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JASGA、CESAに吸収されて消滅。その活動を振り返る。

2014年12月2日本日、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)とソーシャルゲーム協会(JASGA)は来年4月1日付で合併し、JASGA が消滅することを発表した。

簡単に言ってしまうと、CESAは家庭用ゲームを安心して遊ぶ環境を整える団体で、JASGAはソーシャルゲームを安心して遊ぶ環境を整える団体だ。
合併の理由については、GameBusiness.jpの記事によれば、「ハードやプラットフォームの進化で、どこまでがコンソールか、どこまでがネットワークゲームか、という区別は意味が無くなってきた」、「垣根を超えてユーザーさんに安心・安全にゲームを提供するためには一緒に活動を行っていった方が効率的で自然だ」と語られている。

理屈は通っている。

せっかくなので、なくなる JASGA を振り返ってみよう。
JASGA はソーシャルゲームの利用環境の向上、啓蒙目的とした団体だ。
NHN Japan(後のLINE)、GREE、サイバーエージェント、ドワンゴ、DeNA、ミクシィのプラットフォーム会社で作る「6社連絡協議会」が前身で、コンプガチャ問題で高まったソーシャルゲームに対する社会的批判をかわすために作られた組織という側面が強かった。
※実際、MANTANWEBの記事でも、鵜之澤会長は「(JASGAがコンプガチャ問題に対応するため)対症療法的に始まったのは否めないが、しっかりと啓蒙活動をしていた」と説明している。

さて、この団体は実際に機能していたのだろうか?
いや、まったく機能していなかったように見える。
加盟した各社は、JASGAの定めた最低限のルールを各社守ってはいた。しかし、ガチャの確立表記など調整が難しい部分については「推奨する」という表記で規制を避けていた。

その結果、加盟各社で対応に差が出てしまい、理事となっている6社も DeNA や Gree が推奨ルールを守る一方で、ミクシィやサイバーエージェントは最低限の対応しかしていなかったようだ。
そして、その対応が2014年2月の『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト(DQMSL)』の返金騒動をうんだようにも見える。
この問題は、「ガチャの見た目に反してレアがあまりにも出ない」とユーザーが感じ、大規模な返金騒動が起きた事件である。
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この騒動に対して Apple や Google は返金に応じ、『魔法使いと黒猫のウィズ』などほかのゲームにも飛び火する大きな問題となった。
DQMSL は、JASGA会員であるスクウェア・エニックスと理事のサイバー エージェントが共同開発していた。
しかし、JASGAの推奨する「ガチャの確率表記」はなかったのだ(現在は確率表記をしている)。
ガチャの確率表記を行っていれば、ここまで大きな問題にならなかった可能性もある。
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この事件について JASGA がコメントすることはなかった。
しかし、多くのメーカーが確率表記をするようになり、「結局、業界団体は意味がなくて、痛い目を見ないと変わらない」という印象を与えることとなった。
そして、2014年4月に LINE が脱退。

それ以降の活動を見ると、オンラインゲームのマナー啓蒙アプリ『じゃすがんの大冒険』を出しているが、JASGA の設立経緯にとなったガチャに切り込むことは一切していない。
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少なくとも消費者の立場からは、目立った活動をせずに今回の消滅となったわけだ。

通してみると、JASGA は業界的に当初の目的であった「社会の批判をかわしてやり過ごす」ことは達成した。
しかし、指導力の不足に一切責任を取らず消滅し、「業界に自浄作用がない」ことを証明してしまったようにも見える。

JASGA の役割と責任を引き継いだ CESA が何をするのか、日本オンラインゲーム協会(JOGA)とどんな差を打ち出すのか。
興味を持って見守りたい。

関連リンク:
ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライトの返金問題は、ソーシャルゲーム業界を巻き込むスーパーヘビーな問題になりつつある。
CESAプレスリリース