが、少なくとも本家はある。
    • 4. 管理人
    • 2015年01月05日 22:52
    • ▼ななしさん
      ストーリーはPCと同じです。基本的にはほぼ完全移植なので。
      外部から「家族と国、どっちをとるのか」などと大上段に構えて物語をストーリーを強制せず、想像力を刺激してプレイヤーの中にストーリーを作っていく、という方式なので「大仰なストーリーはない」と書きました。
      なので、そこはきっととらえ方次第なのかな、と思います。

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